アルファロメオ155TSへの愛を語る場を作るために登場してもらうミニチュアカー達。
3つめに選んだのは、新興ながら欧州ミニチュアカー界の雄ミニチャンプスの1台。
アルファロメオGTです。
アルファロメオGTとは
アルファロメオGTで検索すると、GTVでは?と尋ねてきます。
GTVといえば時代を越えて歴史を彩るグランツーリスモですが、これはGTで間違いないんです。
当時のアルファには、GTVにスパイダーという名車が存在していましたし、後に世にでるブレラという大柄なパーソナルクーペが控えていました。
ただオープン2シーターのスパイダーはもちろんですが、GTVも実用性よりデザイン優先のキレッキレ芸術フォルムでしたので、4人が乗れるパーソナルカーが求められたのかもしれません。
デザインは天才ジウジアーロ。
時のベストセラー156と147のパーツを上手に流用しながら、それと感じさせること無く、きちんと大人4名が座れる3ドアハッチバッククーペが誕生しました。
MTシフトレバーもうまく再現 ドアミラーは紛失
1/43はロッソアルファに黒内装ですが、外板色を問わず、タンカラー内装が車の雰囲気を上手に演出していたと覚えています。
エアバック内蔵型として最上のデザインのひとつ おそらくMOMO製
私の初めての車はホンダアコードHBの黄色。 初代クイントインテグラHB赤も所有してました。
世間から珍車扱いされた初代プレリュード紺にも乗りましたが、大ベストセラーの2代目にには触手が伸びませんでした。
きっと「ちょっとずんぐり」「うり坊」みたいな車が好きなんです。
そう思ってます。
だから このアルファGT。 とても好きな車でした。 縁があれば所有したかった。
155 横置き5速マニュアルトランスミッション
ここから前回の続きです。
BMWより前から重量配分50:50に拘り、ミッションとデフを一体化してトランスアクスル構造をとっていたオールドアルファロメオだけでなく、155の前に所有していた水平対向縦置きFWDのアルファ33も、停止状態から1速に入れる前には「いちど2速に入れるフリ」あるいは「舐める」とも表現される作法が要求されます。
そうしないと古い市バスのように、ガリッと異音が出ます。 入ることは入るんですがね。
古いアルファ乗りの方には、ちょっと肩透かしかもしれませんが、もうその必要はありません。
普通のギアボックスに進化していました。
通常のH型パターンを持つ5速マニュアルトランスミッションは、排気量の割にローギアードに分類されます。
時速100キロ時に2800回転辺りを指します。
ロングストローク型ながら、強いトルクが湧き出すのは3500回転を越えてからですので、100キロ巡航から追い越し作業を行う場合は4速に落とすようにしてました。 場合によっては3速を選びます。
5速で気持よく巡航するには、法の番人の目を意識する速度域が求められます。
法定速度の5割増し前後が想定された常用域なのかもしれません。 (知らんけど。)
特定の速度域・回転域で発生するうなり音等は皆無。
冷間時の硬さ・ヒート時の不確かさは感じません。
カチカチとしたフィールはありませんが、ゲートの節度感・距離・生える角度ともに
合格です。
ただ、私が思う世界一のFWD用横置きトランスミッションはホンダ製。
それこそレブリミッターに当てながらシフトアップする時に、ほとんどクラッチを切る必要が無いと思わせる感覚。 シフトダウン時も回転を合わせるとツルリと吸い込みます。
あの感覚は、リモートロッドがどうしたとか、ストロークがどうしたとかを語る必要が無い次元に存在するものでした。
ホンダを愛用していた時代に、雑誌で読んだ「ゼロヨンもドライバーの腕次第・シフトアップの難しさ」という記事に首を捻っていたのですが、特にアルファ33を所有した当初、「これまでは車の性能に助けられていたんだな」と思い直しました。
33より数段使いやすいミッションでしたが、ホンダのそれには劣る。
これが偽らざる感想です。
3万キロ走行あたりで、WAKOSの化学合成MTミッションオイルとThreeBondの添加剤を投入し、より良いフィーリングを得るに至りました。
5万キロ走行あたりで手放していますが、クラッチを含めてデフ・ギアボックス系統にトラブルは出ていません。
現在の8〜10段に進化した最新のトルクコンバーター型ATミッションを思うと、既に発進加速・最高速度・燃費性能・静粛性、、、ほとんどの部分にMTの優位性が無くなりました。
あのポルシェGT3の最新型にはMTが存在しない!
そんな時代です。
でもね、それでもMTを愛するドライバーは存在します。
パドルでシフトダウンするにしても、8〜10速にも分けて切られていたら、ファンファンいわなさそう。
今年度あたりにBMWが7速MTを出すらしいですが、それは選ぶに値するミッションとなるはず。
昭和はATはMTの10万円高でしたが、次は逆になるんでしょうか?
そんな時代です。
シャシー
前 マクファーソンストラット
後 コイル・ダンパー分離型トレーリングアーム
いずれもスペース効率を重視した平凡な構造です。
ブレーキ
前 ベンチレーテッドディスク
後 ディスク
ABS装備です。
これはミニチャンプスアルファGTの底部 良く再現されています
踏みしろではなく、踏力でコントロールするブレーキでしたが、スポーツ性を犠牲にしたセッティングと言わざるを得ないもので、制動距離は短いものの、普通に踏んだつもりが、俗にゆう「かっくんブレーキ」となります。 慣れるまでしばらくかかりました。
70キロから40キロあたりの減速時に3速から2速に「ヒールアンドトゥ」しながらの減速
がやりづらくて困りました。
エンジン側が可変バルブタイミング機構を持つため、3速のままでおざなりに、、、という状況が増えました。
もっと高速域でのヒールアンドトゥ作業なら大丈夫だったんですが、、
山道は3速に入れっぱなしで、、、そんなセッティングでした。
日本の箱庭ワインディングロードにはちょっと不向きです。
雨の高速道路で、安定して早い車の後ろに付いて行くと、155が持つアクセルによるラインコントロール性能を実感出来ました。
前車(例えばオデッセイアブソリュート・スバルレガシィGTの様にスタビリティが高い車)が、センターラインに沿ってビタっと車速を維持していると想像してください。
私が追いついてしまわないようにスロットルを緩めると、スッとノーズがインに向き、センターラインに近づきます。
もう少し追いつこうとしてアクセルを踏むと、危険を感じない範囲で膨らみ、センターラインから離れます。
水膜の厚さを意識せず、ステアリングは一定のまま、スロットルで鼻の向きをコントロールできるセッティングが好きでした。
もちろん良い音を響かせながら。
アルミブロックエンジン搭載の最初期モデルのタイヤサイズは195R60/14。
私のsuperモデルは、195/VR55/15。 スポルティーバモデルは205/45ZR/16。
共にスピードライン製のディッシュ型アルミホイールが純正装備されます。
ライン装着タイヤは、固くてグリップしないピレリP4000番。
アイバッハとビルシュタインに変えてポテンザを選ぶ友人も居ましたが、
私の選択は、、。
この車と過ごした15年間は、毎年ゲレンデに出掛けていたので通年ピレリのTRレンジ高速スタッドレスを履き続けました。 そう、ずっとスタッドレスで通しました。
確かに急の付く操作を行うとグリップが失われるのですが、じわじわと速度をあげて、じんわり角度を決めるフォームだと、P4000には劣らない速度で駆け抜けることができました。
急制動時にABSのお世話になる率が増えましたが、ウェットグリップは当時の国産スタッドレスより上手でした。
なにより踏面が柔らかく、自分自身の運転も丁寧になるので、車自体の寿命に寄与したのでは?と自画自賛してます。
年間走行距離5000キロで2セットのタイヤを持つのは、いかにも不経済ですし、寒くて暗いところでチェーンを装着するのが嫌だったんです。
サスペンションセッティングも、superモデルは本国仕様に準じた車高を落としていないもので
少し柔らかめです。
それにピレリのTRレンジスタッドレスはフィットしていたと感じてました。
ただ雪道全般の安定性は前任の33が圧勝です。 やはりシンメトリー配置で前が重い水平対向エンジン。 FWDながら、素晴らしい雪上性能でございました。
グリップを期待できないスタッドレスで走る峠道。
前が低め、後ろが高めの位置にロールセンターがあることを感じながらステアリングを切り込みます。
たっぷりとしたホイールトラベルは、多めのロール角でも不安を感じさせません。
フロントのグリップは高く、一定の舵角のまま加速する上り坂でも横っ飛びは起こらず、踏みすぎにだけ気をつけていれば、高い速度で駆け抜けることが可能です。
直4エンジンが納まる前軸は、アクセルのオン・オフ、制動による荷重移動を、漸進的に反映してくれます。
ステアリングをあまり動かさずに、良い音と連動するスロットルで姿勢を操ることは楽しい、
その一言に尽きます。
低いグリップが、比較的安全な速度域でのコントロール性を高めるひとつの触媒として作用していたのでしょう。
アルファロメオテストセンターには、良い尻を持つ男が居る。と聞かされています。
マツコDXが喜ぶお尻のことではありませんよ。 車を操る時に使うセンサーとしてのお尻です。
FWDは基本的にアンダーステアしか出ないので、尻もなにも無いだろうというお考えも判ります。
でもね、そのFWDの中で、アルファは異質かもしれません。
先ほどスロットルで軌跡を決める事ができる旨をお伝えしましたが、それは平地か登りでの話です。
ダウンヒルではちょっと違いました。
アンダーもタックインも、思うより大げさに出ます。
下りでは、後ろが軽く感じられ、一本背負い体制に入っているかのように「前だけに責任を取らせる」感があるんです。
この辺りの「怖さ」はホンダで感じたことがありません。
しかしホンダの登りは、道のジョイントでグリップが失われ、フロントが横に飛ぶ事が頻繁にあります。
どちらが良いのか? 簡単に答えは出ません。
もしジムカーナやサーキット走行を楽しむ為の車両なら、ホンダを使うほうが良さそうです。
同じパワー・重量ならホンダのほうが良いタイムが出ると思います。
自分はどちらが好きなんでしょう? 答えに窮します。
でも、ちょっと危なっかしい印象を受ける事とトレードするように
「乗りこなしているぜ感」
「車と会話している感」
「上手く運転できるようになってゆく感」 が得られる 旨いセッティングだと思います。
そう思えた私は幸せでした。
車が語りかけてくれます、「あんた運転上手くなってるよ」「そうそうその感じ」
このあたりの雰囲気は、ホンダにもBMWにも感じ得ない独特のものです。
次は内外装のデザイン・質感についてお伝えしたいと思います。 また見てね。
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購入金額
0円
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購入日
2000年頃
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購入場所
いただきものです
くろぱんださん
2016/02/18
車と対話しながら上達して行く感、オトナになる感…凄く好きです。
フェレンギさん
2016/02/18
いつもありがとね。
自分がイチバン練習したのは、900キロ85馬力の初代プレリュードでした。
政府の要請を受けて米国オハイオに現地工場を設立したご褒美として、日本初のサンルーフと、ポテンザRE-47の装着を許されたと言われるハンドリングマシンでした。
セルフセンタリングが弱く、少しステアリングを切った状態で手を離すと、そのまま曲がり続けるセッティングでした。 下手すると5000キロを待たずにボウズになるハイグリップタイヤとの組み合わせですが、限界域では運転席を中心に回りこむような感覚がありました。(限界そのものが現在のそれより低い速度域なのも楽しめる要因)
人に迷惑をかけずに済んだことがイチバンの幸せかもしれませんが、ホントに楽しかった思い出。
cybercatさん
2016/02/19
BMだと伸びの大きいNAエンジンでしょうからイケルでしょうね。たぶんターボやディーゼルエンジンだとムダなような気がします。ギアの多段化って「オイシイ」ところが狭いエンジンの方が効くので。
VOLVOのライトプレッシャーターボのように1000回転からレブリミットまでトルク同じ(ように制御している)エンジンなどではギア変える意味あい薄いですから。
フェレンギさん
2016/02/19
流石によくご存知でいらっしゃる。
うちのF20型が、まさにボルボと同じ制御でして、定規で引いたように完全なフラットトルク。
上まで回しても、意味がありません。 音も良くならないし。
真ん中で繋ぐのが合理的で、多段ATの存在意義を布教するようなエンジンです。
短時間の試乗なら、そこまで判らずMTを選択したかもしれませんんが、日本市場では選択肢がありませんでした。
1.4ターボのジュリエッタは、も少しメリハリがありましたが、その時の愛車である155とは比べるべくもありませんでした。
一昔前は、MTはATより「速く・燃費がよく・自由で・安い」良い物でしたが、今は違う。
残念ですが、新型車において これが覆ることは稀でしょう。
将来、私が買える価格の車で「MTを選ぶべき」ものはほとんど無いと覚悟してます。
宗旨替えしたのか! と言われて、二の句がつげない状態であると認識してます。
くろぱんださん
2016/02/19
スピード・パワーを追い求め、名車と語り継がれる車をリアルタイムで見たり触れたり出来た年代の方が非常に羨ましいです。
初代プレリュードはFRのような挙動のFFと言われていたようですが、体感されてるのですね。車の限界値を知るのは事故防止ですからね〜
フェレンギさん
2016/02/19
塗装も今の車とは全然違い、ワックスがけが必須でした、、。エンジンの力を全部引き出して走っても、比較的安全な速度域に納まる時代でした。
今はブラックボックス化が進みましたし、車時代が高度ですので、そのままで充分かもしれませぬ。
かと言って、悪いことばかりでもなく、その高度なシステムや高い限界に挑戦することや、理解を高める作業も残っていますし、それはそれで楽しめる。 と思うようにしてます。
E-SNプレリュードは、当時の鈴鹿のマーシャルカーでもありました。
下り旋回時にキャブレター内のガソリンが偏り、息付きを起こしたり、
フロントディスクキャリパーの取り付け剛性が低いので、強い切り返しの後は軽く2度踏みをする必要があったり、ロールが大きくてリア泥除けが刷毛の様にすり減ったり、、、
未完成な部分はたくさんありましたが、人車一体感が得られる良い車でした。