所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。現在はCDが安価で作れることとインターネットを使ったプロモーションもできることもあり、インディーズで活動する「プロ」ミュージシャン/アーティストも少なくありませんが、それは20世紀では大変な事でした。そんな時代にあえてインディーズを選び、自分のレーベルを立ち上げて活動した人物がいます。そんなアーティストのインディーズ時代最初のシングルをご紹介します。
Char。玄人好きするキダリスト。今でこそインターネットや動画サイトを駆使してプロモーションを行い、インディーズレーベルのリリースシステムを用いて作品を販売したり、ダウンロードサイトで楽曲を公開するような活動をしている「プロ」ミュージシャンは少なくないが、20世紀...しかも1980年代にプロで活動していた人気あるミュージシャンが、インディーズレーベルを自ら立ち上げ販売する(しかも当時は電話注文!)というのは非常に珍しかった。
現在のようにインターネット当たり前というような時代ではなく(アメリカでの商用インターネットの開始が1988年で本作の発売とほぼ同時期)、プロモーションの手法も限られるため、このインディー巣活動時代には「シングル」を発売する意味があまりなくアルバムが先行したが、その自主レーベルからリリースされた初シングルが本作。
いわゆるタイトル曲扱いの1曲目はキャッチ―でありながら、カップリングとしてはCharの音楽性が理解できるようテクニック丸出しの「濃いめ」のインスト曲と、デビュー作に収められたファンの支持も高い曲のリアレンジヴァージョンが収められている。
「All Around Me」は、ドラムスがJim Copley、ベースJaz LochrieにTommy SnyderとAnn Lewisがコーラスと後の"PSYCHEDELIX"
に続くメンツ。ポップでいながらブルージィでCharらしい曲。特に左chで鳴り続ける特徴的なリフが印象深い。Charのシングルの中では屈指の覚えやすさ。
「Endless Dream」はライヴ(1988/12/13 渋谷公会堂)。JimにJaz、佐藤準(ピアノ)と気心が知れたメンツでのインスト曲。ギターソロ(っつーか、インストなのでほぼ全編?)とベースソロが素晴らしい。CharのワウバリバリのギターとJazのフレットレスベースの奏でる「キッチリした音程でない」アバウトさが人によるプレイならでは。
「Shinin' You Shinin' Day」はデビューアルバム
にも収められ、彼のライヴでも定番曲になっている曲だが、このヴァージョンは打ち込みをバックにCharが独りで歌い、弾きまくるもの。このヴァージョンならではなのは、ブラス(の音色)が入っていること。佐藤準のアレンジによこのる金管のラインが、硬めの音色と機械的なパターンで打ち込み臭が強いバッキングトラックに色を付け、この曲を一気に「生きた」ものにしている。
結局、このインディーズレーベル(江戸屋Record)ではシングルはこれ一曲になってしまったけれど(アナログ盤除く)、彼のやりたい音楽本流に「アピール度」や「売れやすさ」を左右するキャッチ―さが上手くミックスされた良盤。
インディーズ活動アーティストのパイオニア?の、「妥協なき」シングルです。
【収録曲】
1. All Around Me
2. Endless Dream
3. Shinin' You Shinin' Day
「All Around Me」
キャッチーさと格好良さの絶妙なバランス
売り方にしてもだが、彼の絶妙な「プロ」としてのバランス感覚が光る
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購入金額
1,500円
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購入日
1993年頃
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購入場所
北のラブリエさん
2017/06/05
cybercatさん
2017/06/05