今までYAMAHA GT-2000の方はONKYO P-308またはKENWOOD L-01A(MCヘッドアンプを内蔵)という、比較的PHONO入力がしっかりしたアンプに接続していてそこそこの音は出していたのですが、音源作成用のPCと接続されているシステムで使っているKENWOOD KP-9010は、設置スペースの都合もありSANSUI AU-α707DRのPHONO入力で使わざるを得ない状況でした。
AU-α707DRのフォノイコライザーは、はっきり言ってしまえばそれほど大したものではありません。とはいえ、単売品で1~2万円程度の格安フォノイコライザーを買ってきても、アップグレードにはなり得ないというのも事実です。
現時点で入手可能かつ、比較的低価格(何とか10万円以下)で高品位のフォノイコライザーというと、Phasemation EA-200辺りかと思い、そのうち何とかこれを買おうという計画は立てていました。しかし、時間調整で入ったHARD OFFで懐かしい製品が目にとまったので、EA-200の前にまずはこれを使ってみようと思い、購入してきたのがこのALPINE/LUXMAN LE-109です。
31年も前のモデルである割には、外観のコンディションは良好でした。フロントパネルに小さい打痕のようなものが少しある程度です。
ALPINE/LUXMANというブランドはご存じですか?
私よりも上の世代でオーディオに興味をお持ちだった方であれば当然ご存じかと思いますが、比較的最近オーディオを始めたような方はご存じないかも知れません。
勿論、LUXMANというブランド自体はオーディオに通じている方であれば間違いなくご存じと思われます。Accuphaseと並ぶ、国産高級オーディオの二大巨頭と言える存在でしょう。ただ、比較的保守的な製品作りのAccuphaseに対して、LUXMANは意外と新分野や実験的製品に意欲を見せる傾向があります。国内メーカーで本格的な高級オーディオとしてUSB DACを作ったのは、確かLUXMANが最初だったと思いますからね。私も最廉価モデルであるDA-100を愛用していました。
現在はヘッドフォンアンプとしての実力差から、FOSTEX HP-A8に取って代わられてしまいましたが…。
そのLUXMANですが、1980年代にカーオーディオの分野で有名なALPINEと資本提携して、合同ブランドで(LUXMANとしては)比較的廉価な製品をリリースするようになりました。その製品群につけられていたブランド名がALPINE/LUXMANだったのです。
このブランドを特に有名にしたのが、真空管とMOS-FETを併用したプリメインアンプやCDプレイヤーをリリースしたことで、特に初代のプリメインアンプLV-105は、当時のグッドデザイン賞金賞を受賞することとなる独特のデザインと、真空管を巧みに活かした音質で大きな反響を呼ぶこととなります。
ちなみにグッドデザイン賞の受賞企業はアルパイン株式会社となっていますが、ALPINE/LUXMANの製品群は基本的にラックスマンの方で開発/製造されていたようです。
そしてこれらの製品群には「Brid」というシリーズ名がつけられていました。これは「Hybrid」に由来する言葉で、例えば前述のLV-105などは真空管とMOS-FETとハイブリッドであるなど、何かを融合させることで新たな魅力を持つ製品を作り出すという意味が込められていたようです。
LV-105よりも高価なプリメインアンプとしてはLV-109が用意されましたが、こちらは真空管は用いられず、全段MOS-FETで構成されるアンプでした。但し、世界初となるD/Aコンバーター内蔵アンプであり、D/Aコンバーター、ビデオセレクター、プリメインアンプを融合させた「Brid」という扱いでした。
当時予測されていた傾向に合わせ、入力ソースはデジタルと映像が主流になっていくという考えで設計された製品で、当時としては極めて珍しいPHONO入力の無いプリメインアンプでした。とはいえ、その時点でまだまだアナログプレイヤーは広く使われていて、PHONO入力が全く不要だとも考えてはおらず、LV-109の性能に見合ったフォノイコライザーを別筐体に収めたオプションを用意して、必要なユーザーにはそれを使って貰おうという意図から企画されたのが、今回取り上げたLE-109となるのです。
内蔵物とはひと味違う
設置スペースが限られているため、あまり良い条件とはいえないもののとりあえずCDプレイヤー(NEC CD-10)の上に置きました。
プレイヤーは前述の通りKP-9010、カートリッジはaudio-technica AT33Rを使い、とりあえず音を出してみました。負荷抵抗は100Ω、増幅率は22dBにセットしています。KP-9010ではMM・MC双方を使うということで、MC専用のPHONO1ではなくPHONO2に入力しています。MCカートリッジしか使わないのであれば、PHONO1に入力することが推奨されていますが、この場合は負荷抵抗等は選択出来ません。
ところが、第一印象としては「異様に低域が薄い」というものでした。これは上の写真にヒントが隠されているのですが、実はsubsonicフィルターがONになっていたのです。
今まで使ったプリメインアンプの内蔵品などでは、subsonicフィルターでそこまで極端な差は付かなかったので気にしていなかったのですが、この製品のsubsonicフィルターは可聴範囲内の帯域から結構削ってしまうようです。
それに気付いた後は当然subsonicフィルターをOFFにして試聴します。すると今までのAU-α707DR内蔵イコライザーでは出なかったような重量感のある低音が出てくるようになります。今までAT33Rの低域が薄いことと、KP-9010の腰高感のためだと思っていた低域の軽さが、実はフォノイコライザーに起因していたということがはっきりと判るのです。もっとも、GT-2000と比べればやはり軽いかも知れませんが…。
基本的にはLUXMANらしくさほど強調感の無い、一見すると単に地味な音ではあるのですが、弦楽器やヴォーカルなど、一つずつの音色の質が向上しているということが判ります。後にやや上の価格帯にLUXMANブランドで発売されたフォノイコライザー、E-03と比べればこちらの方が音質は良好と評したユーザーも少なからずいるということで、中級プリメインアンプ内蔵品と比べれば明らかにグレードが上がったことは実感出来ます。
ただ、MM系のカートリッジとしてClearaudio Virtuosoも使ってみたのですが、こちらは今までの印象と大きくは変わらないものとなりました。強いていえば高域方向の緻密さと低域のレスポンスは向上したように感じられる程度です。
やはりオーディオ全盛期に開発された製品らしく、近年の同価格帯の製品と比べると無駄とも思われるようなコストがかけられているという印象を受けます。この製品を買ったことでPhasemation EA-200を急いで買おうという感覚では無くなりました。まあ、それでも欲しいと思うことに変わりはありませんが…。
-
購入金額
37,800円
-
購入日
2017年01月26日
-
購入場所
HARD OFF
cybercatさん
2017/02/09
LV-105、持ってますよ。たしか「u」つきの後期型だったと思いますが。
jive9821さん
2017/02/09
昔アンプを買おうとしたときに、最も憧れていたのが、LV-103uでした。
千葉付近では試聴できる店がなく、購入する店の縛りもあり、KENWOOD KA-990EXになってしまったのですが。
今でも一度は使ってみたいと思う
一台です。