茶楽音人製のカナル型イヤフォンの主力シリーズ「Donguri」のジュニア版的位置付けで発売された製品で、5千円前後という価格帯に展開される戦略モデルと言える存在です。
基本構造は上位モデルをほぼそのまま踏襲していて、更に「ハイレゾ対応」と位置付けるために上位モデル以上となる5~40KHzの再生帯域を確保しています。
装着法として、一般的な方向の他に通称シュア掛けにも対応しているとのことですが、これはイヤーフックが無いと厳しいところです。イヤーフックは添付されていませんので、自分で別途用意する必要があります。
個人的には茶楽音人というと、まず思い浮かぶのはこのイヤーチップです。
このSpinFitは、高域方向の抜けが悪いイヤフォンに使うと効果覿面であり、これで見違えるように整った音になるような製品も多くあります。私の中では「困ったときのSpinFit」という位置付けですからね。
そしてこのCo-Donguri 雫には、そのSpinFitが3サイズ添付されています。SpinFitは通常サイズ別に売られていますので、どのサイズが自分に適合するのか試してみたいという場合には案外面倒ですが、この製品を買えばサイズ違いが揃うというメリットがある訳です。
実は本体色は特に決めていなかったのですが、気になるモノに登録してあった色がSmoky Goldだったので注文時にもその色にしました。
SpinFitのイメージに通じる音質傾向
それでは試聴ですが、今回は据え置き環境とDAPをそれぞれ用意してみました。
まずは据え置き環境ですが、最近AKG K702やFOSTEX T50RP mk3nの試聴を書いた環境と同じにしてみました。
まずは標準添付のSpinFitと同型の、SpinFit Sサイズを装着した状態で聴いてみます。
一聴するとやや硬質ハイ上がりながら、切れの良い音でなかなか好印象なのですが、曲によってはこの硬さが結構気になります。
David Garrettのヴァイオリンや、fripSideのヴォーカルがどうしても硬すぎて、聴き疲れしてくるのです。「The Seventh One / TOTO」などはこの切れの良さが心地良いのですが…。
送り出し側のUSB-DAC 24/192Xがどちらかというとソフト目の耳障りの良い音なので、それを差し引いてもまだ硬いというのが…。ただ、気になるソースは少数派であり、大多数のソースでは小気味よく鳴ってくれるということは申し添えておきましょう。
ここであえてイヤーチップを交換してみました。今まで買い集めた単品・添付品を問わずに確かめてみたところ、意外にハマったのがELECOM EHP-CH1000の添付品です。これは所謂中華イヤフォンの添付品と近い構造で、少し指向性が弱まるという特徴があります。これにすると硬さを感じるピーク部分が弱まり、バランスが一気に整います。この状態ではDavid Garettのヴァイオリンも快適に鳴るようになります。
次に主に組み合わせることになるDAPでの試聴です。今回は音質傾向から判断して、Astell&Kern AK100を選択しました。
すると、これが予想を超える抜群の相性を示すのです。SpinFitのままでも先ほどの環境よりは硬さが気にならなくなりますし、EHP-CH1000のイヤーチップを使うと極めてバランス良くほとんどのソースを鳴らしてくれました。
先ほどまではどうにもしっくりこなかったfripSideの楽曲でもほぼ不満のないレベルにまとまりますし、さすがに先ほどまでの切れはなくなるもののTOTOの楽曲でも十分に楽しめる水準でまとめてくれます。
しいて言えば「TOTO XIV / TOTO」の「The Little Things」で少し密度感が薄いかなと感じる部分はあるのですが、さすがにそこまで完璧であればこれより高価な製品の出番がなくなってしまいます。
実は数日前にeイヤホンの店頭で、この製品とAuglamour R8を試聴してきたのですが、どちらも5千円以下とは思えない完成度の高さを感じさせてくれました。これらの製品の登場で、このクラスの水準が間違いなく一気に引き上げられたのではないでしょうか。
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購入金額
4,960円
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購入日
2016年06月25日
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購入場所
eイヤホン
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