ついに……手に入れました!
中古でも10万、新品なら20万する音源モジュールです。その名の通り、ローランドの集大成! というべき2Uフルラックサイズのモジュールです。
ほとんどの(ハードウェアの)DTM音源やラック音源が発売終了となっている中、こちらは令和2年7月1日時点でまだ現行品で、Windows 10でもUSB接続するだけ(ドライバーが自動でインストールされるという意味。セルフパワーなので電源の接続は必要)で使用可能です。
PCM音源
PCM音源はXV-5080と同等のものが収録され、General MIDI 2に対応しています。トーンはGeneral MIDI 2のプリセットが256種類と、その他のプリセットが896種類、ドラムセットはGM2の9種類とプリセット14種類が使用できます。ユーザーバンクはトーン256種類、ドラムセット32種類を設定できます。
バンクMSB(CC#0)はトーンが87、ドラムが86で、LSB(CC#32)はユーザーバンクが0~1(ドラムは0のみ)、プリセットが64~70(ドラムは64のみ)です。
GM2バンクは各社共通で、MSBはトーンが121、ドラムは120で、LSBはプログラムチェンジによって0~9(ドラムは0のみ)です。
SuperNATURAL音源
JUPITER-50にあった物理モデル音源をさらに改良したものです。アコースティック、シンセ、ドラムの3カテゴリに分かれています。
SuperNATURAL Acousticはリアルな生楽器を再現しています。例えばピアノの音源であれば、弦の共鳴やハンマーの音、天板の開け閉めの度合いといったパラメータがあり、アコースティックピアノ特有の共鳴を再現しています。
バイオリンや二胡では、弓のこすれる音の大きさやアタックやリリースの速さを設定でき、レガート奏法に対応(トーンをMONOモードにした上で、SC-88Proの「:」付きの音と同様ノートオフの前にノートオンする)し、モジュレーションで発音中に緩急(強弱)がつけられる(しかも、単に音量を調節するだけではない)といった、高い表現力があります。アフタータッチ対応のマスターキーボードは高級モデルに限られますが、モジュレーションホイールなら大抵のMIDIキーボードについているので(私が使っている Korg MicroKEY 25はホイールではなくジョイスティックですが)これは重要です。二胡のフォルティシモ(アタックが強い)でレガートすると独特の装飾音が付きます(バリエーションをOrnamentにすると常時付きます)。
SuperNATURAL Synthはバーチャルアナログシンセサイザです。オシレーターを3つ搭載し、ピッチ、フィルター、LFO、などの設定ができます。オシレータは鋸波や矩形波といった昔からあるものや三角波、正弦波、白色雑音のほか、みんな大好きSupersaw、はては450種類あるPCM片から選ぶことができます。
プリセットだけで1109種類搭載されているため、ここですべてを紹介することはできません。選ぶのにも一苦労しそうですが、ダンスミュージックにすぐ使えそうなものや、スーファミ世代には懐かしく感じるような音色も多くあります。448番のTrance Key 1や1010番のTekno Ld 4はみんな大好きSupersawの重畳でまさにダンスミュージックに使われていそうな感じです。458番のTrance SawもSupersawを含むダンス系の音です。また、1102番にはオケヒが入っています。
当然、ダンスミュージックのためだけのものではありません。1082番~1087番にはFM EP(エレピ)シリーズが入っています。FMエレピといえばヤマハDX7のプリセット11番のエレピが秀逸ですが、それに似た雰囲気の波形が入っています。また、476番~480番のFantasyシリーズはキラキラしたまさに幻想的な音です。
469番のEinsZweiDryはどことなく懐かしい感じのシンセの音です。704~705番のFat Analogはダンスというかテクノというかそんな感じのベースです。
なお、アコースティック、シンセともSuperNATURALのオルガンはベロシティを無視します。
バンクMSB(CC#0)はアコースティックが89、シンセが95、ドラムが88で、LSB(CC#32)はユーザーバンクが0~3(ドラムは0のみ、アコースティックは0~1)、プリセットが64~72(ドラムは64のみ、アコースティックは64~65)です。
SRXシリーズ
INTEGRA-7には、XVシリーズやSonicCellで使用できたエキスパンション「SRXシリーズ」がすべて(全12種類)収録されています。4つある仮想スロットにロードして使用します。「なんで一度にすべて使用できないんだ」と思われた節もあったようですが、そこまでするのに十分なメモリを積めなかったのかもしれません。もし可能だったとしても、そうしていたら実売20万では済まなかったかもしれません。
バンクMSB(CC#0)はトーンが93、ドラムが92です。LSBはタイトルごとに決まっていて、スロットの位置を問いません。
- SRX-01 Dynamic Drum Kits(LSB=0)
- SRX-02 Concert Piano(LSB=1 ドラムなし)
- SRX-03 Studio SRX(LSB=2)
- SRX-04 Symphonique Strings(LSB=3 ドラムなし)
- SRX-05 Supreme Dance(LSB=4~6 ドラムは4のみ)
- SRX-06 Complete Orchestra(LSB=7~10 ドラムは7のみ)
- SRX-07 Ultimate Keys(LSB=11~14 ドラムは11のみ)
- SRX-08 Platinum Trax(LSB=15~18 ドラムは15のみ)
- SRX-09 World Collection(LSB=19~22 ドラムは19のみ)
- SRX-10 Big Brass Ensemble(LSB=23 ドラムなし)
- SRX-11 Complete Piano(LSB=24 ドラムなし)
- SRX-12 Concert Piano(LSB=26 ドラムなし)
拡張SuperNATURAL音源
拡張SuperNATURAL音源が6タイトル内蔵されています。1タイトルにつき仮想スロットを1つ使います。
バンクMSB(CC#0)はSFX以外が89、SFXが88です。
- ExSN1 Ethnic (LSB=96)
- ExSN2 Wood Winds (LSB=97)
- ExSN3 Session (LSB=98)
- ExSN4 A.Guitar (LSB=99)
- ExSN5 Brass (LSB=100)
- ExSN6 SFX (LSB=101)
ExSN1 Ethnic に含まれている楽器は揚琴(中国の打弦楽器)、サントゥール(Santoorの綴りになっているのでおそらくカシミールのほう)、サーランギー(インドの擦弦楽器)、龍笛(雅楽の吹き物)、カリンバ(ジンバブエの楽器)、津軽三味線、三線(沖縄の楽器)、箏、大正琴、ティンホイッスル(アイルランドの縦笛)が含まれています。大正琴はモジュレーション(CC#1)を上げるとトレモロします。INTEGRA-7ではプレビュー用の旋律が豊富に用意されていて、特にSuperNATURALの民族楽器では専用のものが用意されていて、どういう演奏をするものなのかがよくわかります(三線に至っては沖縄のイメージそのもの)。
ちなみに、拡張ではないプリセットに含まれているSuperNATURAL民族楽器は、パンフルート(ルーマニアなど)、シタール(インドの弦楽器)、エレキシタール、尺八、イリアンパイプス(アイルランド)、バグパイプ(スコットランド?)、二胡です(AirFromChinaはエフェクト付きの二胡)。
ExSN2 Wood Windsには、サックス(標準プリセットとは別の、ソプラノ、アルト、テノール、バリトン)、フルート(標準プリセットとはまた別)、バスクラリネット、イングリッシュホルン、オカリナ(ソプラノ、アルト、バス)、リコーダー(ソプラノ、アルト、テノール、バス)が含まれています。
ExSN3 Sessionには、エレキギター(クリーン14種類、ディストーション24種類)、アコースティックベース、エレキベースが含まれています。
ExSN4 A.Guitarには、12弦ギター、ウクレレ、スチール弦ギター、ナイロン弦ギター、マンドリンが含まれています。そういえば往年のSCでもウクレレやマンドリンはアコギのバリエーションに入っていたのでした。
ExSN5 Brassには、フリューゲルホルン、トランペット、ホルン、トロンボーン、チューバが含まれます。
拡張PCM音源
SRXシリーズとは別に、拡張PCM音源「HQ GM2 + HQ PCM Sound Collection」が収録されています。仮想スロットを4つとも使用するため、SRXなどとは同時に使用することができません。拡張PCM音源をロードすると、GM2バンクが拡張PCM音源のものに置き換わり、さらにトーンが512種類、ドラムセットが19種類追加されます。
XV-5080のトーンに比べ、出音の粒立ちが良くなっている印象です。
バンクMSB(CC#0)はトーンが97、ドラムが96で、LSB(CC#32)は0~3(ドラムは0のみ)です。
GM2バンクは各社共通のものを使用します。
INTEGRA-7 Editor
音源としての機能が非常に多いため、専用エディタがローランド公式で公開されています。バージョン2ではWindowsでも使えるようになりましたが、VST3形式なのでDAW内で使用することになります。私はDAWを持っていないため、SAVIHostで使用しています。なお、プラグインのウィンドウが大きいため、最低でもフルHDサイズのモニタが必要と思われます。
最初に使用するにはデバイスの設定が必要です。プラグイン側の「UTILITY」→「DEVICE」を選び、入出力ともに設定します。DAWによって「CTRL」と付いているほうと付いていないほうのどちらに設定しなければならないか異なりますが、SAVIHostの場合は「CTRL」が付かないほうです。
聞き専だと持て余す
機能が多いので、聞き専の人はきっと持て余します。というより、全機能を使いこなせる人っているのでしょうか。ダンス音楽や民族音楽など、幅広いジャンルの作曲にあると便利です。中古品であれば、SRXシリーズ全てを買いそろえるより安い値段で手に入ることもあるのでRoland音源を使っている人は持っておくとよいかもしれません。
「ソフトウェア音源使うだろ」と言われそうですが、ハードウェア音源はDAWが落ちる心配をしなくてもいいんですよ(私は小学生の頃Windows3.1使ってましたからね……ハードウェア音源には馴染みがあるのです)。
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購入金額
112,110円
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購入日
2020年06月29日
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購入場所
ヤフオク
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