中国製の格安イヤフォン、所謂中華イヤフォンの中でも評判の良いのが、このKZ製のZS5です。
Amazonの国内流通品で4千円台という価格でありながら、ダイナミックドライバー×2+BAドライバー×2というユニット構成を持ち、さらにCIM 2Pin互換のリケーブル対応という、かなり豪華な構成となります。もっとも、ユニット数が多ければ音が良いという訳ではありませんので、そこに騙されてはいけませんが…。
先日Amazonプライムデーでそこそこ安くなって、AliExpressの直販価格に近くなっていたので買ってみることにしました。
いわれてみると、確かにハウジング形状はCampfire Audioのイヤフォンに酷似していますね。音が酷似していれば最高ですが…。
リケーブル必須だが、そこそこ使える
試聴は標準ケーブル、Westone 2Pin対応の2.5mm4極バランスケーブルの2種類で行いました。いずれもプレイヤーはAstell&Kern AK100IIを使います。
まず、標準のイヤーピースで聴き始めましたが、私には高域方向が少々刺激的に感じられましたので、イヤーピースをSONY製ノイズアイソレーションイヤーピースに変更した上で音質評価を行います。
バランス的にはComply Tの方が良かったのですが、音質的な持ち味も消えてしまう傾向があったため、こちらを基準としました。
まず、標準添付の3.5mmステレオケーブルでは、かなりのドンシャリとなります。ロック系の楽曲を聴く分には心地良いのですが、David Garrettのヴァイオリンは電子ヴァイオリンの音となってしまいます。
また、「The Dream Of The Blue Turtles / Sting」の重量盤LPから起こした24bit/88.2KHzのWAVを再生すると、音場が全く広がらず、左右それぞれのユニットから出た音が、そのまま耳の周囲に張り付いているような印象を受けてしまいます。二次元的にはなかなか良いのですが、音場表現にはかなり難があるようです。
そこでバランス接続を試そうということで、Westone UM2RC用に購入していたケーブルに差し替えて使います。所謂CIM 2Pinケーブルであれば大抵使えると思いますが、他のケーブルでは検証していませんので確実ではありません。
まずちょっとした驚きを感じるほどに音質傾向が変わります。標準添付ケーブルではかなり低域が盛られている感があったのですが、このバランスケーブルでは適度に引っ込み自然なバランスで落ち着くのです。高域は若干持ち上がっていますが、キャラクターとして受け入れられる程度に収まっています。
そして標準ケーブルでは全く広がりがなかった音場表現も、そこそこに広がるようになります。David Garrettのヴァイオリンはそれほど改善されないのですが、「Nのハコ / 南條愛乃」収録の「ヒトビトヒトル」を聴いても、何とか形にはなります。ギターのピッキングが強調されたり、ヴォーカルがややハスキーに感じられたりしますので、その辺りの帯域が持ち上がっているのでしょう。
全体的に硬質でしなやかさのようなものはありませんが、ロック系の楽曲を歯切れ良く聴かせるという良さがあります。標準ケーブルで聴いている限りはお薦めできる音ではなかったのですが、リケーブルで印象は激変します。
デザインのネタ元となっているCampfire Audioの製品は標準添付のケーブルの良さに定評があるのですが、こうなってくるとCampfire Audioのケーブルで使ってみたくなります。色々カスタマイズして楽しめる程度のポテンシャルは感じられました。
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購入金額
3,600円
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購入日
2017年07月11日
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購入場所
Amazon
harmankardonさん
2017/08/08
Campfire Audioライクな形状がそそられるんですよね.
jive9821さん
2017/08/08
率直に言って、標準ケーブルだけで試聴を終わらせていたら、そのまま投げ捨てて終わりという音質でした。ケーブルそのものの質なのか、バランス接続のメリットなのか判断できませんが、ZEPHONEのケーブルで使ったことでようやく価値を見出せたという感じです。
私のEW-15改は3千円で買ったものですので、合計7千円以下のバランス接続モデルと考えれば、まずまず優秀といえそうな音質になってくれました。とはいえ、私ならこの価格帯の中華イヤフォンとしては偽IE80が一押しであることに変わりはありません…。