オーテクのダイナミック型イヤホンのATH-CKR9LTDです.
ドフのJUNK展示ケースの中に,“L-ch出力なし/R-ch音切れするためJUNK”で,3000円売られていました.箱付きで,付属品はすべて揃っていて,外観はとてもきれいに見えました.
症状からして,L型プラグ根元かY分岐部の断線だろうと判断.ATH-CKR9LTDのケーブルは,絡みにくくて柔らかいスリーブなので,引っ張りに弱いという弱点があります.リケーブルすればいいかと思ったのですが,オーテクは独自コネクタを採用しているものが多いので,ネットで調べると交換不可の固定式.
プラグ部なら交換,Y分岐部ならリケーブルも考えて修理のつもりで確保.
※家に帰ってからよく見てみると,ケーブルはプラグまで(多分)2芯並行ケーブル(リッツ線?)で,4線でした.よって,Y分岐部は分岐ではなく,単に二股に分かれているだけなので,この部分での断線は考えにくいです.
付属品一式.
いちばん大事なeイヤホンの購入証明書.
久しぶりのカナル型.
LTD感のあるRED&GOLD.
ATH-CKR9LTDのスペックです(HPより).
型式 ダイナミック型
ドライバー φ13mm×2
出力音圧レベル 110dB/mW
再生周波数帯域 5~40,000Hz
最大入力 200mW
インピーダンス 12Ω
質量(コード除く) 約12g
プラグ φ3.5mm金メッキステレオミニ(L型)
コード 1.2m(Y型)
ATH-CKR9LTDの特徴は,D型を対向する向きで2基搭載した “DUAL PHASEPUSH-PULL DRIVERS”としている点です(CKR9/CKR10も同じ).これにより,広帯域再生と超解像度を実現しているそうです.ハウジングは,切削アルミで,ハイレゾ対応(CKR10はハイレゾ対応で,CKR9は非対応).ケーブルは,残念ながら固定式.色は,LTD専用のRED(CKR9/CKR10は黒).
LTDが付かないATH-CKR9は,ハイレゾ非対応で,ハイレゾ対応していたATH-CKR10のノウハウをATH-CKR9に持ち込んで,専用ハウジングと色にしたのがATH-CKR9LTDになります.発売当時の価格は4万円前後で,2000台限定生産だったようです.
店頭では,出音しないものを出力確認しても仕方ないと思い,簡単に外観と付属品だけ確認しました.その際,2015年にeイヤホンで購入した履歴がありましたので,安心してお持ち帰り.ケースに経時変化が見られましたが,本体は比較的キレイでした.
家に帰り,まずテスターで確認してみると,左右ともに導通ありで,断線していません.左右のバランスも崩れていません.
変だと思いながらDAPに接続して,出力確認.何の問題もなく,両チャネルともバランス良く出力します.出音しないJUNKではなかったの?
唯一,気になったのは,DAPに挿す時,“若干弛いかも?“と思いました.ただ,簡単に抜けるような弛さでもなく,REANのプラグでもよくある症状です.
プラグ部の接触の問題かもと思い,グリグリやってみましたが,音切れも一切なし.
結局,JUNKの理由は見当たらず,正常品という判断となりました.いわゆるアタリ!
正常品ということがわかりましたので,音を聴いてみます.DAPはZiShan DSD AK4497です.
使用するイヤーピースは,D型カナルタイプのハウジング形状的に考えて,定番のスパイラスドットです.また,スパイラスドットはやや小さめということと,ATH-CKR9LTDの形状的(耳の奥まで入れない)に若干大きめのサイズLを選択しています(通常はM).ATH-CKR9LTDのノズル径は太いので,一般的なイヤピースへの交換は難しい感じです(試しにスピンフィットは強引に入りましたが,Final E-typeは難しいです).オリジナルのイヤーピースでは聴いていないので,スパイラルドットとは印象が少し違うかもしれません.
まず,D型らしい迫力のある低域にやられます.D型でもここまで量感があって,明瞭なのは珍しいです.オーテクのSOLID BASSシリーズも量感がありますが,低音番長気質で,明瞭さに欠けていました.しかし,ATH-CKR9LTDは,その両立が見事で,単に低域が出ているだけでは無いです.低域がしっかりしているので,中高域もキレイに,安心して聴くことが出来ます.解像度は十分にありますが,メーカーが謳っているマルチBAの超解像度のレベルには程遠いです.
中域は,これだけ低域が出ているのに邪魔されず,明瞭です.解像度もしっかりあります.ボーカルもやや近めではありますが,明瞭です.高域もハイレゾ対応らしく,しっかり出ており,空間表現もあり,雰囲気が伝わってきます.D型モデルとしては,音場の広がりも感じられます(マルチBAほどの広がりはありません).高域に変な癖がなく,耳障りな部分がまったくないので,とても安心して聴くことができるのが非常に大きなメリットです.JVCのWoodシリーズほどではありませんが,きれいな響きも感じます.
低域がしっかり出ていますが,全体のバランスもよく,メリハリのあるオーテクらしい音です.ウォーム系の音色なので,ロックやポップスなのが楽しく聴くことが出来ます.オーテクの独自機構搭載機種は,変な癖があるものが多いですが,ATH-CKR9LTDは変な癖がなく,とても聴きやすいモデルです.なので,ジャズやクラシックもそつなくこなす万能型と言えます.
難点としては,ハウジングが独自形状で大きく,重いこと.最近,IEM型を聴くことが多かったので,比較してしまうと装着感はあまり良くありません.ただ,外れるようなことはありませんが,重めなので,モバイル用にはあまり適していないように思います.
あと,ケーブルです.固定式なので,もう少しグレードのいいものを選択してほしかったです.絡みにくいというメリットはありますが,ケーブルノイズが起きやすい材質です.
D型の難点である,装着時にペコペコと音がするのは,“DUAL PHASEPUSH-PULL DRIVERS”でも同じでした.
マルチBAと比べると違いはたくさんありますが,D型イヤホンとしては,よく出来たATH-CKR9LTDです.今では,4万円以下は激戦区で,非常にコスパが良い機種がたくさんありますので,おすすめ上位には上がってきませんが,低域の迫力が欲しくて,楽しく聴くにはいい機種だと思います.これが,1万円台なら万能型おすすめ機種として,良い選択だと思います.
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購入金額
32,800円
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購入日
2021年08月頃
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購入場所
jive9821さん
2021/10/18
でしたし、ドライバーも実際にはCKR10と同じものだったはずです。
CKR10は一時期安かったので購入してしばらく使った製品ですが、シングルDD
らしい重厚さと、意外な明瞭さを持ったなかなか良い製品だったと思います。
kaerkiさん
2021/10/18
え、でも32800円は冒険ですねw
harmankardonさん
2021/10/18
ATH-CKR10と聴き比べていないので,違いは不明です.
オーテクの中では,このATH-CKR9LTDはあたりのイヤホンではないかと思います.
harmankardonさん
2021/10/18
日記でも書きましたが,JUNKで3000円でした.
さすがに,音が出ないイヤホンに32800円は出せません...
kaerkiさん
2021/10/18
ジャンクで3000円ならボクもお勧めしますw
harmankardonさん
2021/10/18
3000円なら,チャレンジ失敗してもダメージは少ないですからね.
プラグ部かY分岐部の断線だと思っていました.