レビューメディア「ジグソー」

タイムパラドックス。答えを識っているからこそ、難しい。

本の蟲。
実は結構読書家で、特に若い頃は乱読しました。
ジャンル的にはSF~ファンタジー~ミステリなどからコミックまでイロイロ。
3桁では収まらない蔵書の中からトピックをご紹介していきます。

 

ジャケ買いした1巻

でハマリ、2巻の帯コメ大賞に応募する

くらい気に入った物語、 #君死に こと、「君死にたもう流星群」。

 

1巻で、天野川星乃と惑井真理亜を守るべく、銃を持つ襲撃者に身をさらした大地。

 

その時飛んできたスマホで銃弾は逸れ、飛び込んできた人物によって犯人は取り押さえられた。

 

スマホを投げたのは盛田伊万里、飛び込んできたのは山科涼介。

 

「一周目」でも「二周目」でも、大地の大切な友である二人。

でもその関係性は大きく違っていた。

 


 

「一周目」では、伊万里は在学中に交通事故で大けがをする。足の複雑骨折で杖が手放せない身体にはなるが、リハビリに励み、その後国内のデザイン関係の学校に進学して、晴れてファッションデザイナーとなる。

 

それまで反発していた父の勤務する病院で、懸命にリハビリする伊万里を見て、彼女のひたむきさに打たれ、彼女を直す手助けになればと医師を目指すことになる涼介。星乃が死んだ「一周目」では、その出来事から立ち直れず、緩やかに腐っていった大地とは対照的に、奮起して医師となった涼介とファッションデザイナーとして成功した伊万里はのちに結婚することになる。

 

それが。

 

大地は、伊万里を救ってしまう。車にはねられる直前、彼女を突き飛ばして。

 

それにより、

 伊万里は足を骨折しない...つまり、伊万里は入院しない

 そして国内のデザイン学校には行かず、当初の夢通り留学する方向に進み始める

 かつて伊万里のリハビリする姿を見て、心を動かされた涼介はここにはいない

 涼介は学校に意味を見いだせなくなり、退学を考えるようになっていた

 

このままでは、伊万里と涼介の人生は深くは交わらず、離れて行ってしまう。伊万里の一生負うはずだった大怪我を防いだことで、分岐が生まれ、「二周目」では二人の人生は深く交差しない方向に進み始めてしまったのだ。

 

「一周目の答え」を識る大地は、懸命にそれを修復しようとする。

 

でもそんな大地に涼介は言う。「俺はまだ本気出してないだけ」「あの台詞さ、マジ俺なんだわ。まだ本気出してない、って言い訳しているから、かろうじてカッコがつくんだよ。もし、本気出してこの程度なら、マジできついんよ」

 

そう言って退学するという涼介を引き留める言葉を、大地は持ち合わせていなかった。

 

そして、先日の星乃と真理亜を襲撃から守ったことで改善されたかに見えた大地と星乃の関係も、その後ジャーナリストと一緒にいたところを目撃され、一方的に星乃から絶縁される。「本日をもって、あなたはクルー解任よ」(クルーとは星乃によって何重ものセキュリティがかけられた星乃の部屋に入ることが許された人物)

 

絶望のさなかの大地は不思議な少女に会う。

その少女は大地に告げる。

 

「人生の経験値は、成功でも失敗でも手に入るんだ」

「人生っていうゲームは、何をやっても経験値になるんだ。試合に負けたって、受験に落ちたって、友達とケンカしたって、女の子にフラれたって、それはすべて君を成長させ、打たれ強くさせ、人の痛みが分かる大人へと進化させる糧になるんだよ」

「君はそんなボーナス・ステージを全力でスルーしてきて今に至るのさ・・・・・・じゃあね、レベルの低い勇者さん?」

 

少女に告げられた言葉、そして先が見えなくてもファッションデザイナーという夢を追いかけようとする伊万里が語った言葉、「最後は『エイッ!』って飛び込むのよ」。

 

大地は気づく、頭でっかちなゆえに詰められなかった溝に。

 

論理的ではないと思いながら、自分の想いを正直に星乃にぶつけて、再びクルーとして認められた大地。

 

「おまえのこと、心配なんだ。だから、クルーになって、そばにいたいんだ」

「理屈じゃねぇよ!」「心配だから、心配なんだ!」

 

◆◆◆◆◆◆

 

世間では、星乃の亡父が設計に携わった人工衛星が行方不明になるという事件が相次ぐ。その事件を調べるうちに、星乃が繰り返し襲われる事件=エウロパ事件は実行犯とは別に首謀者がいることがわかってくる。実行犯はいつも異なる人物。しかしその人物をネットでそそのかし、祀り上げ、鼓舞し、陶酔させて、犯行を実行させた人物がいる。

 

その人物をあぶりだすため、星乃の部屋でネット掲示板に罠を張る二人。大地がそれと思わしき人物と掲示板でチャットし、星乃がそれまでの事件で犯人をそそのかしたと思われる人物の発言との相動性を探る。そそのかされたふりをして、なにかコトをおこしたいと書き込んだ大地を、称賛し、祀り上げるネットの向こうの「誰か」。

 

ただ、最後に罠にかけるつもりで放った一言「みんなでオフ会やらない?」によってサアッと潮が引くように掲示板から人が去ってしまう。やりすぎたか、と思ったその時、星乃を語る偽SNSアカから、アナウンスがされる「第1回『天野川星乃オフ会』開催決定!」。

 

はたしてそのオフ会のライブ配信を見た星乃と大地が目にしたのは、天野川家の墓石がペンキで穢される動画。あきらかに挑発。しかし星乃のアパートの前に倒れていた惑井葉月に気を取られているうちに、星乃が行方不明になってしまう。

 

「あの地球人、殺してやるっ!殺してやるわ!」

 

父母の眠る墓地を穢されて激高していた星乃がいく所として、思い当たるのは天野川家の墓がある寺。そこに来た大地は宇宙服を着こんだ人物に銃撃される。逃げる大地。しかし、徐々に追い詰められていく...

 

その瞬間。

「-くちゅん!」

声がした。それは誰かのくしゃみ。

 

星乃....?

 


 

1巻目と違って、明らかに「引き」がある造り。

 

エウロパ(星乃を繰り返し狙う事件)の首謀者も謎のまま。そしてラストに出てきた少女は?

 

...と次巻への期待をさせる巻だったが、今回アツかったのは、退学しようとする涼介を引き留めようとする大地。

 

「俺、根性ないし、いまさらスクールカースト最下位から始めらんねーし」

-なんつーかな、ホラ、マラソン大会とかでさ、後ろのほうですげえタラタラ走ってるやついるじゃん。ニヤニヤしながら、いかにもダルいんですって感じのヤツら。アレさ、無意識にアピールしてるんだよ。本気で走って最下位はダサいけど、まだ本気出してないから、仕方ないですよーってアピール。

前に、彼からに言われた言葉を思い出す。

「そんなにいやなのか、マラソン」

「え?マラソン?」

「ビリから一生懸命走るの、恥ずかしいか」

「無理だよ、今さら」

「言ったろ、俺そんな根性ないもん。さんざんいろんなことサボッてきたのに、今さら必死こいてスパートなんて・・・・・・・そんな恥ずかしいことできねぇよ」

「笑われたっていいんだ」

「それが『夢』なら、誰に笑われたっていい」

「もし、誰かがオマエの努力を笑ったら・・・・・・」

「僕も、いっしょに笑われてやるから」

 

大地自身も「精一杯やってうまくいかないのはコスパが悪い」と思っている。そんな彼が、伊万里の留学志望や星乃との対話を通して悟っていく。

 

 

最後は『エイッ!』って飛び込むのよ

 

  #君死に

人生は一度きり。

夢をあきらめて後悔するより、夢を追って後悔する方がよい。

そんな第1巻から続くメッセージが込められた作品でした。

そして今回も2巻のボツ案含む表紙ラフ資料の店舗特典付き
そして今回もボツ案含む2巻表紙ラフ資料の店舗特典付きをつかんでいるわけですがっw

更新: 2018/11/06
胸アツ度

涼介をくどく?大地はアツイ

答えを識っている強みはあるものの、自信のない涼介を「元の」ルートに戻そうと、熱弁する大地はアツイ。

  • 購入金額

    702円

  • 購入日

    2018年09月30日

  • 購入場所

    メロンブックス

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