最近次々と高級なイヤフォン・ヘッドフォンを市場に投入して勢いに乗るルーマニア発のオーディオメーカMEZE。日本市場に参入したのは3年ほど前ですが、その際にトップモデルとして用意されていたのが、今回取り上げる99 Classics Goldでした。今は遙かに高額なEmpyreanが投入されたためスタンダードモデル扱いですが、現時点(2019年5月)でも依然として現行モデルとして人気商品となっています。
先日中野で開催されたヘッドフォン祭りに行く前に、秋葉原で途中下車してeイヤホンの中古処分市を覗いてみたところ、標準ケーブル以外の付属品全無し、イヤパッド傷みという条件ながらこの製品が完動品で6千円というものを見つけたので、買ってみることにしました。
ハウジングはウォールナットの削り出しであり、そこそこ質感は良好です。残念ながらこの個体は結構傷が入ってしまっていますが…。
標準ケーブルにはリモコンが付いていますが、これは正直必要とは思えないのですが…。
ヘッドバンド部にかなり大きく「99 Classics」と製品名が刻印されています。このセンスはちょっと微妙にも思えますが、普段使っている分にはそもそも見えませんので問題ないでしょう。
見た目とは異なり、ドライで派手目の音調
今回はいつもヘッドフォンの試聴に使うFOSTEX HP-A8の他に、Acoustic Research AR-M200も使います。というのも、最初に音出しに使ったAR-M200と、HP-A8とで音質的な印象がかなり異なるためです。
まず、HP-A8で聴いてみます。何となく「Night Moves / Marilyn Martin」を再生してみたのですが、バスドラムのアタックがかなり強く、その一方で中高域は全体的に派手目で乾いた傾向となり、まるでハードロック特化型なのではないかと思える音となってしまったのです。
特に低域のバスドラムはかなり力強いものの、それが無理矢理誇張しているような感覚では無く、大口径のスピーカーで聴いているかのようなどっしりとしたものなのです。99 Classicsのドライバーはネオジウムマグネットを採用した40mmのダイナミック型とのことですが、その程度の口径で
これほど力のある低音を出すヘッドフォンはなかなか稀でしょう。ただ、中高域が結構派手目で潤いが感じられないものであるため、店頭効果を狙ったような音になってしまいあまり鑑賞向きとは思えません。
しかし、私がこの製品を以前試聴した時にはもう少しニュートラルなバランスだった記憶があります。そこでDAPのAR-M200でも聴いてみることにしました。
すると、派手さや妙なドライさはかなり和らぎ、割合普通の傾向に近づきます。低域の力強さはあるのですが、HP-A8との組み合わせのような強烈なものではなく、総合的には弱ドンシャリで音場が広いリスニング向きという音でまとまるのです。
この状態でアルバム「The Dream Of The Blue Turtles / Sting」を聴いてみると、スティングのヴォーカルが少しハスキー気味に感じられるものの、音場の広さや密度は新品3万円前後の製品としてはなかなか優秀ではないかと思えるものとなります。
普段使っているSENNHEISER HD650と比べると、部分的に強調感が感じられる部分があり、ゆったりと音楽を聴こうとするとややそれが気になる部分はあるものの、この価格帯として充分に完成度の高い良品と思います。ただ、HP-A8との組み合わせでは正直お薦めできる音にはなりませんでした。再生機器との組み合わせには割合シビアなのかも知れません。
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購入金額
6,000円
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購入日
2019年04月27日
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購入場所
eイヤホン 秋葉原店
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