紙用裁断機です。
本の ”のど” の部分を裁ち落としてページをバラバラにしてドキュメントスキャナに通せるようにします。
刃。不用意に素手で触れると・・・
素性は混乱気味
類似の新品はAmazonや楽天にあって、最安では送料込み9,000円くらいです。ただ、 型番は、輸入業者が独自に付けたものか「858A4」「BA58A4」「PC009」「PT6176」などとあったり、微妙に形状や塗色が異なったり、型番不表示の製品も存在していて、同一製品なのか、亜型なのか、世代交代品なのかよくわかりません。このあたりの混沌とした感じが、「中華裁断機」ならではです。
おそらく2010年より前から販売されていて、先行ユーザーのおおかたの評価は「価格の割に役に立つ。まあまあ切れるし。ただし、裁断精度はイマイチ、造りと仕上げは雑だけど」というものでした。
これらの製品におよそ共通する仕様
- 生産国:中国
- サイズ: 約幅530x奥行480x高さ330mm/重量 17kg
- 最大裁断幅: 310mm
- 最大裁断厚: 37mm
- 裁断可能枚数: 400枚~500枚
サイズは、レバーを取り付けて操作側からみて右側の用紙サポートを広げるともう少し大きくなります。
入手したモノは、 手がかりとなる表示がないので新品でいうとどの製品なのか判然としません。なので、いずれ替刃が必要となったとき、どの機種の替刃を手配したら良いかわからず、どうにか見当をつけて注文したとしても適合する刃が届くのかという不安はあります。というのも、本体の外見が似ていても刃のサイズや取り付け穴位置が異なる製品が複数存在するようなのです。
使用感はまずまず
テスト切りをしたところ、一応切れるようです。切れ味は新品の状態を知らないので、よくわかりませんが、すぐに刃を替えるほどではなさそうです。
この裁断機がない場合は、定規とカッターナイフで切っていました。
カッターナイフでは時間がかかるし、手が疲れるし、ときどきズレたりして安全にきれいに切るのはなかなか難しいものでした。
それに比べてこの裁断機を使用すると、たしかに作業効率が上がり自炊が捗ります。
滑り止めが必要
裁断時に刃がまっすぐ垂直に紙の中を進んでいないようです。3.5cmくらいの厚さの冊子では切り始めと切り終わりで1~2mmくらいズレます。
原因は、刃が片刃であること、押し下げ機構の精度や強度、刃物が進むとき ”のど”の部分が固くうまく逃がすことができない、など推測されます。
これはこの個体特有の問題ではなく、この系統の裁断機の構造上ある程度やむを得ない事象のようです。
紙押さえでしっかり紙を固定しておけばよいのですが、本体の強度や紙へのダメージを考えると、締め付ける力には限度があります。
台と紙の当たる面、紙押さえと紙の当たる面に滑り止めをつけるとよい(改良品でははじめから滑り止め材が添付されている)、その素材は100円ショップにある、との情報があるので、試してみても良さそうです。
自炊では紙の寸法誤差は、本文にさえ影響なければスキャンの工程で吸収できるのでさほど問題にはならないのですが、できればズレないで切れてほしいものです。
機構
なかなかシンプルでよく考えられています。
揺動(刃がただ垂直に直線的に落ちるのではなく、刃の元と先で動作の線形を変えて、紙に対して斜めに進みかつ片側が先に進むようになっている)の仕組みは、おそらく人類の知恵の積み重ねによってこのような形に至ったものなのでしょう。
手入れと調整をうまくすれば何千カットかはできそうな機構です。グリスは引き直したほうがいいかな。
刃を替えるか研ぐか
国産品(正確には日本ブランドの製品)では、PLUSに方式違いの同規模品があって、実売で本体2万円台後半、替刃0.8万円くらいの見当です(PK-513LN)。
PLUSのユーザーさんの中には研ぎ屋さんへ研ぎに出す人もあるようです。
この858A4系の場合は、切れ味が悪くなっても、刃は研がないで替えたほうがよさそうです。
正確な直線に研ぐのは手作業ではほぼ不可能だし、研ぎ屋さんにお願いすると数千円かかるのに対し
て、寸法が合えばの話ですが、3,000円ほどで新品の替刃が入手できそうだからです。
まあ、刃の質は価格から推して知るべし、という程度でしょうから刃をメンテナンスするモチベーションは低めです。
研いでみた
とはいえ、ダメ元で研いでみたとろ、よく切れる(より少ない押す力で刃を進めることができる)ようになりました。
ただ、手作業で研いでいるので正確に刃先角が出せているとは思えず、早晩切れなくなるような気がします。
手作業の研ぎだと、繰り返し研ぐうちに刃先の直線性が失われる可能性が高く、刃先が刃の元と先の間で高低ができ、刃先が均一にあて木まで届かず、裁断物の最後の数枚が部分的に切れていないということが起こりえます。
なので手で研ぐ際は、刃先の角度はもちろん、刃の高さが一定に直線をなすよう注意した方が良さそうです。
研ぐ前
サビは研ぐ前に金だわしで落としました。さいわい目視できるような刃こぼれはなさそうです。
「HSS 高速鋼」の刻印が見えます。この表示がフェイクでなければ、JISでいう SKH からはじまる番号を持った「高速度鋼(高速回転=高温でも切削力が落ちない刃物の材質)」に相当する鋼材を使用している意味だと思われます。表示の信頼度も含めてここではあまり気にしなくてよさそうですが、砥石を選択する際の参考になります(「ハイス鋼(HSSのこと)にはCBN砥石がベスト」との記述あり)。
また、ロゴマークは中国の「云广(YUN-GUANG)」社だとわかりました。
http://www.cnyunguang.com/en/products.asp?classid=1
中国南東部最大の事務機器メーカーとのことですが(about us より)、主にこうした裁断機を自社製造しているようですので、この裁断機のルーツはここということで確定です。
ちなみに、云广 は、繁体では 雲廣 となるようです。簡体、略しすぎww
カタログに 裁断機 は中国語で 切纸机 とあります。発音はわかんないけど、おもしろいww
研ぎ中
そもそもこの刃を水砥石で研ぐのが正解かどうかわかりません。
片刃なので刃の面を たぶん100回くらいまんべんなく、反対側はカエリを取る程度にしました。水分を拭って自転車で使う水置換タイプのオイルを吹いて拭き取りました。
元々の研ぎにはグラインダーを使っていて、砥石が刃に直角に回転して当たっているようです。なので、刃の面が平面でなく砥石の円弧の分僅かにへこんだ曲面になっているように見えます。
砥石(台所の包丁を研ぐ用で研ぎました。砥石は、中目と細目が裏表にくっついているものです。”砥石の砥石” で表面をもっと平らにしておかないとですね。)
刃の仕様(実測):
- 刃の幅x高さx厚み: 376mm x 41.2mm x 5mm
- 取り付け穴の数とピッチ: 7個 x 52mm
- 取り付け穴の位置:刃先から 24.5mm
- 取り付けネジのサイズ:M5
- 重量: 469g
替刃は?
刃の形状サイズから型番を推定すると、本体は2013年以前の「858A4(BA58A4)」ではないかと思われます。店舗によっては「旧型858A4」としています。すでに本体の販売は終息していて、よくよく調べると替刃の販売もほとんど品切れ状態です。
替刃を扱っている通販店舗に問い合わせても「サイズは教えない、当店で本体を買った人だけに売ることにしている」(カイネットショップ・ダイシン商事)などという返答だったりします。まともな対応には見えませんが、よほどサイズ違いの返品に悩まされているのかなと推測します。
ということは、切れなくなった場合、本来なら刃を替えたいところですが、自力で研ぐのが最善とわかってきました。
カッターナイフでいつも新鮮な刃が使用できることに慣れてしまっていますが、本来、包丁など刃物は研いで使うものですし。
収納
重いうえに(実測 17.2kg)重心が偏っていて、フットプリントが大きいので、収納に工夫が必要です。
毎日使うものでもないので、しまいやすくて、ラクに使用体制に移行できる何かがほしいです。
とりあえず、段ボールをかまして作業台の下に縦置きしていますが、たぶんずっとこのままですww
結局・・・
型番不明、替刃の供給なしとはいえ、目的どおりに使用できていて、楽しめています。
個人が進める自炊の道具として満足度は高いです。
研いでリカバリできない程の刃こぼれをさせてしまうとか、研ぎすぎて刃が短くなって最後まで切断できなくなれば、本体ごと買い替えることになるのかな。
こうしたことを煩わしいと感じる方は、国内ブランドの製品を使用するか、中国製にしても新品を買われるのでしょうね。
※ その後、調べていくうち Aliexpress では替刃を入手できそうなことがわかりました。
右の「old blade」を指定して注文すればよさそうです。
日本のサイトでもこのように新旧の違いを示してくれればよいのに。
中国製・中古
(落札金額:3,200円、送料:1,850円)
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購入金額
5,050円
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購入日
2018年06月27日
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購入場所
ヤフオク
kaerkiさん
2018/06/29
ちばとどさん
2018/06/29
あは。それを言うなら、そばかうどんですよねw
そうめんは延ばして細くするのでww
時節柄、そうめん、食べたくなりましたー。梅雨も明けたし!
Takahiroさん
2018/06/29
このアイテムも懐かしいですね~w 新品だろうが中古だろうが刃の状態は最悪でしたのでよーく覚えています。タ○ムリーが扱い始めたのをきっかけに「なにそれ、そんな話聞いてねーよ?」と社内でなって裁断機(PC009)の販売から手を引いたと記憶しています。
ちばとどさん
2018/06/30
売り歩いたということは、法人相手ですよね。そういうことなら これ系の機種では厳しいかなぁ。出始めの新品だとたぶん、グリスべっとりとか未調整品が混ざってるとか入荷したままで客先納品はできなかったんじゃないでしょうか。
刃は、個人ユーズで1000冊くらい裁断するには持つし、だめになっても研げばなんとかなるんですよ。自炊愛好家にはおおむね好評ですよ。
PC009は、858A4の先行品で本国のブランドも違うみたいですね。今でも替刃は売ってます。
そして、製造本国では現在、 PC009とよく似た858A4 の改良型やら新型を全力で作っているようです。
Takahiroさん
2018/06/30
いやそこはノーコメントですかねぇ~。所属が何処だったにしろ下っ端の使えない人間でしたので。
話を戻して~
PC009を如何にしてScanSnapの横に置いてもらうか勉強したんですが、当時の資料は全部捨てたので今はっきりとしたことは言えませんが、1000冊裁断できたってっことはそれなりに使えるアイテムって言ってもいいのかな?今も似た裁断機が売ってるし。
余談ですがZIGSOWって当時売り歩いた懐かしいアイテムが見ることが出来るので面白いですねw
ちばとどさん
2018/06/30
法人でスキャナとセットでこの手の裁断機の需要を見つけるのは当時としても難しかったんじゃないかなぁ。
製本済みの書類がたくさんあるという状況が思い当たらないです。
チラシとかパンプレットを内製しているような会社だったら欲しかったかもです。10年くらい前はまだネットプリントなんかそんなになかったんで、社内のコピー機やらプリンタで結構な枚数刷ってましたから、社内で切ったり折ったり貼ったりの作業が多かったです。
この 858A4 は、導入するには周回おくれもいいところで旧タイプともわからなかったのですが、それでも必要が生じたので入手したのでした。スキャナも買ったり修理したりしました。