先日同じyurbuds / JBLのVENTURE DUROを取り上げましたが、その後のAmazonのセールでより安く売られていたこちらにも興味が湧き、何となくですが買ってみることに。
VENTURE DUROはイヤーチップによって大幅に高域がスポイルされ、結果としてややハイ落ちという音となるものの、イヤーチップ無しできちんと耳に入ったときの音は意外に思えるほどまともなものでした。もっとも、少し頭を動かしただけでずれてしまうほどそのような装着は困難であり、現実的にはイヤーチップ込みで使う必要があることは間違いありません。
そこでシリーズが違うINSPIRE 300であればどのような音になるのかと思った訳です。とはいえ、VENTURE DUROと同様に分厚いイヤーチップによってスポーツ用途での利用を可能にしている辺りはどちらも同じであり、傾向も似ていることは事前に予想出来てしまうのですが…。
外観上はVENTURE DUROよりも一般的なインナーイヤーフォンに近い形で、そこにyurbudsの分厚い大型イヤーチップが付いているというイメージです。
高域の量はともかく、全体的な質は意外と良い
まずは通常の状態で試聴してみましょう。今回のテストも以下の2つの環境で行います。
ソースも基本的にいつも通りのものを適当に使います。主なものは以下に挙げた作品となります。
まず、David Garrettのヴァイオリンはあまり楽しめるものではありません。意外と響きなどは出ているのですが、ヴァイオリンの質感がかなり偽物っぽさを感じさせてしまいます。
一方でNのハコの「ガーネット」や「ラブソング」など、比較的音数の少ないシンプルなアレンジの楽曲は、空間は狭くハイ落ち傾向は気になるもののヴォーカルやピアノの質感はまずまずですし、結果的に出ている音はそこそこまとまっています。むしろこれでもう少しハイ落ちが改善され、高域方向の解像度が備わっていればかなり良質といっても良い水準です。
シカゴの「Now」などは一応ながらJBLの名前が入っているだけあり、比較的上手くまとめているという音です。これも高域方向が改善されればかなりの水準となりますし、軽く運動しながら聴く程度であれば十分納得のいく音です。今丁度再生されているのは「Goin' Home / CWF」のライブなのですが、Joseph Williamsのヴォーカルの後ろで低く囁くようなBill Champlinのコーラスなど、かなり良いのです。
ただ、いずれのソースでもHP-A8で聴くと低域方向の馬力と量感に対して、高域方向が質・量共に不足してしまう傾向がより強くなります。NW-A16で聴いた方がバランス的には整います。もちろん根本的な音質はHP-A8の圧勝ではあるのですが…。
ここでVENTURE DUROの時と同様に、この製品の特徴であるイヤーチップを撤去して聴いてみました。VENTURE DUROよりはドライバーユニットの径も小さく、耳に押し込みやすい程度ですので。
ところがこの状態ではどのように装着しても、極端なハイ上がりでありとても聴いていられるような音ではありませんでした。イヤーチップを外したり他のものと交換するなどということは考えない方が良さそうです。
正直に言ってしまえば、本来の値段でこの製品に魅力を感じるかといわれれば、微妙なところです。音質的にも光る部分はありますが、敢えて選ばなければいけないほどの魅力があるとはいえません。もちろんスポーツイヤフォンを持っていない方であれば、充分に選択する余地はあると思いますが。
ただ、今回のような3桁価格でこれが入手出来るというのであれば話は別です。千円以下でこの水準の音を出すような製品は滅多に見当たらないでしょうから。あくまで処分価格であればという条件は付きますが、耐久性と音質も比較的高い水準で両立されていると言え、お薦め出来る製品です。
-
購入金額
652円
-
購入日
2016年11月16日
-
購入場所
Amazon
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。