レビューメディア「ジグソー」

夏が来たら この1枚 A ロングバケーション

まだ梅雨明けしてませんが、晴れた日には強い日差しを感じます。

もうすぐ真夏

 

サマーリゾートで夏休みを楽しめる身分ではないので

音楽で夏を楽しみます。

 

山下達郎? TUBE? 

 

いいえ 大滝詠一の A LONG VACATION で

更新: 2017/07/08
背景

大滝詠一 と フィル・スペクター

まだマルチトラックレコーダーが普及する前、もちろんデジタルエフェクトが実現する前の時代

フィル・スペクターは、ダビングを重ねることによって分厚いサウンドを得ることに成功しました。

 

そのサウンドは、「ウォール オブ サウンド」と呼ばれることになり、大流行します。

ステレオ録音は、その音の分厚さが減少するからという理由で、フィルは頑なに拒んだのだそうです

波に乗らなかったフィル・スペクター。

 

大滝詠一さんは、そのフィル・スペクターサウンドを愛するあまり 

自らスタジオを作り上げることになります。

福生スタジオ(ふっさ)

そこで大滝さんは、自分の好みに近い音を探し、キャリア途中で世に出たデジタル(CD)とアナログ盤との音の違い・良し悪しを研究なされたと伺っております。

 

但し

この「ア ロングバケーション」は、

SONYの六本木と信濃町スタジオで制作されている旨が記載されておりました

大滝詠一さんは、フィル・スペクターサウンドに大滝サウンドを近づけるために

多くのミュージシャンを一同に集めて録音したと聞いております。

 

A面1曲めの冒頭で、デジタルピアノと思しき鍵盤のAが繰り返し鳴ります。

それは開演前の弦の響きのように。

 

決して一発録り、ワンポイント録り、ではありませんが、

人が一同に介して演奏を始める録音手法を、ここで示しているように思えます。

 

その手法は、ミュージシャンのスケジュール調整、長期にわたるスタジオの賃貸料などの

問題が発生します。

福生スタジオの誕生は、そのあたりを見越してのものなのかもしれません。

 

大滝さんは音楽に限らず、興味のある対象に対して一切の妥協を許さない人だったと聞きますが、

なるほど頷くばかりであります。

更新: 2017/07/08
デザイン

30センチLP

Aロングバケーションが納まる前は、ソニー・クラークのクール・ストラッティン

 

そして永井博さんの手による、夏らしいジャケット

やはり30センチLPジャケットは存在感が強いです

 

ジャケ買いという言葉が一般的だった時代。

更新: 2017/07/08

君は天然色から さらばシベリア鉄道まで

全10曲は 全て 松本隆作詩 大滝詠一作曲

それぞれに懐かしく思い出されるエピソードがあります。

しかし、発売当時にカセットテープにダビングして車の中で彼女と聞く曲と

今あらためて聞く曲は 同じものに感じない そんな気がします。

 

あのころ 

もちろん全てが自分の思うように事が運んだわけではありません。

でも、全ては可能性の中にあるように思えました。

破れた恋も 叶わなかった恋

それは そこで終わりを迎えます 

そしてすぐに新しい道を選んでいたのかもしれません

 

おおむね私より一回り年上の大滝さんは、思い出す恋も 振り返る恋も 待つ恋もあるんだよ

そんなことを歌っています。

 

歌詞は松本隆さんですが、

大滝さんは、若造には思い至らない恋を歌っておられたのですね。

 

今 改めて聞くと 沁みるわ。

 

更新: 2017/07/08
音質

誰もアナログ盤だと気づかない

CDが普及し始めた1985年から10年ほどの録音には、それがアナログレコードであろうと、CDであろうと、聞くに耐えない録音があります。

(例えば松任谷由実さんのリインカネーションなど)

 

A ロングバケーションは、まずアナログ盤ありきで制作されており、

前述のようなヒステリックで硬質に過ぎる音ではありません。

 

福生サウンドとも呼ぶべき、分厚いウォームトーンです。

 

換気扇とエアコンが稼働している店内では 

一切のスクラッチノイズ、サーフェイスノイズも感知できません

お客様は、誰一人アナログレコードが再生されていることに気づかれません。

 

というのも

トーンアームを慎重に下ろす作業が伴うと、それで気づかれる人はおられることでしょう。

 

すごくまろやか、すごく伸びる低域 高域 自然な人の声 という印象すらありません。

 

ただただ、夏を告げるごきげんな曲が流れます。

更新: 2017/07/08

薄く切ったオレンジをアイスティに浮かべて

A面3曲目 カナリア諸島にて

 

薄く切ったオレンジをアイスティに浮かべて 

 

これにヒントを得て、シロップの代わりにオレンジジュースで割る冷たいアイスティがメニューにあります。  美味しいですよ。

 

お家でも簡単に作れますので、濃いめのアイスティで試してください。

  • 購入金額

    2,700円

  • 購入日

    1981年03月21日

  • 購入場所

    レコード店

15人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • タコシーさん

    2017/07/08

    今日は暑かったです
    朝9時ごろ散歩してきましたが、公営プールが7月始めから営業していますので
    子供連れの親たちがプールに向かうところでした
    1日は肌寒いくらいでプール始まるの?と思っていましたがこの暑さです 
    今日は流石に暑さにバテて2回ほど短時間寝てしまいました 

    さらばシベリア鉄道 懐かしいです 私は多分、車の中で録音テープで聴いた?記憶があります
    レコードでも出していたんですね まだCDが出たばっかりのときだったのですね
  • フェレンギさん

    2017/07/08

    さらばシベリア鉄道は、太田裕美さんでご存じの方も多いと思います。
    大滝詠一さんをご存知でない方でも、出前一丁のTVCMの方として認知されている場合もありそうです。

    Wikiによりますと、まずレコードありきだったので、上手くCD化できずに何度かのリマスタリング(当時はそのような言葉はありませんでしたが)を経ているそうです。
    棚を捜索すれば、CDもどこかにあるはずなんですが、初めての音源レビューには! と思い立ってレコード盤の写真を撮りました。

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