所持する音楽データに対する私利私欲．．．イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。アルバムからのシングルカット。通常は2曲前後であることがほとんどですが、大ヒットアルバムではそれ以上のシングルカットが行われることがあります。そんなときでも、曲のクオリティが落ちない＝つまり、捨て曲がないのが良アルバムの証明でもあります。アルバムからの5枚目のシングルにして、それでも高い質を保っていた作品をご紹介します。

Jamiroquai。Acid Jazzの代表的なアーティストと言われるが、それはAcid Jazzの名を冠したレーベルからリリースされたアーティストの中で、最も売れたからだと思われる。元々Jazzというのは黒人音楽がルーツだし、いろいろなものを取り込んできたジャンルではあるものの、世にいうAcid Jazzというジャンルとしてみると、彼らはよりファンキィでソウルな方向性で、ジャンルの境界線の端にいる。

そんな彼らの4枚目のアルバム、“Synkronized”からの最後のシングル。売れた作品の最後のシングルカット、というと、なんとかひねり出したようなシングル向きでない楽曲であったり、カップリングもカラオケ（というよりマイナスワン）や、水増し感が強いExtended Mixでお茶を濁したりするアーティストも多いが、さすがに彼らのアルバムの中では日本では一番売れただけあって、いわゆる「捨て曲なし」であり、5枚目のシングルであっても質が高い。

タイトル曲「Black Capricorn Day (Radio Edit)」。かなり古い感じの、言い換えれば王道のファンクと言った感じの泥臭い感じのアレンジの曲。音のダイナミクスレンジやキレは20世紀末に相応のものだが、生ブラスとクラビをフィーチャリングしたイントロ～曲のミドル部分は80年代ファンクのイメージ。中間部の長いブリッジはストリングスがガッツリ入り、Acidの香りが急上昇。若干サイケな感じのギターのオブリがいい感じのスパイス。相変わらずJamiroの曲はベースラインが特徴的だな。

「Canned Heat (MAW Remix)」は、4thアルバムからの最初のシングルカット曲だが、ベースのラインと音色が異なっている。イントロ部にシンベ音色が混じるが、曲中はタンタタ／タンタタと速めの指弾き音色でグイグイ曲を引っ張るオリジナルに対して、軽いスラップで、ややトリッキーにされたドラムパターンで頭がどこだかわからない様な感じ。縦ノリの複雑なノリの曲になっている。

「Supersonic」は2つの異なるミックスが収録されているが、「Restless Soul Main Vocal」の方が聴き応えがあるかも。元曲はディスコテイストが強い曲で、コードが感じ取りづらい曲だが、このミックスでは裏拍が強調されたループドラムパターンがよりダンサブル！それでいて、女声コーラスでフェイクしているような♪Ah～♪という声が入っているのもあって、メロディカルな部分もあって、より取っつき易い。

これらの曲が収められたアルバム“Synkronized”は、Acid色が濃い初期3部作から、エレクトロ色が濃い5thアルバム“A Funk Odyssey”へと変わっていく途中の作品のため、シングル曲もそれぞれ方向性が違う。

いつものBuffalo Manのシンプルなものではなく、ドラマ仕立てのMVのシーンがちりばめられている

若干統一性が薄い面はあるが、Jamieoの懐の深さと多様性が感じられる作品です。

【収録曲】

1. Black Capricorn Day (Radio Edit)
2. Canned Heat (MAW Remix)
3. Supersonic (Restless Soul Main Vocal)
4. Supersonic (Sharp Razor Remix)

「Black Capricorn Day (Video Version)」