レビューメディア「ジグソー」

値下がりにより5千円クラスの強力な存在に

元々は希望小売価格2万円台、発売当初の価格帯が1万5千円前後という製品でしたが、その後じわじわと実売価格を下げ続け、ついには5千円クラスという競争が激化しているクラスに殴り込みをかける形となってしまったBAドライバー搭載インナーイヤーフォンです。

 

例えば先日レビューを掲載した、

 

 

 

 

こちらの茶楽音人 Co-Donguri雫などは実売価格5千円前後ということで、直接的なライバル関係と見ることが出来ます。さらにこのクラスにはAuglamour R8など、主にダイナミック型ドライバー搭載のハイコストパフォーマンスモデルがひしめき合っています。もう殆ど入手不能だと思いますが、

 

 

 

 

この辺りもモデル末期は同価格帯にありましたからね。

 

 

さて、このEHP-BA100シリーズは、カラーバリエーションがシルバーとブラックの2種類あり、さらにスマートフォン向けリモコンの有無がそれぞれ用意されているため、計2モデル4バリエーション用意されているということになります。

 

搭載するBAドライバーは1基のみですが、これは米Knowles製で、Etymotic Research等の定番BA採用モデルでお馴染みのものと同系統のようです。

 

そしてハウジングは真鍮の削り出しであり、この辺りは同等の販売価格のライバル製品とは明らかにコストのかかり方が違います。この価格帯では金属製のハウジング自体が滅多にありませんし、あったとしてもせいぜいアルミ製です。元は決して安いものでは無いことが判る構成となっています。

 

 

 

 

 

 

 

箱のデザインは基本的にはいつものエレコム調ですが、「AQUA」という愛称を与えている製品だけに、それを意識したパッケージイラストとなっています。

 

 

 

 

箱の中身の台紙も、パッケージデザインに倣ったものであり、音質的な透明感を印象づけるようにデザインされています。

 

 

 

 

 

これが内容物の全てです。交換用イヤーピースと保証書、キャリングポーチというごく標準的な構成となっています。

更新: 2016/07/04
総評

得意ジャンルでは価格を感じさせない音質

それでは早速音質です。まだ5時間程度しか鳴らしていませんので、こなれてくると少し音質傾向は変化する可能性はあります。

 

まず、シングルBAという構成から受ける印象のためか、一部レビュー等では極端に低域が薄いという評価をされていることがあるのですが、実際には最低域こそやや弱いものの、それ以上の帯域はむしろ厚みのある低音が出て来ます。装着の仕方次第で高域方向が妙に落ちて聞こえることがあるので、そちらの方が気になるかも知れません。もっとも、これも装着に注意すれば問題なくなります。

 

 

手持ちの主なDAP全てで聴いてみたのですが、個人的にはSONY WALKMAN NW-A16が最も好相性と感じました。逆に同じSONY製WALKMANでも、NW-ZX1は全く合いません。曲によってはAstell&Kern AK100も悪くはありませんが、NW-A16と比べると楽しめるジャンルが狭まります。iBasso Audio DX90jも相性は良いとは言えません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まず、いつも通りのこの辺りですが、キレが欲しい部分でも全般的に丸みを帯びた音になってしまい、あまり相性の良いソースとは言えません。

 

 

 

 

同じく定番ソースのこちらは、楽曲次第という感じでしょうか。TOTOよりは相性は良いでしょう。

 

 

 

 

 

一方で、こちらはとても5千円クラスとは感じられない素晴らしい鳴りっぷりです。

 

 

 

 

ヴァイオリンの音が全く刺さること無く、ただただ伸びやかに気持ちよく鳴ってくれます。手持ちのインナーイヤーフォン全ての中でも最良と言える音質ではないでしょうか。

 

また、こちらのような音楽もかなり得意ですね。

 

 

 

 

弦楽器を中心とする生楽器の演奏に関しては、価格を感じさせずとにかく素晴らしい鳴りっぷりです。また、ロック・ポップス系でもアコースティック系でまとめられた楽曲については、楽器の質感が素晴らしく良いのです。その一方で電子楽器の打ち込みなどは全く駄目ですが…。

 

なかなか面白いのは「Infinite Synthesis / fripSide」という楽曲を聴いたときで、冒頭の雰囲気は素晴らしく良いのですが、打ち込み系のオケが入ってきた途端に全くパッとしない音になります。その後もヴォーカルだけが妙に生々しく、非常におもしろいというか、ちょっと残念というか、評価の難しい音になるのです。

 

 

先日取り上げたCo-Donguri雫がどの楽曲でも割合万能に鳴らしていたことと比べると、こちらはかなり偏った傾向を持つ製品です。ただ、得意分野に合致したときの音はとてもこの価格帯とは思えない素晴らしいものです。ヘッドフォン・イヤフォンをどれか1本だけ買ってみるという方にはなかなかお薦めしづらいのですが、何本も使い分けるという方であれば、1本持っておくと非常に楽しい製品ということが出来ます。

  • 購入金額

    4,980円

  • 購入日

    2016年07月04日

  • 購入場所

    Amazon

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