レビューメディア「ジグソー」

これは必ず「きゃにめ」で買うべし!

本の蟲。
実は結構読書家で、特に若い頃は乱読しました。
ジャンル的にはSF~ファンタジー~ミステリなどからコミックまでイロイロ。
3桁では収まらない蔵書の中からトピックをご紹介していきます。

芋づる式洲崎綾 Part5」。Webラジオのキャラクターの面白さと、天使の歌声のギャップ萌えですっかりファンになった洲崎綾(あやちゃん/ぺっちゃん/あやっぺ)関連。12月といえば恒例のイベント月ということで、それに向けてこの1年で増えてきた彼女の直接参加した作品や楽曲、ラジオCDなどから、参加作品の主題歌や演じたキャラクターのグッズ、イベントグッズなどの関連商品まで芋づる式にご紹介するシリーズレビューの5回目。

前回に引き続きあやちゃんがドラマCDで声を演じる物語「魔法少女OverAge(魔法少女オーバーエイジ)」のノベライズ。...といっても前作

と違って、あやちゃんが演じる魔法少女戦隊「ルミナス☆クライシス」の「シャイニングチェリー」こと桐野さくらの登場比重は低い。

話はさくらたちの後輩、(女子高生などというBBAではなくて by ぽんすけ)中1の現役の魔法少女=「ソルシエール・リュミエール」こと第五八小隊にも大きくかかわる。

前作では「ルミナス☆クライシス」メンバーの島津くれなの妹で「ソルシエール・リュミエール」のFoudre rouge(赤い稲妻)でもある島津くれはが、チョイ役で出てきただけだが、今回は彼女たち現役魔法少女世代もほぼ同等の重さを持ち登場する。

「ルミナス☆クライシス」は、現役時代にその魔法少女史上圧倒的な強さで、ましろのような熱烈なファンをつくったが、強いということは魔法をバンバン使う=土地の魔力が減り疲弊する=高価な魔力結晶で魔力を補わなければならない & 害霊と闘うのに遠慮がなかったため、建造物の破壊などの賠償金が大きかったということで、ダブルで莫大な費用がかかり、航空防衛隊内での評価は芳しくない。

ただ、現在現役の「ソルシエール・リュミエール」も問題児だらけだった。Fleur rose(ピンクの花)こと小宮ももかはギャル、Foudre rougeのくれははルミ☆クラ...というかさくら命で戦い方が自分の魔法に合っていない。Noble blue(青い貴族)の児玉あおいはドSで辛辣、Charm de ambre(琥珀の魅力)の有馬こはくは自分にまったく自信がなく臆病で合体魔法に参加できない、極めつけは、なぜか忍者に目覚めたNoir fidèle(黒い忠節)こと黒田はがね。特にももかやこはくは、魔法少女を辞めたくて仕方がない。

そんな時、前作で登場したイレギュラー害霊たちを、ルミ☆クラファンでさくらたちの同級生である伊藤ましろも加えた元魔法少女=ルミナス☆クライシスが浄化することになる。例によって消費する魔力結晶の購入費や戦闘で破壊される建造物等の賠償金を、彼女たちの闘いを放映することで得ることになったが、通常の番組と違ってイレギュラーな企画のため、予算がない。そのため、自前で主題歌を創ることになった。

このあたりは最後の同人CDである“GENERATION TRIAD

のドラマパートに詳しいが、上官である冴子からさくらたちは「夢と希望に溢れ、テンポが速く、メロディはキャッチーで視聴者にも歌いやすく、90秒サイズでの使用に適し、番組に出資するスポンサーがカラオケで気分良く歌える主題歌」を作るよう命令される。魔法を使ってもよいからと。

一方でぽんすけは、魔法少女を辞めたいソルシエール・リュミエールのメンバーも焚き付けて、ルミ☆クラ新番組の主題歌を競争して創らせることに。エサは、コンペ形式となる主題歌制作に勝てば「ひとつなんでも言うことを聞く」という条件。勝てば辞められるということで、俄然ヤル気を出すソルシエメンバー。

さらにこの主題歌コンペは、公開トーナメントとしてイベント化することに。時々プロのレコーディングに参加しているメンバーもいる「府中市役所軽音部」といった正統派から、燕尾服の下に荒縄を締めて歌う「緊縛燕尾服」といったイロモノまで登場するトーナメントとなった。

ルミ☆クラのメンバーは元々武器=魔法具が楽器の形のため、それぞれの楽器のパートを担当することになる。楽器自体は弾けない彼女たちだが、狂気の天才なつみの「モーションキャプチャした演奏データを、魔力の神経パルス変換で、自分たちの体に流し込んで、演奏を再現」するというとんでもない方法で演奏を形にする(単なる当て振りに思い至らなかったのが、なつみらしい)。

ここで魔法具がないましろがヴォーカルということになり、歌詞も任されるが、なかなか思いつけず、トーナメント1日目は♪ラララ♪で歌い、切り抜ける。3日間のトーナメントの最終日までに完成させればよいという条件ではあるが、果たして完成するのか?

魔法を客席に向かってバンバン打つなどいろんな意味でギリギリなことをして、ギタリストのティーが率いる実力ある高校生バンドである強敵「東インド紅茶カンパニー」を下したルミ☆クラは、ついに魔法少女を辞めたいソルシエとの最終決戦を迎えることになるが...??

...というようなお話で、最後にはましろが害霊に狙われる理由も判明し、トーナメントのステージに絡んでくる害霊との闘いを織り交ぜながら描くこの小説はとても「読ませた」。

ちなみにここでルミ☆クラが創る歌こそ、プロジェクトの最初の曲「テクスト≫オーバー」。だからあの曲にはメンバー全員の名前が「織り込まれて」いたんだ、とここで納得できる。

....と小説の方も読みごたえがあるものだったが、この単行本にはCDが付属するヴァージョンがある。それが、「きゃにめ限定版」。発行元ポニーキャニオンの直営店?「きゃにめ」で購入すると、“魔法少女オーバーエイジ -the second brew of Magic-”という、新録曲+新録ドラマパートが収められたCDが付いたタイプが購入できる(商品としては別物で、価格は本単品より高い)。

これ、「付録」なんてものではなくて、新曲5曲、ドラマパート7話、出演者7人のフリートークで合計73分超の大作CD。作者も小説のあとがきで嘆いているが、かなりの修羅場進行だったみたい。ただ残念なのは、あやちゃんの出番(曲、ドラマとも)がなかったことかな。

音楽の杜的コメントをすると、語りの入った「cogito」が面白い。スリリングな感じの曲でコスプレドラマー、フリーザックことZACKのドラマチックなドラムスが、少しサーカス(コーラスグループでなく「曲芸」の方の)っぽいメロディに絡む。

signs」は、ともにソルシエ世代の魔法少女を演じる遠藤ゆりかと鈴木愛奈の二人による勇ましい曲。♪世界を救えと誰か囁いた/出来るわけないと戸惑う弱さを/脱ぎ捨てて歩き出した♪と歌うのがルミ☆クラ世代の姉にコンプレックスとさくらに強烈な憧れを持つ島津くれはと、自分に自信を持てないこはくによる歌というのが面白い。

ドラマパートは、1作目のように小説の一部を切り出したものではなく、独立した「日常回」ながら、ましろをあしらうボクっ娘児玉あおいと、桂 ‘ママ’ ゆかりの掛け合いが楽しい「約束の地、スナックゆかり」が秀逸。

あと「噂はラベンダーの香り」では「さくら先輩フリーク」...というかもはやストーカー領域に到達しているくれはをいじるあおい。髪から漂った香りが違うことで気がついた「さくらがシャンプーを変えた」という話から、「さくら先輩とお風呂!」というシチュエーションを妄想して興奮するくれはに、ボソっと「入りましたよ、私。こないだ入りました、さくら先輩とお風呂..」と爆弾発言するこはく。修羅場んば、修羅場んば?w

このCDはきゃにめ限定の付録。でもそれがもったいないほどのスバラシイ出来。キャラクターに声が付くと、イメージを狭めてしまうことがあるけれど、声優さんの力量か、先にドラマCDから始まったからか、違和感なし、というかむしろイメージが広がるというか。

はっきり言ってこのCD、単体発売してもおかしくない出来
はっきり言ってこのCD、単体発売してもおかしくない出来
 

この小説を買うならば、必ず「きゃにめ限定版」を買うべきと断言できる「文字と音との相乗効果」が期待できるセットです。

■魔法少女オーバーエイジ「二番煎じなんてレベルじゃないっ」
・著者:砂守岳央
・イラスト:日向あずり

【魔法少女オーバーエイジ -the second brew of Magic-収録内容】
1. I find:伊藤ましろ(CV花澤香菜)
2. lumiere:小宮ももか(CV M・A・O)・児玉あおい(CV松井恵理子)
3. repeat regret:桂ゆかり(CV渕上舞)
4. cogito:久坂そらの(CV飯田里穂)
5. signs:島津くれは(CV遠藤ゆりか)・有馬こはく(CV鈴木愛奈)
6. 「約束の地、スナックゆかり」
 ドラマパート:花澤香菜・渕上舞・松井恵理子
7. 「だめな私たち」
 ドラマパート:遠藤ゆりか・徳井青空・鈴木愛奈
8. 「噂はラベンダーの香り」
 ドラマパート:遠藤ゆりか・松井恵理子・鈴木愛奈
9. 「リーダーの自覚」
 ドラマパート:M・A・O ・遠藤ゆりか・松井恵理子
10. 「約束の地、ふたたび」
 ドラマパート:花澤香菜・渕上舞・ M・A・O ・松井恵理子
11. 「彷徨える自分探し」
 ドラマパート:飯田里穂・ M・A・O ・鈴木愛奈
12. 「マジマックス困っちゃう」
 ドラマパート:M・A・O ・松井恵理子・鈴木愛奈
13. free talk 花澤香菜(伊藤ましろ 役)
14. free talk 渕上舞(桂ゆかり 役)
15. free talk 飯田里穂(久坂そらの 役)
16. free talk M・A・O (小宮ももか 役)
17. free talk 松井恵理子(児玉あおい 役)
18. free talk 遠藤ゆりか(島津くれは 役)
19. free talk 鈴木愛奈(有馬こはく 役)

「きゃにめ限定版アルバム楽曲試聴」

更新: 2017/11/28
洲崎綾推し的オススメ度

あやちゃんの演技や歌はない。小説でも活躍が前作より若干地味。

1作目「私たち、もう変身したくありません」は、ましろとさくらの出会いから始まり、さくらの転校を阻止するために奔走するましろの行動というのが軸だったので、さくらは主人公ましろに次ぐ位置で、あやちゃんのドラマパートや新曲もあったが、今回は現役世代=ソルシエにもスポットが当たっており、さくらたちの出番が少ないため、「洲崎綾推し」目線で見るとオススメ度は若干下がる。とはいっても小説の方では、ラストの戦闘で危機に陥ったましろを助けるためにヒートアップするさくらが描かれており、ここはシーンとして素晴らしく魅せると思うので、ドラマ化してほしかったなーと思ったり。

  • 購入金額

    3,780円

  • 購入日

    2017年09月19日

  • 購入場所

    きゃにめ

15人がこのレビューをCOOLしました!

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