まずは作品としてですが、本作はビリー・ジョエルのスタジオ・アルバムとしては8作目として1982年に発表されました。
このアルバムの制作に入る前に、彼はオートバイの転倒事故で骨折し、入院していた病院のナイロン製カーテンを見て、本作のタイトルを決めたといわれています。まずは収録曲から。
01. Allentown
02. Laura
03. Pressure
04. Goodnight Saigon
05. She's Right On Time
06. A Room Of Our Own
07. Surprises
08. Scandinavian Skies
09. Where's The Orchestra?
シングルとしては「Allentown」「Pressure」「Goodnight Saigon」の3曲がカットされ、いずれも大ヒットとはならなかったものの、彼の代表曲として知られるものとなっています。
「Allentown」や「Goodnight Saigon」に代表されるように、本作の収録曲には社会問題を取り上げたものがあり、いつになく「真面目」な作風となっています。特に「Goodnight Saigon」はベトナム戦争にかり出された兵士の視線で作られた明確な反戦歌であり、辛口の論評が多い米国の音楽誌「Rolling Stone」でも激賞されています。
私自身、このアルバムは「Goodnight Saigon」や「Allentown」をじっくりと聴きたいと思い購入したものです。
ただ、最初はごく普通の日本盤LPを購入したものの、特にA面にノイズが多く残念なコンディションのものでした。そこで先日日本製のMaster Sound盤を入手してみたのですが、コンディションこそさほど悪くなかったものの、今度は思いの外音質が悪くがっかりしてしまったのです。
そこで高音質盤専門のレーベルである「Mobile Fidelity」ならばどうかと思い購入してみたのが、今回入手した180g重量盤2枚組の仕様のものとなります。
さすがに高音質だが、整いすぎと感じる部分も
当然ながら、通常盤のLPは33回転であり、LP1枚で収まるように作られています。
しかし、Mobile Fidelity盤は音質重視のため45回転盤となっていて、1枚当たりの収録時間に限界があるため2枚組となっています。
ジャケットに「ORIGINAL MASTER RECORDING」の文字が入るのはMobile Fidelity盤の特徴ですね。
2枚組となっている関係上、ダブルジャケットとなっている辺りは通常盤と大きく異なる点です。
同じ高音質盤でも、例えばMusic On Vinylなどはレーベル面のデザインはオリジナルに準拠しているのですが、Mobile Fidelity盤は独自のデザインとなっています。
45回転盤であるため、片面当たり2~3曲ずつの収録となっていて、溝の幅もかなり広く取られていることが分かります。
これまで聴いていたMaster Sound盤と比較すると、特に溝が内側に来る「Pressure」や「Goodnight Saigon」における音質差がかなり大きくついていることが分かります。Master Sound盤ではこの辺りの曲はヴォーカルの音が割れていたり、妙に中域の音が細身に感じられたりするのですが、Mobile Fidelity盤ではそのような弱点は特になく、オーディオ的にも整った音で安心して聴いていられる仕上がりです。
もっとも、オーディオ的に整いすぎているため、派手さや荒々しさは感じられず、少々大人しい音に感じられる部分もあります。間違いなく高音質ではあるのですが、古いレコードならではの味はやや後退しています。
レコードでも本気で音質を追求するのであればMobile Fidelity盤は文句なしに優秀です。しかし、音質よりも古き良き味わいが欲しいという方には、むしろ若干物足りなさが残るかも知れないと感じる仕上がりです。
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購入金額
6,028円
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購入日
2019年11月11日
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購入場所
TOWER RECORDS
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