レビューメディア「ジグソー」

強力なヴォーカル陣は魅力だが

スウェーデンのAOR系クリエイター/ギタリストのピーター・フリーステッドが、元々の自身のプロジェクトに2人の大物ヴォーカリストを迎え入れる形で結成したのが「Champlin Williams Friestedt」というバンドです。

 

この名前を見ただけでピンと来る方もいらっしゃるかも知れません。最後の「Friestedt」はもちろんピーター・フリーステッド自身を指しますが、「Champlin」はかつてシカゴに四半世紀在籍して中心メンバーとして活躍し、ソロ・アーティストとしてや自身のバンド「サンズ・オブ・チャンプリン」でも多くの実績を残しているビル・チャンプリンを、「Williams」は80年代後期のTOTOのアルバム2作に参加し、バンド史上最高のヴォーカルと絶賛されたジョセフ・ウイリアムスをそれぞれ指しているのです。ちなみにジョセフはTOTOの再結成作にして最新アルバムの「TOTO XIV ~聖剣の絆」で、再びTOTOに加わっています。

 

 

 

 

 

 

 

業界ではある程度知られている存在ではあっても、世界的な知名度がさほど無いピーター・フリーステッドですが、実はこの2人との活動歴はかなり以前からあり、満を持してのバンド結成ということのようです。以前この組み合わせのライブ盤も紹介していますね。

 

 

 

実は海外盤は昨年10月頃には既にリリースされていたのですが、日本盤ではアートワークの変更と曲の追加があるという情報を得ていましたので、日本盤の方を買ってみました。

 

更新: 2017/10/23
総評

ヴォーカリストの実力に対して楽曲が少し弱いか

まずは収録曲です。

 

 

1. RUNAWAY
2. NIGHTFLY
3. ARIA
4. TWO HEARTS AT WAR
5. STILL AROUND
6. RIVERS OF FEAR
7. ALL THAT I WANT
8. AFTER THE LOVE HAS GONE
9. CARRY ON
10. EVERMORE
11. LAVENDER MOON
12. OCEAN DRIVE

 

 

 

 

 

 

ジャケットの表面は3人をイラスト調に描いたもの、裏面は写真(前述のライブ盤と同じ?)となっています。

 

 

まずは何といっても2人のヴォーカリストについてですが、これはさすがとしか言い様がありません。ビル・チャンプリンは持ち味のワイルドなヴォーカルは相変わらずですし、年齢を感じさせない伸びがまだまだあります。一時期声の力感が弱まっていたジョセフ・ウイリアムスも、近年のTOTOのライブ等でみせる好調さを維持していて、かつてのイメージそのままといっても過言ではないところまで回復しています。

 

 

収録楽曲は何故収録したのか疑問が残る「AFTER THE LOVE HAS GONE」(ビル・チャンプリンが作者として名を連ねているEW&Fの大ヒット曲のセルフカバー)以外は、本作のために書き下ろされたものです。

 

ピーター・フリーステッドを中心にビル・チャンプリンも加わり、ビルの息子であるウィル・チャンプリン(作曲やヴォーカル、キーボード等をこなす、親譲りの才能を持つミュージシャン)や日本でもお馴染みのランディ・グッドラムなどが加わって楽曲を作り、演奏にもタマラ・チャンプリン(ビルの妻で「あぶない刑事」のサントラ等でリード・ヴォーカルを聴くことが出来るソロシンガー)やスティーヴ・ポーカロ(TOTOのキーボード奏者)なども参加するなど、隙の無い構成で作られた作品といえます。

 

 

3曲目の「ARIA」は明らかにTOTOの名曲「AFRICA」をモチーフにしていたり、全体的に楽曲のテイストやアレンジにジェイ・グレイドンの雰囲気が感じられたりと充実した作品ではあるのですが、どうしても気になるのは、これはというキラーチューンが無いということでしょうか。ビルもジョセフもそれぞれシカゴやTOTOでは名曲を多く書いているのですが、ここではそこまでの水準の楽曲は生み出せていません。それだけにこの超豪華なヴォーカル陣を生かし切れていないという印象が残ってしまうのです。

 

もちろんごく普通にAORのアルバムとしてみた場合に、充分水準には達していて、聴いてがっかりするような出来ではありません。しかし、私自身特に思い入れの強いヴォーカリスト2人が並んだバンドの初のアルバムということで、期待のハードルを上げすぎてしまっていた部分があるのでしょう。「2人の世界的ヴォーカリストを擁する、ピーター・フリーステッドが率いるバンド」の作品と考えればしっくりとくるのかも知れません。

 

 

YouTubeにPeter Friestedt名義で投稿された、公式のMVが提供されていましたので、ここで紹介しておきます。

 

 

 

 

 

 

昨年の来日公演で披露された「Runaway」が公式にアップされていることがわかりましたので、追加しておきます。演奏のクオリティーはさすがです。

 

 

 

 

Peter Friestedtのアカウントで他にも関連楽曲(TOTOやChicagoのカバーも)も公開されていますので、興味のある方はご覧いただければと思います。

  • 購入金額

    2,700円

  • 購入日

    2016年01月23日

  • 購入場所

    HMV

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