SPEED。デビュー時メンバー全員が小中学生だったことで話題を呼んだが、大人にはない身の軽さを活かしたキレッキレのダンスと安定した歌唱力で大きなムーブメントとなる。そんな若さで押したSPEEDも約4年間全速で活動した後、デビューシングル以外すべてランキング2位以上、売上枚数はデビューシングル含めてすべてプラチナ以上というものすごい記録を残して一時解散、各メンバーのソロ活動期間に入る。高音担当メインヴォーカルhiroこと島袋寛子はその中でも最も歌分野のソロ活動を精力的にやったが、その彼女の7枚目のシングル。
SPEEDは音楽プロデューサー伊秩弘将の手になるユニットだったが、hiroはソロ活動後しばらくして彼のもとを離れ、他のプロデューサーと組んで今までとは違う方向性を模索していた。彼女の人気と実力で、いずれの曲も大きなヒットにはなったが、伊秩時代を超えることはできず、それならと?再び旧コンビで手掛けたのが本作、“Eternal Place”。
SPEED時代の伊秩曲はビートが効いてダンサブルな感じのものが主流だったが、時に聴かせるバラードなどもあり、このソロ活動で選ばれたのはビートが濃くはなく彼女の伸びと媚がある声を聴かせるミディアムチューン。
バンド形式で「生」っぽいのが「Eternal Place」。1コーラス目は佐々木真理のピアノをバックに切々と歌い上げ、2コーラス目になってリズムインしてからはは同じテンポながら張った声で朗々とした歌いっぷり。ヤマチのリリカルな生ギターソロを挟んでサビフレーズ×2でアウトロへという感じだけれど、ここのhiroの声は例の「低中音域はかすかにハスキーで、高音域になるとそれが晴れる」という特徴を上手く活かした音域で魅力が上手く引き出されている。
「Can You Hear My Heart?」は打ち込みバックのミディアムチューン。こちらはSPEED時代に多くのヒット曲の編曲を手がけた(というか前期SPEED時代はすべてか)水島康貴の編曲で、伊秩+水島のゴールデンコンビの再来となっており、まさに「SPEED節」。インパクト的にはあまり強くない「アルバム曲」といった風情なのだが、Aメロのハスキーヴォイスと軽いファルセットが混じるサビの透明感の対比がイイ。サビに被さるように続くソロがフルート(竹上良成)っていうのも透明感が続く感じでイイナ。
やはり育ての親、hiroの良いところをうまく引き出していて、インパクトの強い曲ではないのにきちんとセールスを保った。ただちょっと新味に乏しかったのも事実で、この後ふたたびコンビを解消して他のプロデューサーと組むことになる。でも実はhiroとしてのシングルセールスはこのあたりまでがピーク、次の“Notice my mind”はそれを含むアルバム
の完成度は高かったものの、かなり曲調が異なりファンの求めるものとは違ったのか、ランキングという点では大きく及ばなかったし、それ以降はドラマなどの主題歌タイアップではあったものの、リリースも散発的で、この作品までのシングル起爆力はなかった。
hiro本人側としては「SPEEDの一部としてのhiro」=「伊秩カラーから抜け出せないhiro」というのを嫌ったのかもしれないけれど、結果ファンが期待したのは「あのころの」hiroだったのかもしれない。自分がやりたいことと、自分に適していること。人から見た方がその差に気づきやすい。それが一番わかっていたのは育ての親だった、そういうことなのかもしれません。
【収録曲】
1. Eternal Place
2. Can You Hear My Heart?
3. Eternal Place (Instrumental)
4. Can You Hear My Heart? (Instrumental)
「Eternal Place」
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購入金額
1,050円
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購入日
2002年頃
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購入場所
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