テキサスインスツルメンツから発売されているCMOSオペアンプです。今回入手したのはDIPの2回路入りですが、表面実装品の1回路・2回路・4回路品もあるようです。
これでは高域が出るわけない
スルーレートが30mV/μsしかないため(LM358でもこの10倍です)、極端なロー寄りになります。波形の写真に見えるように帯域が足りていないため、これ自体がトレブルリデューサーになっているのではないかと思ってしまいます。
また、アッテネーター付きのヘッドセットではうまく鳴りましたが、ヘッドホン側のボリュームを最大にしてアンプの入力だけでボリュームを調整した場合、若干の音割れを確認しました。これは、出力電流が足りないためです。
単体では音割れのせいでまともに評価できないので、BUF634でバッファして試聴してみました。クラシックアレンジを聞いた場合、バーブラウンらしく見通しの良い石であるといえます。ただ、遅い石なのでポップ曲には向きません。
過渡応答(A=11 Vin=200mVp-p f=100kHz Rfb=10kΩ 位相補償なし 10:1プローブのみ接続 ガラエポユニバーサル基板)
過渡応答(A=11 Vin=200mVp-p f=10kHz Rfb=10kΩ 位相補償なし 10:1プローブのみ接続 ガラエポユニバーサル基板)
これは100kHzと10kHzの波形です。決して1MHzと100kHzではありません。
負荷時の波形は次の通りです。上が入力、下が出力で、ボルテージフォロワなので縦軸のスケールは同じにしてあります。振幅が足りていませんね。
100kHzではまともな波形が出ないので写真は省きました。矩形波は1kHzです。
過渡応答(A=1 Vin=200mVp-p f=1kHz Rfb=0 位相補償なし Rl=15Ω ガラエポユニバーサル基板)
オーディオ以外用
電源電圧は2.3~5.5Vで、rail-to-rail出力です。絶対最大定格は7.5Vですが、私は間違って24Vをかけてしまいお釈迦になりました(5ヶ月ぶり2回目。前回はAD8656)。私のような慌て者はこういう目を見ますので注意しましょう。逆に「電池駆動の機器のために設計された」とデータシートに書かれているように、乾電池なら2~3本(絶対最大定格からして4本でも多分大丈夫)で動きますし(でも9Vの四角い電池はだめ!)、コイン電池(3V)を使う機器には特に適しているでしょう。
DIPの2回路品なのでその点は使い勝手が良いといえますが、出力電流が貧弱なのと前述のとおり悲しくなるようなスルーレートのため間違ってもポータブルオーディオに使うのはやめるべきです。
しかし、オーディオ以外の、それほど帯域が要求されないようなアナログ回路に使うのであれば電池への負荷が少なくて済む点で適しています(そのために設計された石ですから)。
アナログ温度センサーなどの前処理用
はっきり言ってオーディオ回路には向きません(コンプリペアのトランジスタ2組買ってダイアモンドバッファを……としたところで帯域が足りないため使えません)。オーディオに使うなら、OPA2350などが適しています。
一方、ローパワーの石でありながら「高精度オペアンプ」とされているため、アナログセンサーの前処理に良さそうです。例えば……
- Arduino Unoなど、5V駆動でADC内蔵のマイコンを使う
- アナログ出力で出力範囲が0~1Vなどのセンサーを使う
- オーディオ信号、ビデオ信号を扱わない
- 電池で駆動する
このような場合に、アナログ出力を5倍(元の出力が0~1Vの場合)にすることで、ADCの分解能をフルに使うことができます。
例えば、LM35という温度センサーは10mV/℃のスケールである一方、Arduino UnoのADCは5Vを1024等分した約4.9mVの分解能です。オペアンプで5倍にした場合、理論上0.1℃単位の分解能が得られるはずです(実際は誤差があるのですが……)。
ローパワーCMOSなので当然か
5V駆動・BUF634バッファ付きのcMoy回路では、外気温21.0℃に対しパッケージ表面温度は21.2℃でした。
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購入金額
313円
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購入日
2016年11月20日
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購入場所
マルツ大阪日本橋店
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