レビューメディア「ジグソー」

イカ天出身バンドではかなり長命だった

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。 こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。令和の今は、インターネットの発達によって、場所に縛られる(ことが多い)テレビの地位は相対的に下がり、「有名になる」ために公衆に露出するということ自体のハードルは下がった(なれるかどうかはまた別だが)。しかし今から30年前の「平成」の時代には、「公衆に識られる」こと自体がとてつもなく高いハードルだった。その時代のバンドマン達に夢を見せた番組出身のバンドの作品をご紹介します。

 

平成元年(1989年)に始まったTV番組「三宅裕司のいかすバンド天国」。通称「イカ天」と呼ばれたバンドオーディション番組は、それまで、コンテストへの出演か地道なライヴ活動くらいしか自己アピールの場がなかったアマチュアバンドに、当時最高のプロモーションの場であるTV出演という機会を提供し、多くのバンドを発掘した。その中にはFLYING KIDSやBEGIN、LITTLE CREATURESのように今でも活動を続けているバンドもあるが、たまやBLANKEY JET CITYのように番組終了後もしばらく活動を続けていながら現在では解散してしまったバンドも多い。

 

その中では「グランドイカ天キング(=5週勝ち抜きでメジャーデビュー権が与えられた)」にはならなかったものの、永く活動し特徴的な楽曲もリリースしたため「記憶」に残ったバンドもある。

 

そのうちのひとつが、JITTERIN'JINN(ジッタリン・ジン)。ロカビリーやスカが日本化したような独特の曲調と、キーボードレスのため?シンプルで隙間が多い音造り、ヴォーリストの春川玲子の「棒歌い」にも感じられるほどスパーンと前にでる声が特徴的で、全盛期は武道館の単独公演も行ったほどの人気を博した。

 

そんな彼らの一番「売れた」時期、というのは、3rdアルバムまでの1年間だが、その後も着実に活動を続けて、10枚のオリジナルアルバムをリリースしている(2020年現在)。

 

本作は1993年リリースの4thアルバム“Moonlit Lane”。

 

ビッグヒットは含まれていないが、特徴的な曲がちりばめられている。

 

ハーモニカの調べとランニングベース、2ビートのドラムスが彼ららしい「隣町のメアリー」で、アルバムは幕を開ける。ヴォーカルに目立つ用にかけられたエコーがノスタルジック。2ビートに入る前の4拍目ウラに入るバスドラが特徴的で、ドラマーの入江美由紀のセンスを感じる。そういえば、この曲ソロはハーモニカとエレキギターなのだが、ともにギタリストの破矢ジンタの担当なので、ライヴではどう再現したのだろう(ハーモニカは奏法的にはクロマチックでブルースハープのようには構えられない)。

 

7thシングル「プリーズ キス ミー マイ サンタクロース」のカップリング曲だった、「一人きりのクリスマス」は題名から受ける印象とはかなり違い、16ビートと倍速の2ビートが交互に現れるハイスピードな曲。♪二十五日の街角は楽しさにあふれ/去年はきっと私たちあんな風だった/「メリークリスマス」♪~♪「メリークリスマス」/幸せだった思い出ばかり/探していてもしょうがないけど♪歌詞は結構切ないが、高速ビートにのせて、そんなつらさを吹き飛ばすような感じ。

 

サヨナラ」は6thシングル。歪みが少ないジンタのギターの音や、レトロな感じのベースラインは懐かしい感じだが、ドラムのリズムが所々新しい。玲子の直線的な声が♪長いトンネルの中/僕は追い掛けていた/君の白い花嫁衣装の/背中を手探りで・・・/バイバイバイ♪と叶わなかった恋を歌う。こういうちょっと「センチな」感じがかれらの真骨頂かな。

 

JITTERIN'JINNはメジャーで5年ほど活動したあと、インディーズに移りそこでさらに2011年まで活動する。この間Whiteberryがカバーした「夏祭り」が大ヒットしたが、彼らは表舞台には現れず、地道に活動を続けていた。しかし、2011年のファンクラブ活動停止以降音沙汰がなかった。

 

しかし昨年(2019年)、突如彼らのYouTubeチャンネルが開設され、いくつかの動画があげられた。

 

また彼らの新しい歌が聴ける日が来るのだろうか?

メンバーチェンジの少ないバンドで、唯一変わったベーシストもこの頃はオリジナル
メンバーチェンジの少ないバンドで、唯一変わったベーシストもこの頃はオリジナルの浦田松蔵

 

【収録曲】

1. 隣町のメアリー
2. Good Night
3. 駅
4. 一人きりのクリスマス (album version)
5. 黒い服のブルース
6. サヨナラ
7. お月さん (album version)

 

「サヨナラ」

更新: 2020/02/09
必聴度

ヒット曲には恵まれていないが...

どこをどう切っても「JITTERIN'JINN」。

  • 購入金額

    2,300円

  • 購入日

    1993年頃

  • 購入場所

14人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • mickeyさん

    2020/02/10

    JITTERIN'JINN、懐かしいです。
    プレゼントとか印象に残っていて、今でも歌詞を
    覚えているかもです(^^)
  • cybercatさん

    2020/02/11

    「プレゼント」、突如出現した公式YoutubeチャンネルにMVが載っていたので、収録されているオリジナル2ndアルバムのレビューに繋いでみました。

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