レビューメディア「ジグソー」

別物へと生まれ変わったTOTO

2019年に無期限活動休止(事実上の活動終了)を宣言していたTOTOが、2020年11月に突如オンラインライブを開催しました。

 

 

 

 

 

 

以前そのことは上記の日記で書きましたが、TOTOという名称ではあるものの、以前からTOTOとして活動していたメンバーが中心人物のスティーヴ・ルカサーと、3代目ヴォーカリストのジョセフ・ウイリアムズだけで、残りはツアーのサポートに入ったことすらほぼ無いという新顔で固められていて、何故敢えてTOTOとして敢えて活動する必要があるのかと訝しく思っていました。

 

TOTOが無期限活動停止となったのは、バンド側と、亡くなったバンドの元メンバー(ジェフ・ポーカロ、マイク・ポーカロ)の遺族との間に権利関係の訴訟が起きていたことが影響していたようです。

 

結局訴訟はバンド側の敗訴となったようですが、一応の決着が付いた時点で残されたメンバーのうちスティーヴ・ルカサー、ジョセフ・ウィリアムズの2人はそれぞれソロ作品の制作に入ったところ、お互いそれぞれの作品を手伝うようになり、結局それぞれのソロ作はセットのように同じ意匠のアートワークで同時に発売される形となりました。

 

そして彼らが2人でツアーを開催するのであれば、いっそのことTOTOとして活動してはどうかと、TOTOの創立メンバーであったデイヴィッド・ペイチから提案があったということのようです。バンドメンバーとして直接は参加していませんが、本作にはプロデューサー兼一部楽曲のゲストミュージシャンという形で、デイヴィッド・ペイチも関わっています。

 

 

本作「With A Little Help From My Friends」は、前述の日記で紹介したオンラインライブをパッケージ化したものとなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この作品はいくつかのバリエーションが用意されていますが、今回購入したのはCD、Blu-rayが各1枚含まれているもので、北米盤となります。DVDではリージョンコードが問題となる可能性がありますが、Blu-rayであれば日本と北米は同一の区分となりますので…。

 

 

 

 

 

 

 

▲CD盤
▲CD盤

 

 

 

 

▲Blu-ray盤
▲Blu-ray盤

 

 

 

 

収録楽曲はCDとBlu-rayとで全く同じです。ただ、Blu-ray側には映像特典でメイキング映像とトレイラーが収録されています。

 

 

 

 

 

 

 

以前発売されたベスト盤「40 Trips Around The Sun」でもそうでしたが、技術的な部分ではジョセフ・ウイリアムズが随分活躍しているようです。

 

 

 

 

 

更新: 2021/06/27
総評

今までとテイストは違うが、質の高い演奏

元々がオンラインライブで配信されたものであるだけに、YouTubeのTOTO公式チャンネルでは本作の映像がほぼ全編紹介されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オープニングは、第6作「Fahrenheit」の1曲目でもあったこの曲でした。ジョセフが初参加となった作品でしたので、意識的にこの曲を選曲したのかも知れません。

 

続けて収録順通りに紹介していきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近年の「Champlin Williams Friestedt」での活躍でも明らかな通り、ジョセフの歌声はほぼ完全にかつてのハリを取り戻しています。バンドもずば抜けた巧さはあまり感じないものの、一体感は感じられていて雰囲気は良さそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライブでは新曲を除き、ほぼ7作目「The Seventh One」までの作品から選曲されることが多いTOTOですが、ここでは8作目「Kingdom Of Desire」からタイトル曲を取り上げています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「You Are The Flower」が始まる前には「自分が尊敬する素晴らしいシンガー、ボビー・キンボールの作品」とこの曲を紹介する場面も。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近年のライブと同じく、やはり選曲が1,4,7作目からを中心としていますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メンバー紹介です。バンドメンバーの読みがよくわからなかったものがあったのですが、ここをよく聞いていると大体わかってきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライブの定番曲「Home Of The Brave」ですが、歴代のドラマーの中では最もオリジナルのジェフ・ポーカロに近い叩き方をしているように感じられます。とはいえ、あの独特のグルーブ感までを再現できているとはいえませんが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界的ヒットを記録した「Rosanna」ですが、ここで今までステージ前のモニター席にいたデイヴィッド・ペイチが演奏に参加します。随分痩せてしまっていて、最初別人かと思いましたが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後を飾るのは、彼らのライブではアンコールの最後に演奏されることが多い、ビートルズのカバー曲「With A Little Help From My Friends」です。当初少し硬さがあったバンドが、この辺りになるとかなりまとまった演奏になっていることに気付かされます。僅か10日間のリハーサルだけでこれだけの演奏を披露してしまうのですから、やはり地力のあるミュージシャン達なのでしょう。

 

 

演奏としては十分楽しめましたし、CDの方をSOULNOTE P-3+S-3 Ver.2という高級オーディオ機器の試聴に使っても十分にライブ感を楽しめましたので、オーディオ的な品質も十分確保されているとみて良いでしょう。

 

ただ、本作の関連での某メンバーの発言で「本物のTOTOはオリジナルメンバーにマイク・ポーカロ、3代目までのヴォーカリストだけだ」というものにはちょっと引っかかりを覚えました。ジェフ・ポーカロの死後やデイヴィッド・ペイチのライブ活動休止期を支えたメンバー達への敬意は、もう少しあって良いのではと感じます。

 

当然、本作のパフォーマンスの質を揺るがすほどのものではありませんので、余計なことを考えずにこの演奏を楽しめば、それで良いのだとは思います。

  • 購入金額

    2,498円

  • 購入日

    2021年06月26日

  • 購入場所

    楽天市場 あめりかん・ぱい

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