所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。テレビドラマ主題歌。今でこそインターネットの発達や、それより少し前のケーブルテレビの多チャンネル化によって、影響が強いメディアというものが分散してきましたが、かつては地上波テレビそれも20時付近のゴールデンタイムと呼ばれる時間帯の露出は凄まじいものでした。以前そんな時間帯のドラマ主題歌を多く手がけたシンガーソングライターがいました。そんな人物の「ドラマ主題歌」としては最後期の作品をご紹介します。
久保田利伸。日本のポップス界にファンク、ソウルなどの黒人音楽テイストを根付かせた男。さらにそれまではジャズ系や民族音楽系の一部でしか歌われていなかった、サルサやボサ、キューバン系のリズムを「流行歌」のジャンルに持ち込んだ男でもある。
1980年代末から活動する彼は、1995年から10年ほどは米国での活動に力を入れていて、日本ではときどき(忘れられないように?)タイアップ曲のシングルリリースを中心に活動していた。
そのタイアップも最近はCFタイアップが多いが、当時(20世紀末)は圧倒的にドラマタイアップが目立っていた。それもドラマとしては花形の各放送局夜9時から番組のテーマソングも多く手がけた。
本作は、柴田恭兵主演のテレビ朝日系水曜21時からの長寿番組「はみだし刑事情熱系」のちょうど中頃、2000年秋から2001年春にかけての「PART5」の主題歌を表題曲としている、久保田にとって25作目のシングル。
その表題曲、「Always Remain」。激しい曲ではなく、自身と盟友柿崎洋一郎で創ったトラックの上で、割に淡々と歌っている。...とは言っても、♪Pa pa pa...You will always remain♪繰り返されるコーラスの日本人離れしたアクセントの歌声と、その上で取るフェイクラインの音程の選び方はさすが。久保田って日本人だっけ?w
「His Sugar」は、同じく打ち込みのトラックの上での曲だが、リズムトラックが強い。スネアやバスドラが目立っているのは、この曲はベースがヒトだからかな(Carl James)。♪Ai, Ai, Ai...♪と残響多めで繰り返されていくシーケンスパターンのようなコーラスで、ふわっとしそうなところをファンキィなクラビ風の音が締めている。久保田の歌声もやや前に「出る」歌い方。途中のシャウトも良いアクセント。
「Always Remain (Soul Bossa Trio"Simply Bossa"Remix)」は、表題曲のアレンジ違い。名前の通り、ボサノヴァ風のアレンジになっている。ゴンザレス鈴木、松本俊之、松本浩一からなる「Soul Bossa Trio」がトラックメイクをしている。追加された佐藤慎一のベースが大きめの音量で曲をグイグイ進ませ、グルーヴィ。アウトロで聴かれる笹子重治のアコギソロも小粋。久保田の歌い方も流れるようで、アレンジとしては表題曲よりこちらの方が好きかな。ちょっと「シングルA面」というニュアンスではないけれど。
全体的に非常に良質なコンテンポラリー楽曲で、コーラスも合わせて、久保田の歌の上手さが堪能できる。
ただ、シングルとしては若干インパクトに欠けるのも確か。この時期はアメリカでの活動が一番活発だったとき。アメリカナイズされた曲調(アメリカマーケットのブラックコンテンポラリーフィールドむけ曲調)で、決して悪い曲ではないンだけれど、日本でガリガリ行こう!!という感じではない。
夜9時台のドラマ主題歌を多く手がけた久保田なので採用されたが、はたして当初2シーズンは中島みゆきが起用されていた「はみだし刑事情熱系」のテーマソングとして、合っていたのか、どうだったのか...という気はする。
良くも悪くも、当時の久保田の目はアメリカを向いていた...という感じを受ける作品です。
(この写真ではよくわからないが)このころは、どアフロの髪型であり、そこもアメリカ指向?
【収録曲】
1. Always Remain
2. His Sugar
3. Always Remain (Soul Bossa Trio"Simply Bossa"Remix)
4. Always Remain (Instrumental)
「久保田利伸 【詰合せ】-「Always Remain」は22分58秒より-」
良質なコンテンポラリー系楽曲
表題曲とカップリング曲の方向性が比較的似ているのが、若干マイナス。
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購入金額
1,223円
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購入日
2001年頃
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購入場所
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