私が30年以上にわたって聴き続けているシカゴの作品の中で、初めてリアルタイムで聴いたのが、この「Chicago 17」でした。1984年の作品で、当時はCDプレイヤーなど持っていなかったことから、LPで買って、カセットテープにダビングしてという聴き方でしたが。
それからオーディオや音楽の趣味は続いているわけですが、現在までの間にLP3枚(国内盤×2枚、輸入盤×1枚)、CD2枚(国内盤の初期リリースとRHINOリマスター輸入盤)を入手して、結果としてLP盤とリマスターCDで聴いている作品です。
また、本作は50年以上に及ぶシカゴの歴史上でも最も売れた作品で、RIAA認定の6プラチナアルバム(全米売り上げ600万枚以上)に輝き、本作のプロデュースを担当したデイヴィッド・フォスターは翌年のグラミー賞で最優秀プロデューサーに、エンジニアを務めたウンベルト・ガティカは最優秀エンジニアに、それぞれ輝くという大成功を収めます。
シングルヒットも多数輩出した、数字的には最高の成功を収めた作品である一方、シカゴ本来の持ち味が最も薄れた作品という後の評価もあることは事実で、結果的にAOR・バラード路線を推し進めていた、看板ヴォーカリストであったピーター・セテラは本作を最後にシカゴを脱退することとなります。
ここで収録曲を紹介しておきます。
01. Stay The Night
02. We Can Stop The Hurtin'
03. Hard Habit To Break
04. Only You
05. Remember The Feeling
06. Along Comes A Woman
07. You're The Inspiration
08. Please Hold On
09. Prima Donna
10. Once In A Lifetime
上記の中から、公式でビデオまたは音源が公開されている曲を紹介しておきます。
ただ、今回敢えてこの作品を取り上げたのは、高音質盤専門レーベル「Mobile Fidelity」から発売された、本作のリマスター純金CDを入手したためなのです。
通常盤とは格が違う音
Mobile Fidelity制作の作品は、一応ジャケットデザイン等はオリジナル盤準拠であるものの、内容物は結構異なっていることがあります。
Mobile Fidelity盤ではおなじみの、上部の「ORIGINAL MASTER RECORDING」の文字以外は、ジャケットデザインはオリジナルに忠実なものとなっています。ただ、当時のLPでも存在していなかったダブルジャケット仕様となっています。また、裏面下部にはシリアルナンバーが記載されていて、この辺りはいかにも限定生産盤という造りですね。
ディスクやブックレットの他に、Mobile Fidelityの高音質盤の技術説明等が記載された冊子が同梱されています。
純金蒸着CDですから、当然金色に輝いていますね。ただ、当時は金色のCDというとこのような高音質盤の純金蒸着盤だったのですが、今ではCD-Rなどで近い色がよく見られるようになってしまいましたね…。
輸入盤CDのブックレットは持っていないので何ともいえないのですが、恐らくオリジナル盤とはブックレットのデザインも違っているのでは無いでしょうか。
さて、このCDの特徴である音質ですが、さすがに初回リリース盤とは次元が違っていますし、RHINOレコードによるリマスター盤と比較しても質感やレンジの広さなど、やはりこちらが勝っているように感じられます。
特にベースラインの質感は圧倒的にMobile Fidelity盤が上ですし、それほど優れた録音では無い作品ですが、ヴォーカルもある程度の生々しさが感じられます。
丁度手近にあった輸入盤LPと比較すると、ヴォーカルやホーンセクションの質感はLPがやや優位かと思いますが、ベースラインの力感や質感はMobile Fidelity CDの方かな、と思う程度で、LPとまともに張り合えたCDは、このMobile Fidelity盤が初めてです。
入手性が著しく悪いという弱点はあるものの、Mobile Fidelity盤の割にはあまり中古価格がつり上がっていませんので、今からCDで聴くのであればこちらを強くお薦めします。
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購入金額
2,061円
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購入日
2020年08月09日
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購入場所
ディスクユニオン
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