レビューメディア「ジグソー」

LDAC接続とノイズキャンセリングを併用できることがメリット

SONY製のヘッドフォンはこれまでに何機種か取り上げていますし、Bluetooth接続対応モデルやノイズキャンセリング搭載モデルもそこに含まれています。

 

 

 

 

しかしながら、私が所有する機種で、Bluetooth接続とノイズキャンセリングの双方を同時に備えたモデルはありませんでしたし、SONYが提唱するBluetooth接続の高音質コーデック「LDAC」に対応する機種も持っていませんでした。

 

先日PlayStation4のレビューでも書きましたが、それらを同時に備えた上で価格も手ごろな、このMDR-100ABNの格安中古品を見つけていましたので、購入してきたのです。

 

もっとも、MDR-100ABNは少々古い製品であり、0.5ランク上がり機能・音質が向上したMDR-1000Xが発売されましたし、さらにMDR-1000Xの新世代モデルであるWH-1000XM2が発売となっています。このMDR-100ABNも1万円を割り込んでいなければ買うに値しなかったでしょう。

 

 

 

 

 

 

本体は折りたたみ可能であり、折りたたまれた状態でこのキャリングケースに収納されていました。

 

 

 

 

 

一応有線接続にも対応していますので、ステレオミニケーブルも添付されていますし、Bluetooth接続やノイズキャンセリングで必要となる電源の充電に使うmicroUSBケーブルも用意されています。

 

 

 

 

 

添付のステレオミニケーブルはそれほど良いものではなさそうですが、今回はこのまま試聴することにします。

更新: 2017/11/28
総評

LDAC+NCに価値を見出せるか

それでは試聴してみましょう。

 

率直に言ってMDR-1系と比較できるほどのクオリティーがないことは最初からわかっていますので、今回は主にWALKMAN NW-A16で試聴することにします。一応写真にあるONKYO DAC-HA300でも聴きましたが、特にメリットは感じられませんでしたので割愛します。

 

 

 

 

まずは有線接続・NC無効で聴いてみます。

 

MDR-1RNCでもそうだったのですが、この類のノイズキャンセリング対応ヘッドフォンは、原則的にノイズキャンセリングを常時有効にすることを想定していますので、無効にしたときの音ははっきり言って全く良くありません。

 

MDR-1RNCと比べればNCの有無による音質差は少なくなっていますが、それでも中低域辺りの籠もりがどうしても気になりますし、楽器やヴォーカルの質感も褒められたものではありません。

 

そこでNCを有効にしてみます。すると安っぽいといえば安っぽい音ではあるのですが、籠もりが一気に晴れてバランスも整った音へと変化します。NC有効時の音は、高域の刺さりがひどいMDR-1RNCよりはずっと普通の音であり、十分音楽の鑑賞に堪えるだけのレベルを保っています。1.5万程度のアラウンドイヤーヘッドフォンと比較しても特に遜色ないでしょう。さすがにMDR-1Rなど上位製品に匹敵するとまでは言えませんが…。

 

 

今度はこの製品の本命であるBluetooth接続も試してみましょう。NCは有効のままとします。

 

NW-A16との組み合わせではBluetooth接続のペアリングは実に簡単で、NW-A16とMDR-100ABNの双方がNFCリーダーを備えていますので、双方のリーダーをタッチさせるだけでLDACによる接続が有効となります。なお、他社製のプレイヤーと接続する場合には、ごく普通のペアリング動作が必要となります。

 

 

実は今もこの組み合わせで音楽を鳴らしたまま文章を打っているのですが、この組み合わせで特筆するべきは「Bluetoothくさい」という音では無いということです。最近Bluetooth接続に対応した高音質ヘッドフォン・イヤフォンは数多くでていますし、SHUREやWestoneなどがBluetooth接続用ケーブルユニットを発売するなどしていて、それぞれ好評を博しています。しかし、私が聴く限りではその殆どが、少し音を聴けば「いかにもBluetooth」とわかってしまう程度の音質でしかありません。SHUREのケーブルなどはSBC接続の割には音質の良さをアピールしているのですが、実際に使ってみるとSE535クラスと組み合わせればかなり粗が目立ちます。SE215クラスであれば何とか使えるかというところでしかありません。

 

しかし、今回の組み合わせでLDACで使っている分には、一聴してBluetoothと判別するのはなかなか難しい程度の音質は確保できているのではないでしょうか。もっとも、完全に有線接続に並んだかといわれればそんなことはなく、有線接続と比べれば空間の密度は薄くなりますし、低域方向の厚みも乏しくなります。百均で売っている程度のケーブルで有線接続すれば近いイメージとなるかも知れません。

 

それでも今まで使ったワイヤレスヘッドフォンの中では最良という水準の音は保てていますし、ヴォーカルや弦楽器、ピアノ等の目立つ音がそれほど劣化しないというのは大きな美点と言えます。SONYらしくノイズキャンセリングは極めて優秀(メカニカルキーボードの打鍵音がそれほど入ってこないほど)ですので、電車の中などで音楽を楽しむ分にはかなり優秀なヘッドフォンでしょう。

 

ヘッドフォンとしての本来の実力はさほど高くありませんが、SONYらしくBluetoothやNCの出来は素晴らしいものがありますので、本気で音質評価をするのでなければ十分使えるヘッドフォンと言えます。

  • 購入金額

    8,640円

  • 購入日

    2017年11月22日

  • 購入場所

    HARD OFF

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