所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。情報伝達量とその機会の拡大で、以前ほど同人作品と商業作品の敷居は高くなくなっているような気がします。それでも同人作品から商業ベースに乗るということは露出の機会が増える事でもあり、表現の開けてが増えるということはクリエイターにとってもうれしいことだと思われます。そんな出世?をした作品シリーズの「起点」をご紹介します。
「芋づる式洲崎綾 Part5」。Webラジオのキャラクターの面白さと天使の歌声のギャップ萌えですっかりファンになった洲崎綾(あやちゃん/ぺっちゃん/あやっぺ)関連。12月といえば恒例のイベント月ということで、それに向けてこの1年で増えてきた彼女の直接参加した作品や楽曲、ラジオCDなどから、参加作品の主題歌や演じたキャラクターのグッズ、イベントグッズなどの関連商品まで芋づる式にご紹介するシリーズレビューの5回目。
あやちゃんは声優のためさまざまな作品に参加する。そんな彼女が2014年に参加したシリーズが「魔法少女OverAge(魔法少女オーバーエイジ)」。
これは沙Pこと砂守岳央の手になる作品(世界)で、ボーカロイド系のイベントで同人CDとして数人のボカロ作曲家によって書かれた「魔法少女モノアニメの主題歌みたいな曲集」が発売された。参加したボカロPは沙P以外にもみきとP、164、ふわりPなどそうそうたる顔ぶれで、彼らが「まるで魔法少女アニメ主題歌みたいな曲」を創ったわけ。
当然仮想の番組だが、念の入った話に?そのバックボーンとなる話の断片を創り、それを声優に演じてもらったドラマパートも含まれた。
つまり曲の方はすべてボーカロイド歌唱だが、声優肉声によるドラマパートが挟まれているわけ。
そのドラマパートにあやちゃんは参加していた。
ここでこの「魔法少女OverAge」のバックボーンをば。
魔法少女モノというのは、結構小学校高学年~中学生のあたりが主人公というパターンが多い。これはメイン視聴者と同世代、もしくは彼女たちが「手に届くお姉さん」として見ることができる年齢という設定なのかもしれないが、成人や女子高生以上の「魔法少女」というのはいない(ま、「少女」だからね)。その王道を踏んで?中学1年生の中から魔力が強いものが選ばれ、「害霊(ガイスト)」と呼ばれる人間の負の感情が実体化した存在と戦う世界。魔法少女が使う魔力というものは、その源泉が土地の魔力であり、魔法少女が害霊に魔法を放つと土地も疲弊する。それを回復させるには「魔力結晶」というものを注入する必要があるが、非常に高価な輸入資源であり、その費用を得るために魔法少女と害霊の戦闘が、「ノンフィクション」魔法少女番組としてテレビ放映され、その商業的売上で費用を補っている世界という設定。
魔法少女の魔力は中学1年がピークのため、選抜された魔力が強い少女たちが航空防衛隊に所属し、中学1年次に1年間戦い、春先の害霊が出現しない「改変期」と呼ばれる時期に、次の中学1年生に交替する。その後彼女たちの魔力は徐々に落ちていき、高校卒業の頃には一般の人と大差ない状態になる。
そんな世界で、絶大な人気を得ていた魔法少女たちの世代があった。「ルミナス☆クライシス(通称ルミ☆クラ)」、正式名称を「航空防衛隊航空開発実験集団魔法機動開発群第五五小隊」という世代。彼女たちの魔力は強大で、その年次の害霊も強力だったため、戦闘は苛烈を極め(つまり見た目は派手でテレビ映えする)、それゆえその番組のファンも多かったという世代。そんな後輩魔法少女の憧れでもあるルミ☆クラ世代も第一線を退き、現在高校1年生。
普通ならほぼ魔力も落ち着き、普通の生活を送るはずの彼女たち....しかし、彼女たちの魔力は一向に衰える気配を示さなかった。
そんな魔法少女の一人、シャイニングチェリーこと桐野さくらが入学式で「ルミ☆クラ」の熱烈ファンであった伊藤ましろと出逢った。ルミ☆クラのシャイニングチェリーであったことを隠して生活するさくらが、ましろに飛んできたボールを魔法で止めて危機を救ったこと、そしてそのあとレギュラーの中学1年生チーム(「ソルシエール・リュミエール」こと第五八小隊)が対峙する害霊とは違う系統のイレギュラーな害霊が現れて、ましろを守るために変身して戦ったことで、ましろも巻き込まれつつさくらたちは戦場に戻ることになる...というようなお話。
主人公は天然さんな魔法少女ファン=伊藤ましろで花澤香菜、ルミ☆クラ世代の魔法少女はシャイニングチェリーのさくらをあやちゃんが、クリスタルレッドこと島津くれなを種田梨沙、ミラージュバイオレットこと桂ゆかりをまいまい=渕上舞、ブリリアントイエローこと三好なつみを久野美咲、スターライトブルーこと久坂そらのを飯田里穂が演じた。後輩魔法少女の第五八小隊はM・A・O、徳井青空、松井恵理子、遠藤ゆりか、鈴木愛奈の5人、彼女たちの上官=酒井冴子一等空尉をお姉ちゃん=‘永遠の17歳’井上喜久子が、口の悪いセクハラエロ生物?現場指揮官「ぽんすけ」を柿原徹也が演じるなど豪華ラインアップ(上記はこのシリーズとしての配役で、この作品に全員が出演しているわけではない)。
あやちゃんは、主役であるましろ役の花澤の対役=さくら役なので出番も多い。ドラマCDはこの物語の設定のシーンのつまみ食いなので、たまこ系のほのぼの日常回から、緊迫する戦闘場面、泣ける悲痛なシーンなど、いろいろなシチュエーションのシーンが収められているが、あやちゃんは必ず出演しており、とても聴きごたえがある。とくに出逢いのシーン(fragment.1)の天然なましろちゃんとの高校生らしいやり取りや、セクハラ司令官ぽんすけ役柿原徹也にボケのましろ(花澤)とツッコミのさくら(あやちゃん)の絡みが楽しいfragment.3のあたりが聴きどころ?このシリーズは、他のCDにもドラマパートがあるものもあるが、いずれも比率がここまで高くなく、出演声優もフルメンバーに近いこの作品が、ドラマ部分は一番聴きごたえがある。
...と言っても楽曲が悪いわけでは全然ない。
まずましろとさくらの出逢いも語った「テクスト≫オーバー」。魔法少女モノというより良質ボカロ曲のニュアンスが強いが、この曲の歌詞に関しては、その制作に関する逸話がのちにストーリーに絡んでくる。作詞作曲はこのプロジェクト全体のプロデューサー砂守岳央(沙P)なので、詞の内容は結構核心をついている。
「ふつーの魔法少女でごめんなさい。」は、みきとPによる可愛い感じの曲。Aメロからサビにパァーッと開ける感じが魔法少女モノのエンディングテーマにあるよなぁ...こーゆーの、という感じ。サビの軽やかさと調の不安定さが「いーあるふぁんくらぶ」っぽい(←これ、当然みきとP作品)。最後の方の♪ハッ♪というような掛け声特に。
蝶々Pの「アンチエイザー」は、オープニングテーマに良いような疾走感あるハイスピードチューン。ボカロ曲として見ても良さを十分に出している。ボカロ系の作品って、人間ではチョイムリ目の速い曲が多いが、この曲も打ち込みならではの速くて複雑なリズムと滑るような高速ピアノソロで楽しい。
..というように曲もそれぞれ高品位だけれど、どちらかと言えばこの作品はドラマパートがウリ。この時点では断片的にしか開示されないドラマでリスナーは間を想像して楽しめるという...
あやちゃん的には、このあたりの戦闘もの主人公の経験が、のちのバトルガールハイスクールでの主役=星月みきにつながっているのかな、と思ったり。
同人CDのため入手性は良くはないけれど、あやちゃんの演技に注目しているならぜひ持っておくべき作品です。
【収録曲・内容】
1. fragment.1 はじまりの、はじまり
ドラマパート:花澤香菜・洲崎綾・種田梨沙・久野美咲
2. テクスト≫オーバー
3. fragment.2 部室とはスナックです
ドラマパート:花澤香菜・洲崎綾・種田梨沙・渕上舞
4. 異世界ノットパンピー
5. fragment.3 魔法≒世界≒物語
ドラマパート:花澤香菜・洲崎綾・柿原徹也
6. ふつーの魔法少女でごめんなさい。
7. fragment.4 B.I.G. F.R.I.E.N.D.S.
ドラマパート:花澤香菜・洲崎綾・種田梨沙・久野美咲・渕上舞・飯田里穂
・柿原徹也・砂守岳央
8. アンチエイザー
9. fragment.5 ひとり、瞬間、ふたり
ドラマパート:花澤香菜・洲崎綾
10. ひかりのさきへ
11. fragment.6 はじまりは、おわり
ドラマパート:洲崎綾・種田梨沙・久野美咲・渕上舞・飯田里穂
12. Reason of birth
「ふつーの魔法少女でごめんなさい。」
ドラマパートが長くていろいろな表現を堪能できる
後の各種楽曲CDを入れても、最初の作品だからか、世界観を説明するためかドラマパートが長い。高校生の日常、魔法少女としての戦闘、特別な存在であることの悩み...あやちゃんのいろいろな演技を聴く事ができる。
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購入金額
100円
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購入日
2016年12月05日
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購入場所
ヤフオク!
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