まず、プレイヤーは手持ちの中で音質的にエース格となる、以下の2機種を中心に使いました。

普段ならここで試聴したソースを並べて、それがどのように聞こえたかという形でレビューを書くのですが、この製品についてはそれ以前の段階から書く必要があるでしょう。というのも、あまりにも強烈な高域過多なのです。

厳密には

・低域：そこそこ強調感がある

・中域：他の帯域より明らかに少なめ

・高域：強烈に強い。低域の比ではないほどの強調感

というフラットバランスなのです。

まず標準のイヤーピースでは高域がダイレクトに耳に刺さってくるという印象で、長時間聴くことが苦痛な音です。というか、長時間聴いていたら難聴になりそうです。

普段高域過多の製品で威力を発揮する、SONY製ノイズアイソレーションイヤーピース、EP-EXN50Sを使ってみましたが、これでもとても押さえきれるほどではありません。

当然、JVCのスパイラルドットでも刺さりは全く改善されません。

そこで高域を極端に吸ってしまう、COMPLY製のイヤーピースを試してみました。

他の高域過多の製品では大体丁度良いバランスとなる、Sタイプをまず使ってみたのですが、何とこれでもまだハイ上がりです。刺さりは随分緩和されますので、難聴になりそうな刺激という程ではなく、とりあえず聴いていられる程度には収まってくれますが。

そして最も高域を減衰させるTタイプを使ってみると、バランス的には大体丁度良いところに落ち着きます。その代わり中域不足が改善されないため、JE-333本来の持ち味である開放的な音場が全くなくなってしまい、実につまらない音になってしまいます。バランスを整える代わりに音質的な長所も全て失ってしまうのでは意味がありませんので、この組み合わせもなかなか難しいところです。

結局これはという組み合わせを見つけることは出来ませんでしたので、現時点では低域～中低域方向がやや強調され、他の帯域が若干まろやかになるfinal製Bタイプを装着して使っています。

これでも高域はまだかなりきついのですが、標準状態の強烈な鋭さはいくらか緩和されています。ヴォーカルや弦楽器の低い方向が厚みを増してくる分、総合的にはこれが最もマシという感じでしょう。

とはいえ、final Bタイプとの組み合わせでも「標準よりはマシ」程度のものでしか無く、決して価格に見合った音ではありません。DAPは全体的な押し出しの良いXDP-100Rの方が合っているのですが、高域方向の刺さりはAK100II以上にひどくなるというのも使いこなしを難しくしている要素です。

新品で安くても2万円台ということを考えれば、他にもっと使いやすい製品はいくらでもありますので、この製品を選ぶ意義は特には見出せません。同じ高域が刺さるイヤフォンであるなら、MASTER & DYNAMIC ME01の方がずっと扱いやすく、音質的にも整っています。

JE-333も案外高評価を見かけることが多いのですが、私の耳はこの高域の量と質には耐えられませんでした。この製品を考えている方には、実機の試聴を強くお薦めします。明るく開放的な音場は確かに良いのですが、他に長所と呼べるようなものは見つけられませんでした。

追記：

イヤーピースにfinal audio design純正のEタイプを使った際の音質について、イヤーピースのレビューとして記載しました。

この組み合わせであれば、良いとは言わないまでも使えなくはないという音にまとまります。JE-333を今敢えて使うのであればこの組み合わせですね。