レビューメディア「ジグソー」

ジャズ風味ブラスバンドスタイルジブリカバー集

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。ジブリ音楽。スタジオジブリ映画のサントラは、大部分久石譲が手がけたので、「ジブリ映画の音楽の雰囲気」というのが一貫しているのは当然ですが、主題歌に関しても久石以外の作品も「ジブリの曲」となっているのが不思議です。そんな音楽の印象まで変える力を持った映画に使われた楽曲の、ブラスアレンジ集をご紹介します。

 

東京ブラス・スタイル。2020年現在も活動を続ける女性ブラスバンドチーム。流行歌やアニメソングなどをブラスバンドアレンジして演奏する。地道な活動が身上で、全国の小中学校、高校のブラスバンドの指導や共演をしてブラスバンドの世界を広げている「放課後プロジェクト」は2008年から10年以上続いている活動。このほかにも大井競馬場のトゥインクルレースにおける生ファンファーレ演奏も長く続けられているし、海外公演も継続的に行っている。

 

ただ、女性ばかりのブラスバンドという事もあって、結婚などによる退団なども多く、2005年のインディーズデビュー時のメンバーはすでに一人も残っていない。メンバーチェンジが頻繁で五月雨式?なので、明確に「第○期」というような呼び方はないが、この作品をリリースした頃は、野口茜やJJなどデビュー時のメンバーが抜けたが、一番セールス的にも伸びており、外部に対してのアピールも強かった「第2期」と言えるかもしれない(厳密に言えば「第2期前半」)。メンバーはペット系が安達奈央美、aya、anna、古屋ひろこ、サックス系が井口久美子、石川恵美、吉田“アフロ”佳代、トロンボーン系が湯浅佳代子、枡家小雪、足立恵子。リズム系はピアノがフジワラミエ、ベースは平野なつきでドラムスが金澤沙織(1曲だけ前メンバーのJJが参加)。

 

本作は彼女たちが、この後のメジャーデビューに繋がるブレイクのきっかけとなった作品で、後にメジャー盤でも類似の作品

が企画された「ジブリ映画テーマ集」。馴染みのメロディが粋なブラスアレンジで響く。

 

ジャケットのラジオのイメージか、映画の実場面の再現か、ラジオのチューニングが段々合ってきて始まる効果が入っている「ルージュの伝言」。この曲はかなり原曲に忠実で、メロディが明確にわかるが、かといってカラオケ臭はなく、多数の管が代わる代わるメロディを担う正統派ブラスアレンジとなっている。ピアノがロックンロール調の8分音符刻みで、グリスも豪華で、ハッピーな感じになっている。ソロはテナーサックスの井口とピアノのフジワラ。

 

バストロやサックス、弱音器つけたペットなどがフレーズを断片的に演奏した後、メンバーの「ワン・ツー・スリー・フォー!」で始まるのが「となりのトトロ」。原曲もややコミカルタッチの曲だが、テンポが少し速められ、リズムがせわしなく8ビートの裏々にハイハットオープンが入り、コミカル度がアップ。特に低音域のブラス(バストロンボーンとバリトンサックス)がいい仕事している(トトロの声っぽい)。ソロはバストロの足立とペットの古屋。

 

ペットのもの悲しい調べでゆっくり入って、ブラスバンド...というより4ビート+ランニングベースでビッグバンドジャズのような様相なのが「風の谷のナウシカ」。ナウシカのジャズアレンジは歌もの打ち込みジャズ

でこれ以前に興味を持っていたが、人によるグルーヴのうねりが断然こちらの方が良い。ソロ回しは長めで、フジワラのピアノ⇒湯浅のトロンボーン⇒ペットの安達と続く。特に安達のソロの間のバックがイカしている。また最後にブレイク⇒サックスハモリのシカケがあるのが粋。これはアレンジの勝利だな(アレンジャーは木管系はマルチにこなす高野猶幸)。

 

これもALL THAT JAZZの「ジブリ・ジャズ」同様、ヴィレッジヴァンガードで出逢ったような気がする。あのエリアによって違う音楽を大して大きくない音量で掛ける...というのは、店を進むにつれて違う音楽が流れて「おっ」と思うことが多く、音楽との出逢い目線では良い企画だと思う。

 

そんな魔窟で逢った、ハッピーになれる音楽でした。

キキがホウキにぶら下げていたラジオを想い出せる赤いラジオが描かれる
キキがホウキにぶら下げていたラジオを想い出せる赤いラジオが描かれている

 

【収録曲】(“採用映画名” アーティスト名)

1. ルージュの伝言(“魔女の宅急便” 荒井由実)
2. となりのトトロ(“となりのトトロ” 井上あずみ)
3. 風の谷のナウシカ(“風の谷のナウシカ” 安田成美)
4. やさしさに包まれたなら(“魔女の宅急便” 荒井由実)
5. 君をのせて(“天空の城ラピュタ” 井上あずみ)

 

「風の谷のナウシカ」

更新: 2020/10/17
必聴度

ブラスタの楽曲はインディーズ時代の方が良いかも

ブラスバンドアレンジに「映え」そうな楽曲を先に使ってしまった...と言うだけかもしれないが。

  • 購入金額

    1,800円

  • 購入日

    2010年頃

  • 購入場所

    たぶん魔窟

14人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (0)

ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。

YouTube の動画を挿入

YouTube の URL または動画の ID を入力してください

動画の ID が取得できません。ID もしくは URL を正しく入力してください。

ニコニコ動画の動画を挿入

ニコニコ動画の URL または動画の ID を入力してください

動画の ID が取得できません。ID もしくは URL を正しく入力してください。

ZIGSOWリンク挿入

検索対象とキーワードを入力してください

    外部リンクを挿入

    リンク先の URL とタイトルを入力してください

    URL を正しく入力してください。

    画像を挿入(最大サイズ20MB)

    画像を選択してください

    ファイルサイズが20MBを超えています

    別の画像を追加

    ZIGSOW にログイン

    ZIGSOW会員登録(無料)はこちらから