それでは試聴してみましょう。

本来音質について高い次元を要求されるような製品ではなく、どちらかというと耐久性に重点を置いている製品ですから、あまり多くを期待するべきではありません。一応以下の2つの環境で試聴しました。

製品ジャンルから想像される通り、クラシック系の楽曲を優美に鳴らせるような傾向の製品ではありません。David Garrettなどははっきり言ってあまり楽しめませんでした。

しかし、ロック・ポップス系の曲は意外と悪くありません。分厚いイヤーチップから想像される通り、明らかに高域方向の量が足りないのですが、それに目をつぶれば中～低域にかけてのバランスはむしろ整っている部類ですし、ヴォーカルやアコースティックギターの音色も思ったよりは遙かに良好でした。高域が不足している分若干曇りがちに感じられますが、「Nのハコ／南條愛乃」などは結構快適に聴くことが出来る音です。

また、試しにこのイヤーチップを除去した状態で聴いてみると、耳への収まりは極端に悪いのですが、上手く収まったときの音質はかなり良いものでした。あくまで上手く耳に収まっているという条件付きではありますが、ハイコストパフォーマンス製品が目白押しの5千円前後クラスのカナル型イヤフォンと比べても、多くの面で同等以上の音質となるのです。

良くも悪くもこの製品の方向性を決定づけているのは、あのイヤーチップということになるのでしょう。これによりスポーツ時のように派手に動いてもなかなか外れないという装着性能と、防水性能を確保しているということでしょうから。

BOSE SoundSport IE添付のStayHearのように細かく計算されたイヤーチップであれば、ひょっとすると音質でもこのクラスのトップレベルに躍り出るだけのポテンシャルはある製品なのかも知れません。残念ながら、このイヤーチップはそこまで音質を追究して作ったものでは無さそうですので、出てくる音の水準もここで下げられてしまっているという印象があるのですが…。

いずれにしても、この内容・音質に対してこの販売価格であれば、かなりお買い得というべきものです。ハーマンのサイトを見るとyurbudsの製品が殆ど残っていませんので、最後の在庫処分という意味合いなのかも知れませんが。

ここ数日、夕方頃にAmazonのタイムセールを覗くと何かしら掲載されているようですので、興味のある方はそのタイミングを狙ってみると良いでしょう。