JBLの43xxといえば、一般的なイメージで言えば大型の3ウェイや4ウェイシステムで、ジャズや70年代以前のロックを聴くのに似合うスピーカーというイメージが強いのではないでしょうか。というか、私は少なくともそのようなイメージを持っていました。
しかし、たまたま某オーディオショップを冷やかしに行ってみると、ジャンク品と書かれたJBL 4302が置かれているのを見つけました。第一印象は43xx系(かつミニチュアモデルではない)なのに、意外と小さいということでした。20cmウーファーのシステムですから、当然と言えば当然なのかも知れませんが。
ジャンクという表記が気になったので、店員の方に「明確におかしい箇所があるのか」を尋ねてみると、単に外観コンディション不良だというのです。片側のウーファーのセンターキャップに凹みはありますが、これも音に影響するほどひどくはないレベルです。
外観については、エンクロージャーの傷が多いということもあるのですが、JBL自慢の無着色・無漂白ホワイトコーンに色やけによる変色があるため、一般的な中古品として取り扱うのははばかられることからジャンク扱いとしたとのことでした。つまり音を聴く分には特に異常のない品というわけです。
そこで簡単に試聴してみると、繋いだ機器が豪華すぎるというのもあったのですが、なかなか光るものがあると感じられる音でした。まあ、アンプがLUXMAN LX-380、アナログプレイヤーがTechnics SL-1200G(カートリッジはDENON DL-103)で、試聴ソースがLPのみだったため、BEATLESの通称赤盤を聴いた訳ですが…。
値段からしても試しに買ってしまえる程度でしたので、その場で購入してきました。
本来は純白のコーン紙がかなり茶色がかっています。とはいえ、普段はサランネットを装着している訳で、言われなければ気にならないとは思いますが。
ヴォーカルものや弦楽器は抜群の質感。あとは低域が…
オーディオ機器の移設中ということもあり、最低限に絞った環境で簡単に音出しをしてみました。接続したのはこちらです。
こちらのKENWOOD L-01A(プリメインアンプ)をパワーアンプとして使い、プリアンプに別途ONKYO P-308を用意、そこにPioneer N-50だけを接続してUSBメモリーから再生するという環境です。
お馴染みの試聴ソースである「Now / Chicago」(公式ハイレゾ)辺りを聴くと、ヴォーカルやホーン等主要楽器の質感など、かなり高水準です。
しかし、どうしても気になるのがベースの音が腰高ということです。特にこの作品のボーナストラックである「Another Trippy Days」は冒頭にかなり低い音が入っているのですが、これの重量感が出て来ません。
一方で、「TOTO XIV / TOTO」収録の「Chinatown」(LP盤から起こした24bit/88.2KHzハイレゾWAV)では、若干重量感は無いもののそれ以外の部分では素晴らしい空間を構築してくれます。
このシステムに本来接続されているスピーカーはSANSUI SP-100iで、これも当時5万円台という価格からすれば考えられないほど高水準な音を出してくれるスピーカーなのですが、SP-100iと比べても音場表現では若干上回っているのではないかと感じるほどです。
その後も色々なソースを少しずつ聴いていたのですが、70年代のロックなどでは腰高感もさほど目立たず、とにかく見事な音を奏でてくれるのですが、比較的最近の高音質録音では全般的に低域方向の重量感や馬力が足りないという結論でした。最後に聴いた「My Heart Will Go On / Celine Dion」(45回転の12インチシングル盤から起こしたWAV)などは、セリーヌ・ディオンの歌声だけで判断すればSP-100iを超えたと感じたほどの素晴らしさです。
低域方向以外はとにかく素晴らしいのですが、低域の重量感や馬力が足りないばかりに安っぽさに繋がってしまう傾向が、このスピーカーの特徴といえるようです。SP-100iとはどちらを常設にしようか悩む状況となっています。
もっとも、今回の試聴は簡易の環境ですし、事情によりさほど音量を上げられないため4302が本領を発揮出来なかった部分もあるかも知れません。それでも、このスピーカーの良さの一端は垣間見えた気がします。
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購入金額
9,800円
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購入日
2016年12月03日
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購入場所
ノジマ オーディオスクエア
harmankardonさん
2016/12/03
一時期,4306を真剣に買おうとしたことがあります.
フェレンギさん
2016/12/03
青いバッフルがJBLらしくてかっこよいです。
jive9821さん
2016/12/04
状態を尋ねたら、店員さんが「繋ぎましょうか?」といきなり試聴環境を整えてくれ、スピーカースタンドまできちんと用意して試聴出来たため、出て来た音に納得して即決してしまいました。
4306だとホーンツイーターになるので、より伝統的なJBLサウンドになるのかも知れませんね。4302は、4306とウーファーは同等のユニットと思われますが、ツイーターが意外なほど現代的な音を出してくれ、ある意味イメージとのギャップがありました。
jive9821さん
2016/12/04
ペアで1万円でお釣りが来るとなれば、思わず買ってしまいますね。しかも出てくる音がまた魅力的でしたし…。
青いバッフルがいかにも43xx系なのですが、外装は光沢あるウォールナット仕上げで、デザイン的にもなかなか珍しい組み合わせのようです。
オーディオ機器の設置がきちんと終わったら、ある程度音量を出して楽しみたいところです。
やくりさん
2016/12/07
英国系スピーカーばかりなので一度は聞いてみたいです。
jive9821さん
2016/12/07
正直言ってしまうと、私の中にあったJBLのイメージとは少し傾向が違っていたのですが、それでも魅力的な音ではあると思います。
英国系はあまり使ったことがないのですが、KEFの昔の小型2ウェイが結構好きでした。ちょっと型番は思い出せないのですが…。