来年で遂にメジャーデビューから満50年を迎えるロックバンド、シカゴ。結成は1967年2月なので、結成からは既に51年を超えていることになるわけです。
そんな彼らも、1990年代以降活動が停滞するまでは、ライブアルバムは殆どリリースしておらず、公式にアルバムとカウントされているものは、通算4作目となる「Chicago at Carnegie Hall」だけでした。日本と欧州一部地域では、後に「Chicago Live in Japan」という日本公演を収めたアルバムも発売されていますが。
しかし、22作目となる予定だったアルバム「Stone of Sisyphus」がレコード会社の反対により発売中止となると、新曲のリリースが止まった関係でライブ音源が徐々に発売されていくようになります。
26作目に当たる「XXVI Live in Concert」をはじめ、DVD等の映像作品が立て続けにリリースされたほか、25作目として過去のライブ音源を発掘したものを発売したり、オーケストラライブ盤を発売したり(これはパイロット盤のみで正式リリースは中止)もしました。
これらはいずれも後に発売することを前提に、きちんとした体制で録音されていて、その時代の中ではまずまず優れた音質で記録されています。
しかし、それ以外にも記録用程度の録音であれば音源は無数に残されていて、中には所謂ブートレグではお馴染みとなっているものすらあります。
今回リリースされた「VI Decades Live : This is What We Do」は、そのような音源の中から演奏内容の価値が高いものを中心にかき集め、1つのボックスセット盤としたものです。タイトルが表す通り、6つのディケイド、すなわち60、70、80、90、00、10年代の演奏が(70年代に著しく偏っているものの)幅広く収められています。
一見すると日本盤のようなのですが、実は輸入盤に日本のワーナーミュージックで帯などを添付してパッケージしただけのものとなっています。
完全なるファンアイテム
パッケージの中身を確認してみましょう。
ブックレット等もなかなか豪華ですが、ディスクのボリュームも十分なものがあります。CD4枚+DVD1枚という構成で、DVDはマルチリージョンであるため輸入盤でも問題なく再生可能です。
収録内容は、全てを書き出すとあまりに多くなってしまいますので、ディスクごとの内容をワーナーミュージックの紹介ページから引用しておきます。
Disc 1:1970年8月28日のワイト島フェスティバルのライヴ(前編)
Disc 2:1970年8月28日のワイト島フェスティバルのライヴ(後編)
Disc 3:ライヴ集(前期)
Disc 4:ライヴ集(後期)
DVD:1977年2月12日のドイツのTV音楽番組、ロックパラストで行ったライヴの全編
Disc1~2は、伝説とも言われたワイト島フェスティバルのライブで、これまで断片的にはブートレグ等で紹介されてきたものです。全編通しての商品化は初めてと思われます。
Disc3~4は前期・後期とだけ記載されたライブ集ですが、この期間の分け方は結成当初からのメンバーで、1978年1月にピストル暴発事故で亡くなったTerry Kathの在籍時が前期、それ以降が後期という分け方となっているようです。
個人的には後期のディスクが特に欲しかったので、このボックスを買ったという面があります。このDisc4のみ、内容をご紹介しましょう。
01. Hot Street(Greek Theater, Los Angeles, CA, 8/11/78)
02. Little One (Greek Theater, Los Angeles, CA, 8/11/78)
03. Forever (Pensacola Civic Center, Pensacola, FL, 3/21/87)
04. Medley ~In The Midnight Hour~Knock On Wood~I'm A Man~Get Away (Pensacola Civic Center, FL 3/21/87)
05. You're Not Alone (Starolex Amphitheatre, Dallas, TX, 5/30/92)
06. The Pull (Caesar's Palace, Las Vegas, NV, 3/20 94)
07. In The Mood (Caesar's Palace, Atlantic City, NJ, 7/28 94)
08. Don't Get Around Much Anymore (Caesar's Palace, Atlantic City, NJ, 7/28 94)
09. Look Away(Acoustic)(A&E Network, Live by Request, 9/5/02)
10. America (Whyy, The Grand, Wilmington, DE, 5/7/14)
このディスクは貴重な音源満載なのです。「Chicago XI」に収録され、故Terry Kathがヴォーカルを務めていた「Little One」を、後任ギタリストとして加入したDonnie Dacusが歌ったものや、ライブでの披露回数が殆ど無かった「Chicago 18」収録曲の「Forever」、スタンダード曲カバー集である「Night And Day ~The Big Band」から2曲など、是非聴いてみたいと思う曲ばかりでした。
実は「Night And Day」リリース後のツアーについては、日本のWOWOWでビッグバンドと共演した東京公演の様子が放送され、世界的に見ても極めて貴重な映像となっているそうです。生憎この時代にはWOWOWを見られる環境がなく、私も断片的に見たことがあるという程度です。
この盤ははっきり言って音質等は隠し録りレベルで全く良くはなく、演奏内容に強い興味があるという方以外にはお薦めできません。きちんとしたライブ盤は他にありますので、そちらを聴いていただくべきでしょう。
しかし、熱心なファンから見れば今まで存在していることは知っていても耳にすることがなかった貴重な音源が公式にリリースされたということに、計り知れない価値を見出すことが出来るのです。
-
購入金額
8,067円
-
購入日
2018年04月24日
-
購入場所
ジョーシン
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。