所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。グループが活動停止や解散をする場合、最終シングルを「わかっていて」リリースする場合と、そうでない場合があります。前者は、「終わり」を認識しつつリリースすることになるため、別れを告げるような曲調になることも少なくありません。グループの今までの路線の集大成...というより、今までとは路線が異なる「卒業」を思わせる歌と、未来に向けた歌をカップリングして、最後にリリースしたアイドルグループがあります。その彼女たちのラストシングルをご紹介します。
美勇伝。ハロプロ所属の3人組アイドルグループ。「モーニング娘。」の初期メンバー石川梨華を中心に作られたユニット。初期の頃の「モーニング娘。(以降、娘。)」はグループの構成員のキャラも立っていて、それぞれ単体で勝負できる力があった。1期生の安倍なつみ、3期生の後藤真希が特に突出していたが、他にも1期生の中澤裕子や飯田圭織、2期生の保田圭や矢口真里、4期には加護亜依・加護亜依や吉澤ひとみなど、「娘。」の名ではなく、単体で顔が認識できる人材が揃っていた。その4期で目立っていた一人に、石川梨華がいた。
当時の娘。は組み替えユニットや切り出しユニットの活動が多く、梨華は「タンポポ」や「カントリー娘。に石川梨華(モーニング娘。)」、「ROMANS」にも加入していたが、それは「グループの一員」という形だった。
対して、梨華が「娘。」卒業後に組んだのが美勇伝。比較的、カワイイ系を揃え「色っぽい」「美人」系統の少なかった「娘。」において、美人のお姉さん的立ち位置で独特なポジションにあった、梨華を、「娘。」卒業後に独立で活動させるためのユニット。
メンツは他に、三好絵梨香と岡田唯。ともにオーディションで選ばれたメンバーで、この美勇伝としての活動以前には表舞台には立っていない。
美勇伝としては3年半活動したが、その最後のシングル、10thシングルが本作“なんにも言わずに I LOVE YOU”。
リリースの数ヶ月前には美勇伝としての活動終了が発表されており、楽曲的にも構成的にも「卒業シングル」となっている。
まず表題曲の「なんにも言わずに I LOVE YOU」。元は「娘。」の4thアルバム収録曲で、そのアルバムは梨華が「娘。」に加入してから初のオリジナルアルバムだった。つんく♂が書いた曲で、♪なんにも言わずに/これからも/これからも I LOVE YOU♪と歌われる曲は、文字面だけ追うと「別れ」という感じではないが、歌詞の半分ほどが過去形だったり、♪随分前に話してた/懐かしい映画を♪と歌われる部分もあり、そう取ろうと思えば取れなくもない曲となっている。ラストは♪LALALA…♪で終わる、コンサートラストの曲という感じで、曲調的にもやっぱり卒業っぽい。
次からは梨華⇒絵梨香⇒唯の順にソロ曲が続く(曲は全曲つんく♂)。
梨華の「思い出は彼方」はオケヒットも入った結構派手なJ-popで、気持ち前世紀入った歌謡曲テイストがある曲。音程的には確かながら、声そのものには大きな特徴がない梨華にはこういうのが合う。
絵梨香の「あの夏の夜」はさらに前世紀的で、生ギターのアルペジオがバックをとり、若干和旋律も入って、昭和的「ニューミュージック」の薫り高い。
唯の「最後の夏休み」は、同じ生ギターフィーチャリングながら、同じ名前の?YUI系テイストがある爽やかな曲。
今までアルバム
含めてソロでは歌っていなかったので、「最後の晴れ舞台」って感じ。ただソロで聴いてみると、元々梨華中心に組まれたユニットだけれど、残り二人(特に絵梨香)も悪くないな、と。
DVDは「なんにも言わずに I LOVE YOU」のアップ構図ヴァージョン。通常版のMVは全身や三人ワンショットの構図が多いが、こちらはメンバそれぞれの顔に「寄った」編集。3人とも美人なので、悪くはないけれど、スタイルを堪能したかったファンもいたのではなかろうか...
梨華は美勇伝解散後もいくつかハロプロ系のユニットに参加し、活躍したが、他の二人は芸能活動は持続したものの、目立った露出はなし。もう少し早く個々の個性にスポット当てていたら、展開が違ったかもしれないな、と感じたラストシングルでした。
【収録曲】
<CD>
1. なんにも言わずに I LOVE YOU
2. 思い出は彼方/石川梨華
3. あの夏の夜/三好絵梨香
4. 最後の夏休み/岡田唯
5. なんにも言わずに I LOVE YOU(Instrumental)
<DVD>
1. なんにも言わずに I LOVE YOU(Close-up ver.)
「なんにも言わずに I LOVE YOU」
「美勇伝」としては必聴度は低い
表題曲はドラマチックではあるものの、歌の上手い下手はあまり問わない曲調。
むしろ今まで美勇伝でやってこなかった、3人それぞれのソロが良かったかも。
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購入金額
800円
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購入日
2012年頃
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購入場所
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