レビューメディア「ジグソー」

FiiO X7/Q5シリーズを2.5mmバランス対応に

以前格安に購入したものの、音質的に評価できるほどのものではなくあまり使うことが無かったDAP、FiiO X7。

 

 

 

 

 

 

この製品はアンプ部がモジュール構造となっていて、用意されているオプションのアンプと差し替えて、音質や接続端子のバリエーションを楽しむことが出来るように設計されています。

 

私が購入したFiiO X7はAM1という出荷時の標準添付アンプがそのまま付いたものでした。この組み合わせで聴いた音がお世辞にも本来の価格に見合ったレベルのものとは思えず、それほど高く評価できなかったわけです。もっとも、アンプを替えてみたらどうなるか、多少なりとも満足度は上がるのかという点には若干興味はありました。それでも、このアンプモジュールは私のFiiO X7の購入価格よりも高いものばかりで、おいそれと試せるものでもありませんでしたが。

 

先日このシリーズ用のアンプとして、AM3DというTHX製AAA-78をを採用したモジュールが数量限定生産されるという情報がありました。実はこの前にAM3Cという同構成のモジュールが日本で試験的に発売されたことがあったのですが、これが過去発売されたアンプモジュールの中でも最も音質面での評判が良いものであり、僅かな市場流通分がプレミア価格で取引されるという事態になっていたのです。その好評を受け、全く同じものを他国でも発売するため新たなJANを取得するということで、AM3Dという新型番が与えられたということです。

 

AM3Dは数量限定販売ではあるのですが、締め切り前に予約しておけばその予約分は最低でも全て生産するということで、悩んだ末に一応注文しておきました。私自身すっかり忘れていたのですが、FiiO X7はアンプモジュール無しをもう1台持っていて、計2台所有していますし…。

 

そしてAM3Dは発売延期等もあったものの、現時点で手元に届いています。ただ、体調が優れなかったり時間が無かったりと、AM3Dを開封することが出来ていませんでした。そんなタイミングで、たまたまHARD OFFで見つけてしまったのが、FiiO X7初のバランス接続対応モジュール、AM3です。このAM3と後継のAM3Aはバランス端子の形状が2.5mm4極、AM3B、AM3C/AM3Dは4.4mm5極ということで、個人的に音質はさておき使い勝手で2.5mmの方が便利に感じるので、AM3も持っておいた方が良いかと思い、購入しておくことにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

FiiOのアンプモジュールは概ねこのようなデザインの箱で売られているようです。やや古い製品なので、代理店は移管前の小柳出電気商会となっています。現在はエミライが扱っていますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

箱の中身は金属缶となっていて、その中にアンプモジュール本体や取り付け用ビス(T-5トルクス)、さらにAM3にはアンプモジュール用のフェイスシールも用意されています。ドライバーは私の購入時に添付されていたのですが、これは恐らく前オーナーが入れておいてくれたものでしょう。出荷時に添付されているものではなかったと思います。

 

 

 

 

 

 

 

アンプモジュール底面です。左側が3.5mmステレオ、右側が2.5mm4極バランスの端子となっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

標準装着のAM1と差し替えます。左右の2本のトルクスを取り外すと、後は軽く引き抜くだけでモジュールは簡単に外れます、取り付け時には当然正反対の手順で取り付けることになります。

 

 

更新: 2019/06/16
総評

店頭効果型の音質。リスニングには向かない

それでは早速試聴してみましょう。

 

 

 

 

 

 

私が使う機会が最も多い、64AUDIOの2本のイヤフォン(U4/U3)を使います。

 

 

 

 

 

 

 

 

また、U4はBrise Audio STR7-Stdに、U3はAZLA Silver Galaxy Mix+に、いずれもリケーブルして使っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

まず、U4の方で少し聴いてみたのですが…。

 

率直にいえば「聴くに堪える音ではない」というものでした。U4は元々ローブーストモデルで、STR7-Stdとの組み合わせで落ち着いたとはいえやはり低域の方に強調感があります。そしてAM3も明らかに低域に強い強調感があり、しかもその低域の締まりが悪く、ただ大量の低音が垂れ流されているという印象にしかなりませんでした。聴いていて気分が悪くなってくるので数分と聴いていられません。

 

次にU3に差し替えて聴いてみたところ、こちらは少なくともU4とは違い聴いていられる程度の音ではあります。とはいえ、やはり低域の締まりが無く、音場も妙に平面的で左右にも拡がらず、キレも良くないなど、端的に言って美点をあまり感じられません。強いていえば高域方向に強調感が無く、割合スムーズに上の方まで伸びているという感はあるのですが、いずれにしても聴いていて全く楽しくありません。AM1で感じていた不満は解消されないどころか、AM1よりも特定の帯域の強調感が強いため、より聴きにくい音になってしまう場合すらあります。

 

しかしながら、世間のレビューを読んでみると割合好意的なものが多いということに逆に驚かされました。低音マニアの人であればこの量の多さで納得できるのかも知れませんが、締まりの無い低音を量ばかり聞かされるのは、私にとってはむしろ苦痛でしかありません。自分の感覚がおかしいのかと思い、他社のDAPを用意して同じ楽曲を再生してみると、あるべきバランスできちんと音が出てきたのでほっとしたというほど、悪い意味で個性的な音です。

 

こういう音が好きな人もきっといらっしゃるのでしょうが、私には長所は特に感じられない音でした。AM3にしたメリットは、普段から使っている2.5mm4極バランスケーブルをそのまま挿せることになっただけです。

  • 購入金額

    6,480円

  • 購入日

    2019年06月13日

  • 購入場所

    HARD OFF

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