購入して以来、オーディオ用とは到底呼べないようなスピーカーと組み合わせるという、勿体ない使い方をしていたmarantz M-CR612に組み合わせるために用意したスピーカーです。
M-CR612を買った時点でスピーカーに回す予算が無かったということもあるのですが、組み合わせるスピーカーに求められる条件が結構厳しかったため、じっくりと候補を探す羽目になったという面もありました。
M-CR612導入の本来の目的は、TVの再生音強化でした。そのため、スピーカーは当然TVと組み合わせて不自然では無い位置に設置する必要があります。
しかし、部屋の構造上設置スペースは43インチのPanasonic VIERA TH-43FX500を置くのがやっとで、その左右にスピーカーを置くスペースなど全く残されていません。そのため、いわゆるフロア型のトールボーイスピーカーや、スタンドを使って設置するようなスピーカーは候補となり得ません。元のミニコンポ用スピーカーは、壁のフックを使って吊り下げて設置していたのです。
これを入れ替えるとなると、新たなスピーカーに求められる条件は壁掛けまたは天井吊りができるということでした。さらに壁や天井への負荷を考えるとさほど重くないことも重視されます。
この条件では、国内ブランドのスピーカーは壊滅的なまでに候補がありません。主に欧州ブランドのスピーカーでは、小型の2ウェイ等で壁掛け対応のものがいくつか見られましたので、中古も含めてその中から手頃なものを選ぼうと思っていました。
当初検討していたのは、BOSE 101MM辺りの中古を金具セットで買うか、DALI ZENSOR1またはLEKTOR1の中古でした。これは価格とサイズ、重量を重視した結果です。新品であればDALI OBERON1ですが、これは意外と高価でちょっと厳しいな、と。ZENSOR1やLEKTOR1、OBERON1は背面に吊り下げフックに対応した穴が用意されているのです。
一方、今回購入したSPEKTOR1と、そのやや大型版であるSPEKTOR2は、その吊り下げ用の穴が用意されていません。当初展示品で見て「大きさは良いけど使えないか」と思っていたのですが、よく調べてみると壁掛け対応金具が同梱されているというのです。どうするのかと思い取扱説明書をダウンロードしてみると、背面に大まかな位置が指定されているので、自分でそこにネジ穴を切って金具を取り付けろというのです。何というか乱暴なやり方ではありますが、一応壁掛け対応ということが判ったので、丁度出ていた格安なB級品を購入した訳です。
通常の単品スピーカーは1本ずつ梱包されていると思うのですが、コンパクトなSPEKTOR1は2本1組で箱に収められていました。B級品ということで一度開梱されていましたので、保証書は箱の中に収められていました。通常は外に貼付されているはずです。日本語の書類や「木目」という外装色を表すシールは輸入代理店のD&Mによるものでしょう。
一見すると背面にはバスレフポートと端子板があるだけで、壁掛けできるようには見えませんが、よく見るとバスレフポートの上に2箇所小さな穴が打ってあり、そこをネジ穴として切れば金具が取り付けられるということです。
というわけで、金具を取り付けてみました。
本来はきちんとネジ穴を開けてやるべきなのでしょうが、面倒だったので力尽くでネジを捻じ込んで穴を開けてしまいました。まあ、それでも何とかなりますが。
想像以上にパワフル
壁掛けで使うという時点で、スピーカーとしての理想的な使い方とはほど遠い状態で聴いているということを加味していただければと思います。
壁に最大5kgに対応するフックを取り付け、そのフックを壁掛け金具に引っかける形で使っています。SPEKTOR1は1本2.6kgなので、それで十分対応できると判断しています。
こんな感じです。スピーカーケーブルはMonster Cable XPをaudio-technica AT6105経由で使っています。
壁掛けの写真でお判りいただけるかもしれませんが、バスレフポートと壁の距離が近く、低音が壁との反射で強めに出てしまうでしょうし、多少角度は付いているものの耳よりかなり上にツイーターがある以上、高域方向の質や定位も正確とはいえないはずです。以下の評はそれを踏まえた上でご覧ください。
まず、音出しした瞬間に驚いたのは、サイズからは想像が付かないほど低域が量感も力感も強いということです。元のミニコンポスピーカーと比較すれば体積は1/3程度でしかないと思うのですが、低域も高域も圧倒的に出るようになりました。特に低域はちょっと強すぎるのではと感じたほどです。
音量を上げてライブ盤などを楽しむのには良いバランスですが、TV音声用として使った時にちょっと低域が出過ぎている感があったため、M-CR612本体の方で低域を1段階落として対応しました。そもそも近所迷惑なのでそこまで音量は上げられませんし。
ヴァイオリンやヴォーカルの質もなかなか良好ですが、まだ少しほぐれていない感があり、ヴァイオリンの高域方向に少し硬さを感じます。この辺りはしばらく使っている内にほぐれてくるとは思いますが。
軽量コンパクトで良好だが、金具のネジ穴は用意してくれても…
M-CR612との組み合わせでは小気味よく幅広いソースを鳴らしてくれて満足度は高いものがあります。総合的なバランスでは、量販店の店頭で聴いたSPEKTOR2よりも、SPEKTOR1の方が整っているように感じられました。SPEKTOR2の方がウーハー帯域の解像度がやや落ちる気がします。
壁掛け用として手頃なサイズと重量であることも好印象です。
ただ、一つ文句があるとすれば、やはり「壁掛け金具はネジ穴も自分で用意しろ」という点でしょうか。一応大まかな位置は印で判るのですが、自分で穴を用意するというのは結構リスクの高さを感じられます。
実際に片方のスピーカーでは穴を開け始めた時点で、そのままでは水平を取れなくなることに気付き、慌てて位置を変えて穴を開ける羽目になりました。金具に隠れてはいますが、その部分の傷はあまり気持ちの良いものではありません。
もっとも、1本1万円程度のスピーカーに多くを望むのは酷だとは思いますし、その金額でよくこれだけのスピーカーを作れたなと素直に感心できる出来であることは間違いありません。
このような普及価格帯のスピーカーを比較すると、やはり国産メーカーよりも海外メーカーの音作りの巧みさを感じさせられます。
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購入金額
18,500円
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購入日
2020年08月15日
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購入場所
オーディオ逸品館
harmankardonさん
2020/08/25
小型スピーカーでも手を抜いていないで,きちんと造っていると感じられます.
小型なら,Contour1.1とかずば抜けていますけど,高いんですよね.
jive9821さん
2020/08/25
DALIの高い製品(EPICON 6など)は勿論素晴らしいのですが、安い製品でも水準が保たれているのはさすがだと思いますね。
国産スピーカーはどうしてもスピーカーが存在を主張するものが多いのですが、よくできた海外ブランド製品は安くてもスピーカーの存在を意識させない空間を構築する辺り、やはりさすが上手く作っているなと思います。
harmankardonさん
2020/10/05
私は,52SEに家にあった水槽用上部ろ過フィルターのスポンジを適当な大きさに切ってゆるく詰めました.
安いので一度試してみてください.
jive9821さん
2020/10/05
確かにバスレフポートに詰め物は一つの手かもしれませんね。
思ったよりはTVで使うよりもCD再生などが多いので、現状でも悪くは無いのですが、
機会があれば試してみたいと思います。
kensanさん
2020/10/10
jive9821さん
2020/10/10
ZENSOR PICOも考えていた候補の一つでした。結果的にSPEKTOR1にしたのは、
たまたまB級品が出ていたからという理由が大きかったりします。
勿論、予算があれば現行のOBERON1で良かったのですが…。