PSYCHEDELIX。ギタリストCharがかつて主宰していたバンド。時期的には当初アイドル的な売り方をされたCharが自分の音楽をやるために組んだ3ピースバンド、JOHNNY, LOUIS & CHAR(後にPINK CLOUDに改名)が一時活動が下火になっていた頃。元は自身のソロアルバム“PSYCHE(彩気)”のツアーのために組んだメンバーが核となっており、ギターとヴォーカルは当然Charで、ドラムスJim Copley、ベースJaz Lochrieという布陣。ドラムスのJimはCharとウマが合ったらしく永く行動を共にする事になる盟友で、そのスルドイ切れ味のプレイはハイピッチのスネアのチューニングとともに乾いたノリを出す。Jazは後に袂を分ち、PSYCHEDELIXはレコーディングではCharがベース兼務となるが、柔らかい音のフレットレスベースを主に操るJazの音造りは、乾いたJimの音とのバランスが取れていてよかった。
“no one's wastin' time”はそんなPSYCHEDELIX結成直後、1992年6月のライヴ。この時は「PSYCHEDELIX」としてCharとJim、Jazに加え、キーボードのDan Matrazzoがクレジットされている。
音響的に優れている、と言うほどではなく「ライヴ録り」って感じでレンジもナローなのだが、アツイ!
「Move On」。Jazのフレットレスベースが柔らかい音で下から包み、Jimの鋭い音が空間を切り取る。Danはふわっと全体を包んでいるのだが、音を「厚く」して全体を「埋める」のではなく、少ピースバンドの良さを損なわない絶妙なフォロー。Charのギターがリフを刻んでいるようなときは少し控えめで、ギターソロの間はガッツリと「盛る」と緩急つけたプレイで、Jimの硬いプレイがナマクラにならない。
CharとJazのソロの掛け合いというか呼応で始まるインストナンバー「Rainbow Shoes」。即興で先に弾くCharのフレーズをJazが追いかけて真似るというスタイル。ギターでは簡単な複数弦弾きをCharが演やるときちんとついていくJaz。でもさすがにアームダウンを使われると..www。曲の方はオリエンタルな感じのメロディラインに所々ドラムス以外のパートのフルユニゾンが挟まれるハードプログレ調のテクニカルチューン。Jimのバスドラが鬼のように16分音符の裏裏に入り続けるところは聴いてる方が足つりそー!
「21st. CENTURY BLUES」は曲名が時代を感じるが、「21世紀」と言っても特に近未来的な音造りや楽曲ではなく、むしろ70年代ハードロックをリスペクトしたような荒々しいチューン。サイケな感じの音取りのギターソロに先立ち速弾きの短いフレットレスベースソロが挟まるところやJimのハイピッチの乾いたドラミングがちょっとあの頃っぽくはないが、キーボードソロも初期シンセのような音で「懐か新しい」感じ。
Jimの音はタイトだし、ノリもタメが深いようなタイプではないのだが、やっぱり機械とは全く違うノリ。こういう「ひとの血を感じる」ノリってライヴならでは。「曲はレコーディングして完成ではなく、人の前で演って初めて完成する」と言われるが、まさに。会場のオーディエンスノイズはさほどに多いわけではないのだが、「生きた」音楽が堪能できる。この後しばらくしてJazはグループを離れてしまうのだけれど、やっぱりフレットレスベースの柔らかさとハイピッチスネアの乾いたリズムの対比が面白かったこの頃が好きかな。そんな硬くて柔らかい独特のノリのライヴアルバムです。
【収録曲】
1. RUSSIANDRIX
2. Move On
3. Let Me Try Your Shoes On
4. Green Light
5. Nameless Land
6. Ruby Red Lips
7. And Their Sons And Daughters
8. Rainbow Shoes
9. Aqua Shoes
10. 21st. CENTURY BLUES
同時期よりもやや後のライヴ「Move On」
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購入金額
2,800円
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購入日
1995年頃
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購入場所
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