ファイティングファンタジー。
略して「FF」。
その所為かな?
私と友人たちの間では、スクエアの名作RPGファイナルファンタジーの略称は、Ⅲ位までは、「ファイファン」だった気がします。
というのは、置いておいて。
ダンジョンズ&ドラゴンズやトンネルズ&トロールズとは違って、ゲームブックとしての形態で刊行されていたので、実は、TRPGとしての認識は当時としては薄かったかも。
アイテムタイトルである「火吹山の魔法使い」から始まるシリーズはゲームブック少年にとって、
・TRPGのボックスセットのように高価でもなく。
・人数が集まらなくても、冒険を体験出来て。
・シナリオがすでに作られているので、準備も要らない。
と、三拍子揃った、ソロRPGプレイの決定版だったなあ、と今は思い返せます。
かの有名(界隈では)な、「ソーサリー!」四部作では、一巻以外は分担して購入して順番に攻略した記憶があります。
呪文の効果を、登校する度に、「どうだった?」と確認しあったり。
当時小学生だった私には、このファイティングファンタジーの世界は不可思議で楽しい世界でした。
「ソーサリー」シリーズに描かれたクリーチャーは、ミヒャエル・エンデの「果てしない物語」のイメージでもあって、ワクワクしたものです。
オープニング画面。
背景にあるのは、懐かしいキャラクターシート!
あれを記入するだけで、グッと冒険者の気持ちになりました。
冒険者を見守るソウルキーパーのオリアナさんが語り始めます。
日本国内向けだけに作られた場合は、もっと、キャッチ―な世話好きお姉さんなのでしょうけれども。
これはイギリス生まれの硬派なファンタジー。
初見さんは、これがザゴールさんだと思うに違いない。
そして、語りの冒頭の「過去30年ぐらいの間にたくさんの冒険者が火吹山に入っていったわ。熱心な読者達は多くの通路をさまよい歩き……」の部分。
ザゴールって、そんなに長い間、ここで…。
と思ったら、ゲームブックの頃からのファンの話かーい!って、ニヤリとなるのが古参のファンなのかもしれません。
そして、プレイヤーの分身として火吹山に挑戦するヒーロー達。
最初の4人以外は、石像と化していて、迷宮内で入手した魂を使って蘇生?していきます。
それぞれに火吹山に来る前のエピソードと、そして、来訪の目的が書かれています。
同じダンジョンに入るのですが、その目的によって、イベントの起きる場所や、内容などが変わっていく。
という感じ。
プレイヤーは、彼らの魂を使って身体を操る存在とも言えるのかな?
ヒーロー達の行動によって解き明かされる火吹山の謎を、彼らに代わって記憶して、次の冒険に活かしていくスタイルです。
ゲームブックのテイストを残しつつ、ボードゲーム版と融合した作品。
ゲームブック、ボードゲーム、TRPGをPC、コンシューマ問わず、電源系ゲームにする一番の利点は、ゲームマスター(判定を厳とする審判)を必要としないで遊べる事、でしょうか。
一人で遊んでいると、想うようにいかない時に、「勝った事にしよう」とか「そのアイテム持っている事にしよう」という考えが浮かびます。
結局、そんな事をしても達成感はあんまり無く、空しさが残ったりするのですけれども。
そういう時に、電源系ゲームであれば。
全く融通の利かないCPUなどの処理が、私の弱い心を律してくれるのです。
心を折った上に、叩きのめすこともありますがw
ボードゲームやTRPGは、複数人以上集まらないと始められませんが、電源系ゲームとなれば、一人で始められる訳です。
そして、ソロプレイの弱点である判定をキッチリしてくれるだけでは無く、成功、失敗や選択肢の先のネタバレを防ぎつつ、進行をしてくれるので、ワクワクドキドキを維持したままで遊んでいけます。
また、駒やボード自体が場所を取ってしまうのに比べ、ゲーム機の中で完結、散らかりませんし、駒の紛失もありません。
寝転がりながらプレイ出来るTRPGとも言える、かも。
欠点は、ない、訳では無く。
ダイスを振るワクワク感は、劣ります。
転がしているグラフィックとSEで、かなり、臨場感を感じますが、やっぱり、自分の魂を込めたダイスを振るという気持ちからは、少し遠ざかります。
なにせ、ダイス達は、私の仮想世界での武具、魔法書なのですから、自らの手で振りたい訳で。
処理の甘さ、プチフリーズや死亡後のキャラをそのまま再開出来てしまうバグ?有
このゲームはSwitch版ですが、元々はコンシューマ機というよりはPCソフトのようです。
それ故か、所々で、調整不足というか、Switchとのミスマッチな部分があります。
割と重要な部分なのですが。
起動時にタイトル画面までのロード時間が結構長い、です。
特にその日の初回起動。
試しに記録してみたSwitchの動画録画がローディング終了まで撮れていなかったですね。
録画機能は30秒までなので、30秒以上掛かる場合がある。
という事になります。
遊びたいな、と思った時に、その時間を待たされる事で、「今日はそういう気分では無かったかな」と思ってしまう事もあります。
肝心の中身は、というと。
「火吹山の魔法使い」の原作は、即死を含む伝統的な死と隣り合わせの冒険です。
現代程の医学や、技術の発達していない世界で冒険するので、一瞬の気のゆるみが死に繋がる事は仕方がありません。
死を繰り返し、何度もやり直して、新しい道を発見したり、仕掛けを解除したり。
それが十二分に再現されていると思います。
分身たるヒーロー達のフィギュア感が、ボードゲームを操作している感覚で、ゲームブックに近い手触りを残してくれるなあ、というのが、私の感想。
で、重要なのかどうなのか、という微妙な仕様?バグ?
最初に選んだヒーローが、罠に掛かり、地下水脈へと転落、泳ぐ判定には成功したものの、体力を大量に失い、残り体力が0に…。
そしてゲームオーバーに。
これは仕方ない。
うん、一瞬の気のゆるみ、罠や戦闘を乗り越える度に残り体力をチェックするのが冒険者の嗜みですから、ね。
ここで、復活の石を使って途中のセーブポイントから再開か、タイトル画面に戻ってリトライ、なんですけれども。
その選択肢が出た時に、「一旦休憩しよう」と、別のゲームをプレイする事にして、終了。
別の日に起動してみると、「冒険を続ける」の項目がタイトルに追加されている。
「なるほど、初回以降は真っ新に冒険者の魂をリセットして最初から、か。そのまま続けていくか選べるのね」
と、何の気なしに続けるを選んだら。
地下水脈の激流の中で目覚めるヒーロー。
「あれ? 続けるってそういう事?」
前回の冒険の終了時、体力が0になって、ソウルキーパーのオリアナさんが、魂の石を使うか?と聞いていたので、確かに死んでいるんですが…。
そして、その直後に体力が減少するイベントが起きて、今度は本当に死亡。
タイトルに戻ってみても、「新しく始める」だけが選択出来る状態。
これは、微妙な判定の揺れなのかもしれませんね。
ただ、まあ、他にも、選択肢を選んだ後に、プチフリーズではないか、と思えるような表示の遅延があったりして。
割とストレスというか、不安に感じる部分があります。
ゲームブックが電源系ゲーム化されて、快適に!
というのを想像していた私が悪いのかなあ。
パラグラフを探して、ページをめくっている間の緊張感を再現している、と解釈すべきなのでしょうかねぇ。
懐かしい作品が、手軽に!というには若干のもどかしさ。それが味なのかもしれません
ファイティングファンタジーが大好きだった世代としては、ゲーム化に対して、大賛成!
グラフィックも、敢えて、昔の挿絵をキチンと使っているのも好感が持てます。
それでも、古めかしい中に、実は最新の技術や、快適さを高める工夫があって、世界そのものに没入できる、という驚きがないのは切ないかなあ。
もちろん、古き良きゲームブック、ボードゲームのテイストを残しつつ、そういう工夫を入れるのは難しいのは承知の上ですけれども。
処理の重さなどの小さな積み重ねも含めて、新しく触れる人にお勧め出来るか、というと。
少しだけ躊躇してしまいます。
個人的には、嬉しいのですけれども。
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購入金額
1,480円
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購入日
2020年04月01日
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購入場所
nintendo e―Shop
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