レビューメディア「ジグソー」

上位よりは魅力に欠けるか

現在私が使っているイヤフォンの中でも、最もよく使われている3本のうち、2本は64AUDIOの製品です。具体的には64AUDIO U3、64AUDIO U4、JH Audio Michelleが最も使われ、次いでNoble Audio Sage、Acoustic Research AR-E100という辺りです。

 

 

 

 

 

 

これらは既に生産完了品で、現在の64AUDIOでは最廉価品が、上記U4のカスタム仕様であるA4の後継モデルA4t(約15万)となってしまいました。海外市場のカスタムモデルではさらに下位のA3e、A2eも投入されていて、特にA3eは音質的に素晴らしく完成された製品なのですが、今のところ日本市場には投入されていません。代理店さんがどうもラインナップ下位のモデルに消極的なようで…。

 

 

されはさておき、製造を打ち切られた先代のシリーズには、ローエンドモデルとしてBAドライバー2基を搭載するU2という製品が用意されていました。U4、U3は新品処分品で購入していて、U2も同様の特売品は見つけていたのですが、上位2モデルの後にローエンドモデルを敢えて購入する意味を見出せず、これは入手していなかったのです。

 

ところが先日eイヤホンの在庫処分市で、ケーブル欠品以外は何も問題が無いU2が大幅に値下げされていたのです。これなら単純な興味で買っても良いと思える値段でしたので、取り敢えず購入してみました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケーブル以外の添付品は全て揃っていて、コンディションも美品と言って差し支えのない程度でした。相変わらず外観上は上位モデルとの差がありませんね。

 

ケーブルはU4、U3に添付されていたものが一応あるのですが、アンバランスのみの対応となってしまいますので、手持ちの他製品を使って試聴することになります。

 

 

 

 

 

 

この写真ではJH Audio Michelleの標準添付バランスケーブルを組み合わせていますが、バランス時の試聴も基本的にはこのケーブルで行っています。

 

 

 

 

 

 

U2は前述の通りBAドライバー2基を搭載するのですが、低域用1基、中域/高域1基という内訳になります。周波数特性は20~20,000Hzであり、よりドライバー数の多い上位モデルのU3と比べても特に見劣りはありません。

更新: 2019/03/25
音質

レンジ感がやや狭く、刺さり気味なのが気になる

それでは試聴してみましょう。

 

 

 

 

 

写真のDAPはiBasso DX150ですが、これは私の所有物ではなく、単にイメージ写真作成のために組み合わせただけです。ケーブルのWAGNUS. Chocolat Lilyはこの組み合わせで少し聴いた程度で、試聴にはほぼ使っていません。試聴にはAstell&Kern KANN、Astell&Kern AK70、ONKYO GRANBEAT DP-CMX1を使っています。

 

 

 

 

 

まずこれら全てに共通する、2.5mm4極バランス接続で試聴してみます。

 

上位のU3と比較すると低域・高域共に可聴範囲ギリギリの辺りの量がやはり少なくなります。データ上は大差無いものの、聴感上の周波数特性はやはりU3の方が広く確保されています。とはいえ、2BAモデルとしては低域の馬力もまずまず出ている方でしょう。

 

ただ、どうしても気になるのが中高域で、ヴォーカルのサ行がかなり耳に付きます。当初はU4やU3と同様に、ノズル先端とイヤーピースの穴をほぼ合わせるように装着していたのですが、通常のイヤフォンと同様の装着位置に直してもまだ耳に付きます。高域を減衰させるSONY製のノイズアイソレーションイヤーピースも試したのですが、それでもまだ高域の刺さりが残ってしまいます。

 

仕方なく、私が普段使うことがまず無い、Complyを組み合わせたことでようやく落ち着きました。今回組み合わせたのはこちらです。

 

 

 

 

 

 

これで帯域バランスは概ね落ち着いたのですが、Complyの特性上どうしても音場の密度は薄くなります。それでも刺さりがひどいよりは聴きやすくなりますので、この状態で試聴を続けますが。

 

ただ、Complyを組み合わせてしまうと、2BAにしてはしっかりと低域に芯があるなど良い面も勿論あるものの、一言で言ってしまえば平凡な音という印象にしかなりません。私が64AUDIOの製品に求める楽器やヴォーカルの質感は、残念ながら特別優れているとは感じられないのです。同じ2BAのNoble Audio Sageと比べても音場の密度がやや薄く、常用するならSageの方かな、と感じます。

 

なお、普段U4、U3で使っているAZLA Silver Galaxy Mix+も組み合わせてみたのですが、音場の密度や広さは出ますし、低域方向の密度や力感も出てくるものの、刺さりがより強調されてしまう傾向があり、相性はさほど良くないと思われます。

 

 

 

 

 

続いてアンバランス接続を試すべく、ケーブルをestron Linum musicに交換してみました。

 

 

 

 

すると、低域の押し出しはやや弱まるものの、音場の広さがいくらか向上し、刺さりもやや大人しくなります。Linum musicとの組み合わせは意外と相性が良いのかも知れません。

 

この状態では2BAとしては低域も高域も意外と解像度が高く、価格なり(新品当時約6万円)の良さは感じられるのですが、それでもより高価なNoble Audio Sageと比べると、楽器の質感やヴォーカルの存在感でやや劣ります。U3と同様にハイハットの金属の感触はかなりよく出ているのですが、出ている音を総合的に評価すれば、かつて同価格帯だったJH Audio Michelleとの比較したと仮定して、私はMichelleの方を選択していたと思います。

 

 

勿論今回の購入価格を前提にすれば、1万円でこれだけの音を聴かせるイヤフォンなどまず無いという水準の音は出ています。ただ、U4、U3と期待以上の音を聴かせてくれた64AUDIOの製品であるだけに、そこまでの満足感は得られなかったことで残念に感じてしまうのです。

  • 購入金額

    10,000円

  • 購入日

    2019年03月17日

  • 購入場所

    eイヤホン

13人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • jive9821さん

    2019/03/25

    > harmankardon さん

    これまでの実績で大ハズレはないと思われるブランドですから、躊躇無く買ってしまいました。

    購入価格からすれば文句なしですが、やはりU3には全面的に劣るという辺りの実力で、普段使い用にこれを回そうかと考えているところです。

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