所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。音楽活動は自分の心の中から湧き出すものを形にすることです。そのため、私生活での環境変化が大きく影響することがあります。結婚という人生の節目を迎えて、それまでと曲の雰囲気が変わった作品をご紹介します。
絢香。2006年デビューのシンガーソングライター。一時活動休止時期を挟んで、2020年現在も活動するアーティストだが、活動停止前後で結構曲調やアプローチが異なる。
その絢香の活動停止前の最後の方に位置する約1年弱ぶりの9thシングル。彼女の場合は、2~3か月おきに数枚集中してシングルを投下して、そのあと永いインターバルを置く、というのをそれまでもリリースパターンにしていたので(4thと5thの間が10か月、6thと7thの間が約半年)、この間隔は必ずしも「永すぎる」といういうほどではないのだが、この間にプライベートとしては彼女は結婚し、歌手としても病気療養のためこの年の暮れで一時活動を休止するという、人生の区切りとなるイベントを発表した直後の作品。
そして、予定されていたことなのかそうでないのかは不明だが、それ以前との違いで一番大きいのはデビュー前から師事し、デビュー後はずっと曲をともに創ってきた恩師西尾芳彦と別れての制作だったこと。そのため、「活動停止前の作品」ながら、少々毛色の違う作品となっている。
「夢を味方に」。コーラスの付け方が、洋楽っぽさを醸し出す楽曲。曲は、SuperflyやYUKIにも曲を提供する蔦谷好位置(この曲は絢香との共作)。それまでの路線と若干方向性がチガウ。♪綺麗に生きなくていい/誰でも弱さはある/後悔しないように/今を駆けぬけてみようよ♪アレンジャー松浦晃久によるトラックメイクで打ち込み色が強いが、ギターに加えてベースが人によるプレイなので独特のグルーヴがあって気持ちよい(ギター:八橋義幸、ベース:岡雄三)。
ブルージィなテイストがあるバンド曲、「恋焦がれて見た夢」。絢香の歌い方は、音の単音単音の強弱のダイナミクスが大きく、声音もハスキー側に行くのと芯がある声の方向の発音とが自在にコントロールされるのが特徴だが、この曲はそれが目立つ歌い方。特徴のある声とヴォイスコントロールだけに、やり過ぎると少々鼻に(耳に?)つくのだが、この曲ではそのギリギリを攻めている感じ。曲自体は常田真太郎(スキマスイッチ)で今までとは少し方向性を変えた感じ。
「君がいるから<2009-2-13 Fan Club Live ver.>」は、2ndアルバム“Sing to the Sky”
の楽曲。ライヴでの収録だが、エネルギッシュな歌い方が初期の絢香らしい(曲も絢香+西尾芳彦の定番コンビ)。収録の日付からすると、絢香ファンクラブイベント「One Message vol.02」からの収録のようで、今はなきライヴスペースSHIBUYA-AXでの熱いステージが伝わる。ファンクラブ相手らしく、歌の途中の絢香の会場への声かけも身内感ある肩の力抜けた、親しみが感じられるもの。
それまでの西尾芳彦色の強い作品から、活動後半の「自分色」に染め直す過程の作品。歌い方などは西尾作品を歌うのに適した発声なのに、曲そのものに西尾カラーがほとんどないので、ちょっとアンバランス。そういう意味では「完成度」としてはイマイチか。ただ、活動再開後に繋がる雰囲気も見え始めていて、「第二章」のとっかかりとも感じられる。
そんな人生の転機を迎えたシンガーの、次のステージに行こうとしている作品です。
初回限定盤は「受験生応援仕様」で2009年のカレンダーステッカー付き
【収録曲】
1. 夢を味方に
2. 恋焦がれて見た夢
3. 君がいるから<2009-2-13 Fan Club Live ver.>
4. 夢を味方に<Instrumental>
5. 恋焦がれて見た夢<Instrumental>
「夢を味方に」
絢香の歴史の中では「遷移途中」
曲調と歌い方が少々合っていない気配があるが、現在から振り返ると、「現在に繋がる絢香」の起点か...
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購入金額
1,200円
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購入日
2010年頃
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購入場所
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