近所の店にリサイクルコーナーが設置されたというチラシが入ったので、少し覗いてみることにしました。
基本的には家電は白物がメインだったのですが、片隅にオーディオ製品も数点あり、AVアンプやDVDプレイヤーなどに混じって、スピーカーが少し置かれていました。その中で最初に目を引いたのは、PIONEER製仮想同軸スピーカー、S-77TWIN(18,000円)でした。ただ、これはフロア型のトールボーイスピーカーで、使う場所がありませんのでスルー。
そして本当の隅の方に置かれていたこのスピーカーに目がとまりました。サランネットがなかったことから、振動板が安っぽい樹脂製に見えたのですが、銘板をよく見ると「HARBETH ACOUSTICS HL COMPACT」の文字が見えるのです。それがS-77TWINよりも安く売られていました。
HARBETH HL COMPACTといえば、私がまだ小学生の頃にオーディオ誌で取り上げられていた記憶があり、そこそこ高価なスピーカーだった覚えがあります。そこで調べてみると、1987年発売で価格も118,000円(1本)ということが判明します。もっとも、この時点では即決はしませんでした。ただでさえ、以前購入したJBL 4302の定位置すら決まっていない状況ですので…。
ただ、HARBETHといえば比較的昔ながらの鳴り方をするスピーカーが多いイギリス製の中では、現代的な音質への歩み寄りがあるブランドというイメージがあり、使ってみたかったのも事実です。幸いというか、他の客がなかなか来なさそうな店でしたので、いったん家に戻り一日悩んで、結果として購入することにしたという訳です。
エンクロージャーの傷は結構ありますが、ユニットは意外ときれいです。店の方の説明によると、サランネット欠品かつ傷が多く、しかも古いものなので安めの値段にしておいたということでした。HARBETHのサランネットは経年変化で傷みやすく、音質的にも無い方が良いといわれていることから、欠品している場合が多いようですが…。
銘板に「MADE IN ENGLAND」と書かれている辺りにちょっと惹かれます。
裏側です。こちらの型番ラベルにはシリアルナンバーが記載されていますが、末尾が「B」となっています。もう1本の方は数字はこちらと同じで末尾が「A」であり、特性が合っているものを2台用意して、同じ数字を割り当て「A」「B」の文字を末尾に付け、ペアとして出荷していたということだそうです。これは後に「Left」「Right」の表記に改められたそうですが、この時点では左右にどちらを置くかは特に決まっていなかったということです。
スピーカー端子はバイワイヤリング対応ですが、ショートピンの類は付属していませんでした。端子自体はそこそこ太いケーブルでも使えるものですが、SANSUI SP-100iの端子よりは対応幅は小さそうです。
ヴォーカル系は絶品
色々と問題があることはわかっていますが、SANSUI SP-100iと入れ替える形でセッティングして動作確認を取ることにしました。
SP-100iはユニットの直接音を最大限引き出す設計ですが、こちらのHL COMPACTはむしろは箱鳴りを積極的に活用するタイプです。台にベタ置きでは真価は当然発揮できない訳ですが、足の類は用意していないので仕方ありません。
試聴も普段SP-100iを鳴らしている環境そのままです。アンプ(パワーアンプとして利用)はPIONEER A-90D、プリアンプはONKYO P-308、プレイヤーはPIONEER N-50でUSBメモリーから読み出して再生しています。
近所の都合であまり音量は出せないのですが、その中でも光るのはやはりヴォーカル系です。「Wallflower / Diana Krall」などはゾクゾクするような生っぽさがあります。また「Shape Of My Heart / Sting」なども素晴らしい雰囲気です。
ロック系などは弱いという評判でしたが、「Night Moves / Marilyn Martin」などは低域方向の締まりはやや劣るものの、独特の空間表現は十分魅力的です。さすがに「RYDEEN / YMO」はあまりパッとしませんが…。
試聴というよりはユニットごとの動作確認のために短時間鳴らした程度であり、本格的に論評できるほどは聴いていないのですが、それでもこのスピーカーの魅力の一端は垣間見えました。あとはセッティング等を詰めた上でもう一度聴いてみたいところです。SP-100i、4302とどれをこのポジションに残すか、また悩みは増えそうですが…。
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購入金額
16,200円
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購入日
2017年07月03日
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購入場所
harmankardonさん
2017/07/03
中古でよく見かけますが,意外に高かった記憶があります.
昔は昔で,今は今で,スピーカーはそれぞれ良さがありますよね.
だから,増えてしまう...
フェレンギさん
2017/07/03
使いみち、置き場所はありませんが、もしも出会ったら、買うと思います。
ぜひ鳴らし込んであげてください。
置いてあるだけでもカッコイイと思います。
Yujiさん
2017/07/03
それにしても強烈にお買い得な値段ですね。
jive9821さん
2017/07/03
オーディオ系の中古店では、そもそも興味を持てないほどの値段であることが多く、最初はゼロを一つ間違えているのではないかと疑ったほどでした。多少傷が多かろうと、この価格であれば思わず買ってしまいます。
SP-100iがいかにも日本的な高音質を追求しているだけに、このスピーカーと併用できればとても面白いところなのですが、物理的空間が許してくれなさそうで、悩みどころです。
タコシーさん
2017/07/03
それとドームツィターですかね 中域もドーム?
jive9821さん
2017/07/03
一度は踏みとどまったものの、やはりかつて高嶺の花だったものが格安だと、ついつい手が出てしまいました…。
最初見たときには、デザイン的にそれほど良いものだとは思えなかったのですが、部屋に置いてみるとなかなか味が出てきました。
出来ればもう少しこのスピーカーを活かせる環境を用意した上でじっくりと鳴らし込んでみたいところです。
jive9821さん
2017/07/04
私自身あまり海外製のオーディオについては知識がありませんので、参考になります。
実際に音を出してみると、意外と明るい音という感触で、以前知人が持っていたKEFの小型2ウェイと共通するイメージがあります。現代的な音全般というよりは、安っぽい音のソースを苦手にしていそうな感じはしますね。
jive9821さん
2017/07/04
このウーハーは振動板こそ少々特殊なものの、形状的にはごく普通のものでセンターに取り付けられているのはリフレクターのなのだそうです。
ツイーターはハードドーム型で、これがオールドユーザーからの評価が分かれる一つの要因なのだとか…。
Yujiさん
2017/07/04
彼らから、ハーベス創業者のハーウッド氏はBBCエンジニアの要求する音(つまり英国の60〜70年代の音)を強く意識していたと聞きました。
写真のスピーカーは現在彼らが製造しているLS5/8 BBCモニターです。
HL-Compactとは、そう遠く無い親戚のようなスピーカーです。
訪問した際には社長さんの経営するペンション(試聴室アリ)に泊めてもらいました。
ホント、英国でオーディオ作ってる連中は優雅です。
Yujiさん
2017/07/04
日本のウサギ小屋に住まう者としては羨ましい限りです。
jive9821さん
2017/07/04
掲載いただいた写真に写るスピーカーの姿一つを見ても、いかにも「装置を置いています」という感覚の私とは全く美意識が違っているのがわかりますね。
ゆとりのある環境だからこそ、商売ベースではなかなか為し得ない趣味性を追求することが出来ているのでしょうね。文化的な深みで彼らに遠く及んでいないことを実感させられる気がします。