レビューメディア「ジグソー」

見た目とは違う派手な音

正直に言ってしまえば、私にとって今までは「見かけることはあるが興味は無い」というブランドに過ぎなかったMASTER & DYNAMIC。そのブランドの製品を買うことになるとは全く予想していませんでした。

 

このブランドはNew York発ということで、都会的センスのデザインの方を前面に押し出していて、音質的な良さがあるのか疑問だったのです。それに、最廉価モデルであるこのME01でも決してお手頃というほど安いものでもありません。

 

 

それが何故急に入手することになってしまったのかといえば、某所のシークレットセールで、通常価格の1/3程度で売られていたためです。本当は上位モデルのME03を買おうとしていたのですが、タッチの差で売り切れてしまったため、最廉価のME01で妥協したという訳です。販売価格差が僅かに1,000円だったので、明らかにME03の方がお買い得だったのですが…。

 

 

 

 

 

 

 

以前YAMAHA EPH-M100のレビューでも書いたのですが、MFi認証は要らないのでシンプルなケーブルをつけて欲しいところです。ユーザー皆がiPhoneで音楽を聴く訳でも無いはずです。

 

 

 

 

 

 

 

 

8mm径のダイナミックドライバー1つという単純な構成であるため、ハウジングはコンパクトにまとまっています。一応アルミ製であり、数千円クラスの製品よりはコストがかかっているようです。キャリングケースは使い勝手はともかく格好はなかなか良いですね。この中に交換用イヤーピースも入っています。

 

 

 

 

 

結構きちんとした冊子の取扱説明書が添付されています。

 

ケーブルはフラットタイプのもので、OFC(無酸素銅)を使用しているそうです。iPhone用リモコンとマイクがあり、ヘッドセットとしても使うことが出来ます。音質的にはマイナスだと思いますが。

更新: 2016/08/29
音質

イヤーピースで調整すれば常用に耐える

まずは標準添付のイヤーピース(写真に写っているもの)そのままで試聴します。

 

環境は、据え置きが

 

 

 

 

 

の組み合わせ、ポータブル環境が

 

 

 

 

 

となります。

 

 

まず、使い始めはとにかく耳が痛くなるような刺激的な中~高域と、妙に大げさな低音というイメージでした。3~4時間鳴らしているとある程度落ち着いたようですので、この状態で評価を始めます。

 

基本的には中高域に固さがあり、低域の特定の周波数にアクセントがあるというドンシャリタイプです。ただ、低域の持ち上がっている範囲は狭いらしく、曲によっては低域が物足りなくなることもあります。

 

 

 

 

例えば、このアルバムの「VIVA LA VIDA」では低域のバランスは整っているのですが、

 

 

 

 

 

こちらではベースが異様に分厚く感じられます。その一方で

 

 

 

 

 

このアルバムの「NOW」では低域にやや物足りなさがあります。つまり「Get Lucky」のベースラインの辺りが丁度アクセントとなっている帯域ということでしょう。

 

 

ただ、気になるのは低域よりも中高域のピークのキツさです。特にDavid Garrettのヴァイオリンが刺さってくるのはマイナス要素と感じます。

 

この中高域のキツさは、以前別の製品でも気になったものと似ています。その製品とは、Philips Fidelio S2です。

 

 

 

 

 

となると、対策法も同じで良いだろうということで、SONY製のノイズアイソレーションイヤーピースを組み合わせてみます。

 

 

 

 

結論から言うと、この対策はかなり有効です。刺さってくるほどのキツさは緩和される一方で、高域方向の微細な表現はきちんと残ります。

 

この組み合わせではDavid Garrettのヴァイオリンがやや細身に感じられたり、南條愛乃のヴォーカルが妙に硬くなる曲がたまにあるものの、概ね万能にあらゆるソースをこなすようになります。低域のアクセントは残りますが、これも「Get Lucky」以外ではさほど気にならないレベルですので、まあ良いでしょう。

 

この製品の中高域の癖は、恐らくアルミハウジングの弊害ではないかと思われます。ハウジング内部で反響しているものが、出音に影響している可能性が高いと思うのです。というのも、ハウジングを手で強く握ってやると、このピークの部分がかなり引っ込むのです。ハウジング内部に薄くラバーコートでもしてあれば、かなり改善出来たのではないかと思うのですが…。

 

追記:

その後さらに数時間音を鳴らし続けたところ、ピークの部分がもう少し引っ込むようになり、バランスは良くなってきました。ノイズアイソレーションイヤーピース併用であれば常用出来そうなところまで来ています。

 

もっとも、同じような音質傾向を示すPhilips Fidelio S2との比較でいえば、微細な表現や楽器の質感などで、ME01の方が上回りますので、価格なりの良さはあるということでしょう。とはいえ、通常の1万5千円前後という価格では割高感はあります。ケーブルなどもまずまずの質なのだとは思いますが、リケーブルは一切考慮されていません。

 

今回はセール価格で5千円クラスに下りてきたために買ってみたのですが、その価格の製品としてみれば良質な音、1.5万円クラスとしてはややバランスに難があるというのが個人的な感想です。この製品を常用するのであれば、ノイズアイソレーションイヤーピースやComply(Sなどの高域が比較的残るもの)などが必要になりそうです。

  • 購入金額

    4,980円

  • 購入日

    2016年08月27日

  • 購入場所

    eイヤホン

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