かつてイギリスのロックバンド、ポリスのヴォーカリスト・ベーシストとして活躍し、ポリスの活動休止後ソロに転向して35年に達しようかというベテラン、スティング久々の新作は、過去の自分の楽曲をリアレンジ・再演したセルフ・カヴァー集となりました。
ここで取り上げられた楽曲は世界的なヒットを記録した曲もあれば、シングルカットすらされていない曲もあるなど、本人の思い入れで決定されたのではないかという楽曲が並んでいます。以下が、今回取り上げるアナログ盤の収録曲です。
Side A
1. Brand New Day
2. Desert Rose
3. If You Love Somebody Set Them Free
4. Every Breath You Take
Side B
5. Demolition Man
6. Can’t Stand Losing You
7. Fields Of Gold
8. So Lonely
Side C
9. Shape Of My Heart
10. Message In A Bottle
11. Fragile
12. Walking On The Moon
Side D
13. Englishman In New York
14. If I Ever Lose My Faith In You
15. Roxanne (Live)
CDの場合は通常盤がこれと同じ収録曲となり、Deluxe Editionでライブ・トラックを4曲追加、日本盤ではDeluxe Editionにさらに1曲追加されるという形になります。
表面のラベルで判る通り、180g重量盤の2枚組となります。
ダブルジャケットの見開き部分には、左半分にスティング自身による楽曲コメント、右半分に参加ミュージシャン等のデータが配されています。初期のソロ作品からの楽曲は、オリジナル音源から一部の楽器等の音をそのまま使っているようで、
キーボードには既に故人となっているケニー・カークランドの名前が記されています。
こちらも悪くはないが、オリジナルの素晴らしさがやはり際立つ
基本的な傾向は、オリジナルが古い楽曲ほど、オリジナルと比べて変化が大きいような印象を受けます。
もっとも、ポリス時代最大のヒット曲である「Every Breath You Take」などは意外と原曲に忠実なアレンジで、元の完成度が高すぎるといじる余地もあまりないのかな、と感じさせられるものがあります。さすがに35年以上前の楽曲ですから、声質が当時とは変わっていて印象はそれなりに異なりますが…。
同じくポリス時代の楽曲である「Can't Stand Losing You」などは、アレンジそのものはそれほど大きく変わっていないものの、当時の厚みの無い音とはまるで違う、どっしりとした現在のスティングの音で録音されているため、随分印象が変わります。
ただ、個人的にスティングのソロ作品として特に好きなのは、「The Dream Of The Blue Turtles」から「Ten Summoner's Tales」までの比較的古めの作品なのですが、その辺りの作品は緻密に作られていたオリジナルの素晴らしさが改めて際立った印象を受けます。
「Shape Of My Heart」や「Englishman In New York」などは近年のライブで披露されるスタイルに近いアレンジが施されているようなのですが、やはり隅々まで完璧に行き届いていたと感じさせるオリジナルの魅力は超えられていないように感じるのです。「Shape Of My Heart」などは、アレンジも基本は同じで、ギターも当時と同じドミニク・ミラーがそのまま弾いているのですが…。
アルバム全体を通して聴いてみると、個人的にはポリス時代の楽曲はこちらのアレンジが聴きやすく、ソロ転向後の作品の多くはオリジナルの方がしっくりとくるかなと感じました。とはいえ、これはリスナーの好みでしかありませんし、楽曲・パフォーマンス共に質が高いことに間違いはありませんから、入手する価値は充分にある作品です。
オーディオ的に見てもさすがに180g重量盤でリリースしているだけのことはあり、スティングらしく質の高い音に仕上がっています。派手さはありませんが、スタジオで小編成のバンドが演奏している印象がそのまま伝わってくるかのような音です。
ただ、おまけで付いてきているこのポスターだけは特に欲しいとは思いません…。
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購入金額
4,200円
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購入日
2019年06月17日
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購入場所
HMV
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