オーディオテクニカのカナル型イヤフォンで、数世代前の主力モデルとして存在していたのがATH-CKMシリーズの製品群でした。
その中でもATH-CKM77は、最上位のATH-CKM99に次ぐポジションの製品で、当時の希望小売価格は12,000円でした。今ではこの価格帯のモデルは中間クラスという位置付けですが、この製品が発売された当時(2010年)の感覚では、そこそこ上位というところです。
その後オーディオテクニカのインナーイヤーフォンはラインアップが細分化されましたが、現行製品でこのクラスに相当するのはATH-CKRシリーズということになるのでしょうか。
ただ、型落ちとなったATH-CKMシリーズですが、パッケージを簡略化したATH-CKMxxEP系(EPはエコパッケージの意味)として、Web販売専用モデルとして現在も残り続けているのです。かつての価格よりは大幅に安く、お買い得仕様という意味なのでしょうか。
そのATH-CKM77EPが通常価格よりも更に大幅に安くなっていましたので、Web上のユーザーレビューではそこそこ評判が良かったということもあり購入してみました。
パッケージはご覧のようにモノクロでほぼ文字だけというデザインであり、ここでエコパッケージとして簡略化されていることが判ります。JANコードの下に「1514」と記載されたシールが貼付されているのは、ひょっとするとPCパーツなどと同様に「2015年14週製造」という意味なのでしょうか。
添付品そのものはキャリングポーチの類が無い以外はごく普通です。あくまで簡略化されているのはパッケージと言うことでしょう。
この音を聴いてカナル型が苦手になったという記憶
今回はファーストインプレッションを作成するためにFOSTEX HP-A8に接続した状態での試聴となります。
イヤーピースは添付品、ノイズアイソレーション(SONY)、SpinFit、Final typeB、各種Complyなど、手持ちの色々なものを試してみました。
ここで普段なら聴いたソースを並べ、それがどのような傾向で聴けたかについて述べるところなのですが、この製品についてはそれはあまり意味を持たないでしょう。というのも、低音が出ているとか、高域が良く伸びているとか、そのような事を語る以前の問題として、出ている音の質があまりにも低いのです。
ヴォーカルだろうと電子楽器だろうと、とにかく出ている一つ一つの音色に全くリアリティーがありません。常に固有の音色が付帯してしまい、それが極端にチープな音と感じさせてしまうのです。本来ならばさほど音質を期待出来ないな筈のyurbudsのスポーツ向け製品の方が出ている音色はずっとまともですから。
私もすっかり忘れていたのですが、かつてこの時期のカナル型イヤフォンを聴いて「カナル型は音が悪い」という印象を受けていたのです。それを実際に聴くことで再認識出来ました。好みの問題を含めて考えたとしても、ここまで使う気にならないイヤフォンは、私の場合はFinal Adagio III以来です。
ちなみに色々試したイヤーピースの中で、最もマシな音質に感じられたのはIRIVER ICP-AT1000添付のものでした。
これも積極的に評価している訳ではないのですが、いくらかは標準状態よりはバランスがまともな方向に近づきます。この状態でも使う気にならないという意味では変わりませんが…。
大幅に値下げされていて、そこから更に値引きがあったにもかかわらず、ここまで満足感のないイヤフォンは滅多にお目にかかれません。もっとも、Web上のユーザーレビューでは比較的高評価を得ていますので、この音が好きだという方もきっといらっしゃるのだろうとは思うのですが…。
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購入金額
2,980円
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購入日
2016年12月08日
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購入場所
NTT-Xストア
harmankardonさん
2016/12/10
CKMよりCKSシリーズのほうが,好きです.
jive9821さん
2016/12/10
CKMの音は、確かに一番魅力が無かった時代のオーディオテクニカの代表例という印象を受けますね。最近はラインアップが細分化されたことで、どれか好みに近いものがあるという感じですが、当時は方向性も比較的似たものが多かった気がします。