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火迺要慎 火防の御札を戴きに愛宕山詣で

落語で「火防の御札」といえば「秋葉山の御札」が有名ですが、京都では「愛宕神社からちょうだいする 火迺要慎の御札」になります。

三桁の歴史を持つ料理屋だけでなく、ほとんど全ての飲食店の厨房には「火迺要慎」の御札が貼られています。

 

落語好きの立場から少し語らせてください。

更新: 2016/05/20

愛宕山 愛宕神社とは

山城の国と丹波の国の境にそびえる愛宕山は、標高924メートル。

延暦寺をいただく北の比叡山848メートルと共に京都守護に無くてはならない霊山です。

火伏せに霊験のある神社として関西では広く知られており「火迺要慎」と書かれた愛宕神社の火伏札は京都の多くの家庭の台所や、ほとんどの飲食店の厨房に貼られています。

 

「愛宕の三つ参り」として、3歳までに参拝すると一生火事に遭わないと言われます。

また毎年7月31日から8月1日の間は、清滝側からの山道・参道がライトアップされ

終日参詣が絶えません。

其の日は千日通夜祭と称され、千日に相当するご利益が頂戴できるとされます。

 

明智光秀は本能寺に対う前に、ここ愛宕神社で願を掛けてから赴いたと言われています。

毎年千日詣りを行う方、ご自分の健康の為も兼ねて毎日お登りになる方、飲食業協同組合の当番で御札をいただきに登られる方、町内を代表されて登られる方々。

徒歩で片道2時間が目安の場所ですが、一年中参詣客が絶えないのが愛宕神社です。

いくつかの登下山ルートが存在しますが、帰路のお薦めは月輪寺を目指してから清滝に戻るものです。

月輪寺(がつりんじ・つきのわでら)は、天台宗の寺院で親鸞の手植えとされる時雨桜が有名です。

庵主さんが守って居られますが、防火の為に真冬でも火を焚くことが無く、水を浴びて身を清める生活だそうです。 僅かな湧き水がありますが、熱心な信者さんや登山愛好家の方によって、水や生活用品が届けられると伺いました。 

数十年前の改修では、数百メートル離れた場所にヘリコプターで資材を下ろすことができたそうですが、現在はそれも叶わず、目前の問題として難儀されているとか。

 

愛宕神社は徒歩での参詣が前提ですが、実は社務所横まで軽四駆で登れるんです。

戦中に軍需供与されてしまうんですが、かつてはケーブルカーも敷設されており山頂には遊園地やホテルも存在していた歴史があるので、自動車道が残っております。 ポンプを使えば水道も引けるはず(社務所には引かれているかも)

でも参詣者用のトイレは、驚くほど不潔です。 あんなに大きな銀蝿を見たのは数十年ぶりでした。

御札にしても印刷物です。 毎日数百枚もしくはそれ以上の単位で飛ぶように納められているんですから、せめてトイレだけでも、もう少し手入れなされたらどうか? 

と思わずにいられませんでした。

 

霊験あらたかな火防の御札を頂戴しながら不遜なことを申しますが、あまりにお金の匂いが強い。

 

対して月輪寺の有り様に神仏の有り難みを感じた次第でございます。

更新: 2016/05/20

落語としての愛宕山

上方落語の古典としての愛宕山は、鳴り物を伴う景気の良い滑稽話です。

桂米朝師匠の高座がつとに有名です。

 

お話は、京都の旦那とお調子者の幇間(太鼓持ち)一八が、ちょうどこの時期の愛宕山に野掛け(ピクニック)を楽しみに芸姑ちゃんや舞妓ちゃんを伴って出かけるところから始まります。

 

なんやこの程度の山かいな。と見くびる太鼓持ちですが、その実はそれなりに疲れる山道です。

ほうほうの体で旦那に追いつく太鼓持ちですが、そこはまだ山の中腹で茶店がある場所。

そして、そこは旦那さんが楽しみにしていたお遊びが出来る場所でした。

現在も立て看板として「かわらけ投げ」の場所として紹介されていますが、地形的に話とは合致しない場所です。

米朝師匠が「あの話は嘘ばかりでっせ。」と仰っていたのが頷けます。

旦那の楽しみとは「かわらけ投げ」で投げる瀬戸物の代わりに小判を投げることでした。

これがほんまモンの遊びやでと嘯きながら、次々と20枚もの小判を崖の下に投げ入れる旦那。

 

それを呆気にとられつつ眺める太鼓持ちの一八。

あの小判はどうなりますんや?      そらひろうた人のもんや。

ほな私がもろうてもよろしおますか?   ああかめへんで。

時におかみ、此下にはどうしたらゆけるんや? 

                  だいぶ遠おまっせ。 それに暗うなったら狼が出ます。

ほな、ちょっと其の傘貸してくれるか?

もちろんそう簡単に飛び降りる覚悟なんてできません。

バンジージャンプを前にして躊躇する芸人さんのような体です。

そこで旦那さんが付き人に  押してあげたらどうや?   かまいませんか? かめへんで。

と〜ん。

あぁ〜。 なんとか擦り傷程度で谷底までたどり着いた一八は、数えて20枚の小判を手にします。

おぉ〜い、一八、生きてるんか?   生きてまっせ〜。

ほなええけど、どうして上がってくるんや?

落ちぶれているとはいえ芸人の一八。 絹の長襦袢を切り裂いて縄を編みあげて近くにある竹に結びつけます。

思い切り引っ張って、其の反動を利用してぴゅ〜ん。 一気に旦那の元まで飛び上がることに成功。

でかした一八! ずっと贔屓にしてやるぞ。

ところで小判はどうした?

しもた!下に忘れてきてしもうた。

 

軽装登山でしたが、手作り小判と杖代わりの傘を持参して、雰囲気を楽しみましたとさ。

因みにこれは二年前の写真です。 マイブームで丸坊主にしてましたが、現在は伸ばしてます。

更新: 2016/05/20

火迺要慎

千日詣りなどで愛宕神社に参詣される方の多くは10枚100枚単位で御札をお求めになります。

代理で購入されるわけですが、それをいただく方にも一定のルールがあり、きちんとお代を支払うことが求められます。

御札には大小があるのですが、たしか800円と500円の2種類だと思います。

今年は5月にある嵯峨のお祭りで参詣されたお客様から頂戴しました。

500円をお支払いしています。 

1年とはいえ厨房の中は汚れるので、ラップに包んでから貼り付けてます。

  • 購入金額

    500円

  • 購入日

    2016年05月頃

  • 購入場所

    愛宕神社

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