レビューメディア「ジグソー」

HA-FX1100の形状と重さ、自分の耳の形からはベストチョイス?

JVCのWOOD系イヤホンでは「前世代」に当たるが、一般的なラインアップが「HA-FW0xシリーズ」になった今でも併売され続けている「エクスクルーシブモデル」HA-FX1100

 

新世代のトップモデル「HA-FW01

の方が、キモとなるウッドドームユニットに使われている木材の厚さが薄いためか、反応性が良く、対応ジャンルが幅広いのだが、HA-FX1100はいくつかの曲で「どうしてもこれでなければ」というツボはまりのものがあり、曲とのマッチングという意味ではピーキーではあるが、とても魅力のあるイヤホンとなっている。

 

ただ自分にとってHA-FX1100には音色的な「使いにくさ」とともにもう一つ「使いづらい」点がある。それは形状(とcybercatの耳の形)に起因する。ケーブルを含まない片側のハウジングだけで7gと、重量級のこのイヤホン、形状的にもハウジングが長めで耳からの飛び出し量が多いのに加えて、ステム(イヤーチップをつける「軸」)が短く、耳穴の奥まで入れることができない(ちなみに参考値として、完全ワイヤレスで、その機構が余分に必要なため重めのEarPodsですら片側4g)。

かなり重めのハウジング
かなり重めのハウジング

 

比率的にこのバランスは...
比率的にこのバランスは...

 

さらにcybercatの耳が下向き開口でかなり細めという耳道。

 

いつもは、比較的小さめのイヤーチップをつけて、奥までねじ込んで落下を防ぎ、静寂性を稼ぐという装着法をとる。

 

しかしこのHA-FX1100はステムが短いため、十分に奥まで入らない。そのため、純正イヤーチップのなかではやや大きめの、MLサイズのスパイラルドットを使って、傘の部分の摩擦係数を増して安定化するという方法を採用した。

 

ただこの方法、室内で聴く分には問題ないが、外出時に使うと、耳道への食いつきがよくないのを摩擦で無理やり止めているだけのため、歩いたりするとだんだん浮いてきて低音が抜けて外界ノイズが入るようになり、最後には耳から零れ落ちてしまう。

 

木の独特の響きは唯一無二ながらも、装着安定性が悪くて、室内でしかその音を堪能できないとなると、「イヤホン」としてはかなり活躍の場が狭くなる。そもそも家で聴くなら自由に動けて、音圧も感じることができるスピーカーに軍配が上がることが多い。そのため、HA-FX1100はすっかり稼働率の低いイヤホンに成り下がっていたのだが...

 

その後入手した、おなじWOODイヤホンであるHA-FW01がシェイプを大幅に変更してきて、自分にとっての装着性の改善が大きく、結構外にも連れ出すようになったため、さらに「濃い」のを連れ出せないだろうか...と考えるようになった。

 

そこで試してみたのがcybercat的イヤーチップ3傑のひとつ、奥が太い独自の形状で耳への食いつきが良いRadiusの「Deep Mount Earpiece」。このイヤーチップ、一般的な円錐型や丸形と異なり、一番径が大きい部分が装着時に耳の奥側にあるというロシア帽のような形状。これで耳道奥での密着性を高めて、静寂性アップと低音のヌケを防ぐというコンセプト。耳への食いつきが良いので、安定性が悪いイヤホン/UIEMには重宝する。

横から見るとその特徴的な形状がよくわかる
横から見るとその特徴的な形状がよくわかる

 

前回とは違ってMを入手
前回とは違ってMを入手

 

通常はより奥までとどくようにSサイズを使うのだが、

HA-FX1100はステムが短いので耳奥まで入りきらないため、大きめのMを入手。

 

純正(MLサイズ)と比べると横断面形状の違いは明らか。そして「穴が細い」。一般的に穴が大きい方が高音がわかりやすく近鳴りし、細い方が指向性が強く遠達性がある。上手くハマらないと高音が減衰するような印象があるが...

純正のスパイラルドットと比べると、耳奥側の軽が太い
純正のスパイラルドットと比べると、耳奥側の径が太い

 

そして穴の径が細いのが特徴。
そして穴の径が細いのが特徴。

 

実際の曲を聴いてみる。まず、cybercat的基準曲で、HA-FX1100に「合う」ジャンルであるジャズトリオ(吉田賢一ピアノトリオ)のハイレゾ音源(PCM24bit/96kHz)“STARDUST”

から「Never Let Me Go(わたしを離さないで)」。純正だとウッベの存在感がすごく、上は比較的穏やかでシンバルや金物系の華はあまりないという形だが、「Deep Mount Earpiece」にすると、弱ドンシャリになる。ベースは存在「感」という意味では低次倍音のあたりは少し引っ込むのでやや下がるが、響きという点では密着度が上がったせいか、1/2⇒3/4へとサイズを大きくしたような深みのある音に。一方高音系は純正だとフットクローズハイハット>ライドシンバルなのが逆転し、ライドシンバルが優勢になり広がりが出る。これは穴が細くて高音域に遠達性が出るのかもしれない。中域にエネルギー感ある純正か、モダンなDeep Mountかという感じ。

 

洲崎綾の初写真集“Campus”

の付属CDより、「たまこラブストーリー」の主題歌「プリンシプル」の作曲者でもある藤本巧一の作となる沁みるバラード「」。これは純正だとバックが薄いところのあやちゃんの深みある丸い歌声はとても良いのだが、リズムインするとベースがすべてを押し分けて中央に居座るので、ヴォーカルの色艶がなくなってしまう。Deep Mountだとバックが薄いときの表情は純正にやや譲るが、ベースが入ってきても低次倍音あたりのヴォーカルと重なるあたりのコクが薄れ、ピークがもう少し深いところに移るので、ベースが地を這い、ヴォーカルが中央に降りてくる。全曲通してのバランスはこちらに軍配。

 

装着安定度は上昇し、外界の騒音も遮断性能が上がるので、基本外づかいではこちらを選択。音色傾向が若干モダンな感じになるのは、屋外では許容範囲内かな。自分にとってはHA-FX1100の稼働率を大幅に上げたイヤーチップです。

更新: 2019/05/11
効果

安定度はかなり上がる

純正のイヤーチップに比べるとかなり「座り」が良い。特にHA-FX1100を、外で動いているときに聴くには自分的には必須かもしれない。

更新: 2019/05/11
音質

低音が出るのをよしとするかどうかで...

純粋な音質面では、密着度があがるせいなのか、穴が小さいせいなのかわからないが、やや低音が持ち上がる(ただし純正より少し低いところにピークは移る)。HA-FX1100との「相性」という意味では、やや多めの領域を持ち上げる形になるので、これを「美点を強調する」ととるか、「欠点を補わない」ととるかで評価は違う。

  • 購入金額

    950円

  • 購入日

    2018年11月03日

  • 購入場所

    e☆イヤホン名古屋大須店

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