レビューメディア「ジグソー」

ファーストインプレッション最強? ORIONの次はPOLARIS! 原音忠実性はないが,ハイブリッドらしくない音で鷲掴みされるかも

Campfire AudioのハイブリッドモデルPOLARISです.

 

ダイナミック1基,BA1基の最小構成ハイブリッドで,Campfire Audioのキラキラ感に低域を補強した感じです.

ただし,Campfire Audioだけあり,非常によくまとまっており,ハイブリッドであることを感じさせません.一つひとつの音の分離が得意ではないので,マルチBAらしくはないですが,広い音域とはっきりとした輪郭を描写で,ハイブリッドモデルの特徴を出しています.

 

Campfire Audioは,既にシングルBAのORIONを持っていますが,ORIONの次はPOLARISと,大人の階段を上がっています.頂上はANDOROMEDAかな.

 

 ORION:

 

Campfire AudioはANDROMEDAに代表されるマルチBAで透明感のある高域が得意の印象ですが,ダイナミック型やハイブリッド型でも存在感を出しています.

例えば,ダイナミック型のVEGAやLYRAⅡ.LYRAⅡのバランスも素晴らしいですが,更に重厚感が増したVEGA.IE800好きなら,一聴する価値があります.

Campfire Audioの同一形状製品だけを並べて,値段を隠し,短時間試聴して,第一印象だけで選ぶとしたら,一番選ばれるのはこのPOLARISだと思います.一番押しが強いので,一番印象に残りやすいです.時間をかけてじっくり試聴すると,ANDOROMEDAやVEGAの特徴が理解され,やっぱり価格なりの価値は認めざるを得ません.

 

そんなCampfire Audioですが,今回POLARISをゲットしました.セラコートされたブルーの筐体が非常に美しいです.

すでに,POLARISⅡにモデルチェンジされていますが,今回は初代モデルのPOLARISになります.付属品一切なしの本体のみを見つけてしまったので,確保しました.

Campfire Audioは,付属ケーブルが非常に優秀(単品価格で2万円以上)で,リケーブルする必要はないほどのレベルです.そのケーブルが付属しないのはちょっと残念ですが,既にORION用に持っていますし,mmcxケーブルはそれなりに手持ちがあるので,困ることはありません.

また,イヤーチップは,スピンフィットやE-typeが使えるので,問題なしです.

初代POLARISは,2017年に登場して,2018年には生産終了.2代目POLARISⅡは,2019年発売です.Campfire Audioの製品ライフは短いものが多いので,気になる機種は,確保しないと買えなくなります.大量生産していないCampfire Audioの特徴かもしれません.

 

ということで,POLARISの音を再確認します.

イヤーチップは,スピンフィットのMサイズ,ケーブルは,ALOのLitz Wire Earphone Cableを選択.

しかし,低域の印象がちょっと違うような... 以前は先入観なく聴いたからなのか,低域がもう少しどっしりしていたような... 高域は,ORIONと同じく,きれいに延びて,きらびやかです.

そこで,POLARISのHPを確認すると,Black Litz Wire Earphone Cable(特別仕様)とあります.写真でも,黒ワイヤーで,シルバーではありません.どうも,シルバーコートされていないLitz Wire Earphone Cableの特別仕様の様です.そこで手持ちの中から,シルバーコートされていないmmcxケーブルから,HA-FX1100用(OFC:アンバランス)とPCOCC(バランス)のケーブルを選びました.

 

HA-FX1100用のOFCケーブルに交換すると,低域の存在感が増し,重厚感が更にでて,拡がりを感じます.高域のきらびやかさは減りますが,清々しさはそのままなので,このバランスのほうが昔聴いたPOLARISの印象です.PCOCCのバランスケーブルに変更すると,さらに低域の量感が増し,分離が良くなり,より音場が拡がります.やはりバランス接続で聴くのが正解です.

中域は解像度重視のはっきりくっきりの描写ではありませんが,きちんとした輪郭です.低域と高域に特徴があるので,ある意味ドンシャリ感は出てしまいますが,チープなドンシャリではありません.おそらく,中低域をダイナミック型が担い,高域のみBAに任せているのではないかと思います.音場は近く,奥行きや拡がりは少ないため,かなり近くで鳴っている感じを受けます.スタジオでもコンサートホールでもなく,ライブハウスくらいの感じです.

モニターライクなORIONに対し,完全に異なる音質で,リスニング向きです.マルチBAの特徴である解像度や音の拡がりや立体感は少なく,ボーカルの艶や弦楽器の響きはあまり得意ではありませんが,BAの硬い音ではないのでロックやポップスなど,ノリノリで楽しめます.ORIONにはない楽しさを教えてくれます.もしかしたら,ANDOROMEDAより好きという人もいるかもしれません.

 

 

Campfire Audioは,ORION(またはIO),POLARIS,VEGA,ANDOROMEDAの4機を揃えれば,すべての傾向を網羅できます.VEGAとANDOROMEDAの2本持ちは厳しいので,ORION(IO),POLARIS,ANDOROMEDAの3機で,リスニング用の完全な3角形を形成できると思います.VEGAとANDOROMEDAの2本を持てばそれで十分と言われれば,それまでですが.

 

POLARISに戻りますが,1万円クラスからのステップアップに適したイヤホンで,決して到達点では無いです.好みの分かれる低域で,DAPの駆動力があれば,店頭試聴は好印象に感じると思います.モニターライクな万能機でもなく,オールジャンルOKなリスニング向きでもありませんが,インパクトのあるリスニングイヤホンであり,5万円以下で入手できるなら,おすすめします.密閉型ヘッドホンの音に近いというのが,わかりやすい表現かもしれません.

 

気になる点としては,30分くらい聴いていると,装着時よりイヤホンが耳の中に押し込まれた感じになります.普通は外れる方向に感じたことはありますが,押し込まれる感じは初めてです.なので,一回外して,装着し直さないと,圧迫感を感じてしまいます.フォーミングチップなら違うかもしれませんが,スピンフィットでもE-typeでもスパイラルドットでも同じでした.不思議な感覚です.

 

POLARIS(北極星)は,迷える福耳難民を正しく導いてくれるでしょうか...

 

 

 

  • 購入金額

    0円

  • 購入日

    2020年02月16日

  • 購入場所

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