JITTERIN'JINN(ジッタリン・ジン)。「イカ天」こと「平成名物TV 三宅裕司のいかすバンド天国」でイカ天キング(チャンピオン)になったバンド。毎週1バンドがイカ天キングになり、その優勝バンドは勝ち残り次週もコンテストに参加する形式で、5連勝すれば「グランドイカ天キング」となってメジャーデビューできる!というもの。そのシステムでFLYING KIDS
やBEGIN
など味わいのあるバンドが多く世に送り出されたが、そこまで至らなかったバンドのいくつかにもとびきりの燦めきがあるものもあり、後に世に出ることになる。例えば津軽弁メタルとも言える人間椅子、和楽器を入れたカブキロックス、ラテン~カリブ系の明るい音楽とアイドル性でおしたGEN...
超タテノリ2ビートのJITTERIN'JINNもまた。彼等はヴォーカルとドラムスが女性、ギターとベースが男性の男女混合バンドだったのだが、キーは女性二人。曲はほぼ全曲ギターの破矢ジンタの手になりそれが一番の特徴でもあるのだが、その「表現」としては二人の女性メンバーの存在が欠かせない。通る声質の春川玲子の一本調子にも聴こえるほどのビブラートに頼らないぶっきらぼうな唱法と、入江美由紀の比較的単純な2ビートなんだけれど饒舌で華のあるドラムス。この組み合わせが、ちょっとレトロな感じの曲に乗ってグイグイ攻めてくる。
“DOKIDOKI”はそんな彼らの1stアルバム。彼等がイカ天で演奏した「アニー」と「エヴリデイ」を含む初期の彼等の「色」が濃く出た作品。
「アニー」は当時のベーシスト浦田松蔵のよく動くベースが特徴的で、スカ調のギターパッキングが入る彼らの代表曲。♪アニー/アニー/アニー/アニー/アニー/好きだよ/アニー♪というド直球なハッピーな曲。ディストーション、というよりオーバードライヴという軽い歪でリヴァーブを効かしたギターソロは音色的にはベンチャーズ系。
ギターのカッティングから始まる「エヴリデイ」は彼らのロカビリーチックな味わいが出た逸品。この曲は入江のドラムス。Aメロだけならオーソドックスなオールディーズなのだが、BメロへのつなぎとBからサビへのつなぎのメロディラインとシンクロしたフィルイン、サビのノリノリのツービートの対比が楽しい。ギターソロの前のブリッジは決めフレーズ⇒ギターフィルイン⇒決めフレーズ⇒ベースフィルイン⇒決めフレーズ⇒ドラムフィルイン⇒決めフレーズ⇒コーラスフィルイン??と4人の短いソロ回しがあって楽しい。ただコンテスト的にはこの曲でチャンピオン防衛できなかったんだよなー。かなりの名曲と思うけれど。
「相合傘」は長めのギターのアルペジオのイントロからは激しめの「エヴリデイ」のあとなのでバラードなのかな...と思わせるが、リズムインするとそんなことはなかったw ブリッジ部分はややしんみりした感じになるがあとはダンシング2ビート!しかもパターンは2小節1パターンの変則もの。やっぱり入江のドラムスって味あるな...
彼らは5週勝ち抜きの「グランドイカ天キング」にはなれなかったが、その独特な楽曲で鮮烈な印象を残して無事メジャーデビュー。その後何度かレコード会社を変わるも活動を続けていて、数年前までは追えるんだけれど、2016年の今はHPも扉は残っているけれど中身はなし(最終的に出戻ったレコード会社日本コロムビアのアーティストリストにはまだその名がある)。齢を重ねてもできるジャンルだけに今の彼らの曲が聴きたいなー...そんな懐かしい気持ちになる作品です。
【収録曲】
1. アニー
2. SINKY-YORK
3. なによ!
4. エヴリデイ
5. 相合傘
6. いつかどこかで
(ライヴですが、ほぼマンマCDアレンジ)「エヴリデイ」
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購入金額
2,000円
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購入日
1989年頃
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購入場所
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