サッカー選手の本田圭佑氏がプロデュースしたという、FOSTEX製KOTORIブランドのBluetooth接続ヘッドセットです。ヘッドセットと言っても音楽再生が前提であり、一応スマートフォンでの通話にも対応するという程度の意味合いですが。
本機の最大の特徴は、外観上存在するのはドライバーを格納したハウジングと、左右のハウジングを結ぶケーブルのみであり、ボタンの類が一切ないということです。これはSICと呼ばれる、ケーブル内蔵型のボタンを採用していることによるもので、これにより装着時に邪魔になる部分を排除してスポーツのお供に最適ということです。
以前取り上げた、似たような形状の製品であるJBL J46BTは充電に専用ケーブルが必要であったり、音質が良くなかったりと実用に堪えない出来ですぐに使わなくなってしまいましたが、この製品は元はそこそこ高価であり、完成度は上がっているだろうという期待を込めての購入です。
Bluetoothできちんと接続できなければ話にならない
一応Bluetoothの接続実験は以下の2機種で行いましたが、試聴は主にSONY NW-A16で行っています。
まず、音質を語る前に触れておきたいのですが、この製品は実用に堪える出来ではありませんでした。というのも、Bluetooth接続専用であるにも関わらず、Bluetooth接続が全く安定しないのです。
接続の互換性そのものは悪くありません。コーデックはSBCとなるため、音質よりは接続性が優先されることになりますから、大体の環境で問題なく繋がるでしょう。問題となるのは音楽再生時に、あまりにも簡単に音が途切れてしまうということです。
小型化のためにアンテナがあまり確保できなかったのだと思うのですが、本来の装着法の通りケーブルを首の後ろに回し、NW-A16を胸ポケットに入れておくと、それで音が頻繁に途切れてしまいます。胸ポケットにDAPを入れておくのであれば、ケーブルを顎の下に通すしかありません。そしてその状態であっても、首の向きによっては音が途切れてしまうのです。これでスポーツ用と言われても、装着して体を動かすことが出来ないのであれば意味がありません。今までBluetooth接続のヘッドフォン・イヤフォンは何台か使いましたが、ここまで感度が悪い製品にはお目にかかったことがありません。老舗フォステクスの製品としては何ともお粗末な完成度という他ありませんでした。
ただ、きちんと繋がっているという前提であれば音は悪くありません。SBC接続ですので音場表現や情報量を語るのは難しいのですが、40Hz以下の低域と1~2KHz辺りの中高域を軽く持ち上げ、メリハリがあってアップテンポの楽曲を気持ち良く聴くことが出来るものです。確かに運動用のBGM再生に適した音質といえるのでしょう。
ノズル部がかなり太く、イヤーピースも割合硬いので装着感はあまり良くないのですが、外耳に固定するシリコンアダプターも用意されていますので、すぐに外れてしまうようなこともありません。Bluetoothできちんと繋がるという前提さえあれば良く出来ている製品です。
ただ、何しろ5分の楽曲を聴いているだけで何回も音が途切れてしまう程度の接続安定度では、Bluetoothヘッドセットとして評価に値しないとしか言えません。ボタンをなくすことよりも、きちんと安定して繋がるということの方が遙かに大事です。もう少し完成度を見直して発売して欲しい製品でした。
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購入金額
4,999円
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購入日
2017年04月25日
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購入場所
JUST MyShop
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