きっかけは、自宅と実家をフレッツ光ネクストのNGN(NTT内のIPv6ネットワーク)で直結し、WANを構築する計画からでした。
実家回線をギガビット回線に昇格させ、NGN網内での接続ができるようになったおかげで、ネットワークの直結スループットが夜間の最混雑時間帯でも500Mbps出るようになりました。(この話はこの話で長いのですが、本欄はあくまでマシンの評価なのでこれで留めます)
しかし、回線速度が速くなったために、別のところにボトルネックが。自宅と実家間はSoftether VPNでL2VPNを構築しているのですが、私の持っているLivaX(Celeron N2808、4MB)のSoftetherのスループットはせいぜい50Mbpsだったので、CPUを増強する必要がありました。
そこに、IntelチップのEthernetポートが2ポートある本機はうってつけだったというわけです。初売りセールもしていないのに、一目惚れして買ってしまいました。本機は、その組み立て・稼働レポートです。
PCI-Expressスロットが(miniも含めて)ない。それ以外は満点。
そこらのベアボーンキットと同じく、CPUとメモリとHDDを付ければ完成です。
チップセットはH170、CPUはSkylakeのLGA1151で、TDP65Wまで。65WならCore i7も入りますので、ほぼ制限なしと言って良いでしょう。(載らないのはK付きモデルですが、オーバークロックするようなマシンではないですし。)
私はCore i3 6100(無印)を選択しました。6100Tのほうが向いているのですが、正直T付きは単なる最大クロック制限モデルなので、特に選択する理由がありません。Windowsの電源オプションや各種ツールでも最大クロックは制限できますし。
電源は95WのACアダプタが標準装備です。
メモリはLPDDR3(低電圧版)のSO-DIMMでなければいけません。2スロットありますので、特に問題がないです。
このサイズになると、当たり前ですがPCI-Expressスロットはありません。Mini PCI-Expressスロットもなく、代わりにM.2.スロットがありますが、2260サイズまでしか入らない仕様です。市販パーツはだいたい2280サイズなので、大きすぎて入らないため、実質使えません。
(TranscendやSamsungから辛うじて1種類ずつ2260サイズのSSDが出ていますが、割高です)
そのため、素直に2.5インチのHDDなりSSDなりを積むべきでしょう。
また、無線LANは非搭載ですが、専用品がオプションで付けられます。(3000円ちょいです)
USBは3.0x4、2.0x4。配置は前後にそれぞれ2つずつ。
ディスプレイはDisplay Portx2、HDMIx1。アナログRGBポートはないので注意。
HDMIは4k30pまで出力可能です(60pは出ません)。
さらに、Ethernetポートが内蔵で2ポート付いているのがポイントです。また、COMポートも2つ付いています。このことから、常時通電を意識した産業用途向けのベアボーンであることがわかります。
慣れた人なら初見15分で組み上げ完了。初心者も楽勝。光学ドライブスロットがないので注意
このサイズなのに、全く手抜きがないです。
蓋は上下分離型で、上蓋だけスライドで空けられます(この手の省スペースPCだと、U字型の鉄板になっていることが多く、はめこむのが大変なんですよね)。これはあっさりと開いて閉じることができます。
・外蓋のネジは3本で、ドライバーを使うものです(手回しはできません)。
蓋を開けると2.5インチベイとCPUクーラーx2。1本ネジを外せば下からメモリスロットが出てきます。
・SATAケーブル・電源ケーブルはベアボーン付属で最初からベイの長さに置いてあり、すぐに付けられます。2.5インチベイへの取り付けはサイドからのネジ4本。
・メモリスロットは、ノートPCのメモリ取り付けに慣れている方なら楽勝ですが、ちょっと狭いので難儀する方もいるかもしれません。斜めに付けて、ぐいっと並行になるまで押し込みます。
・CPUはLGA1151に取り付け後、付属のグリース(注射器型)を塗って、ヒートシンクをねじで止めるタイプです。
また、本体にはVESAマウント取り付けキットが標準で付属していますので、たいていのディスプレイの裏に取り付けられます。これでディスプレイ一体型PCの完成です。
私は以上の工程に初見で15分しかかかりませんでした。コツもほとんどありません。省スペース機はなにかと取り付けなど、取り回しが難しかったりするのですが、このベアボーンは本当にただ付けるだけといった感じでした。全然自作した気になりません。自作初心者にもお奨めです。
ただし、光学ドライブ(DVDやBD)のスロットが付いていません。このサイズになると最早宿命ですので、USB接続の外付けドライブを利用しましょう。
ケース剛性十分。ファン音は寝室でも使えるレベル。電力は後日測定予定
ケースはスチール製のしっかりしたもの。ぺらぺら感は全くありません。
省スペースだと気になるファン音なんですが、7cmの省スペースファンx2でCPUのヒートシンクを冷却していて、そこらの省スペースファン付きPCと比べて全然うるさくありません。もちろん、無音ではないのですが、よほど神経質な方でなければ、寝室で使えるレベルです。ここがこのベアボーンにした決め手でした。
消費電力については後日測定しますが、参考までにAkiba-PC Hotlineのレビューのリンクを。
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/column/imadoki/20151207_733540.html
唯一の欠点は前面の電源ランプ(青色LED)の輝度が高いところ。寝てる時は邪魔なんですよね…。私はビニールテープを貼って減光しています。
ベンチマークはFF11Bench V3が7605でした。(7600なら十分な実用域です)
他のベンチは追ってレポートします。
メーカー製でできないことをOS込みで税込7万なら、納得。
ざっくりとした概算ですが、
本体: 28,000円(ケース・電源・マザーボード付き)
CPU: 15,000円(Core i3 6100T)
メモリ: 7,000円(LPDDR3 SO-DIMM 8GB)
SSD: 8,000円(250GB)
OS: 14,000円(Windows10 Home)
といったところです。これで税込み7万2千円といったところ。けして高くつくわけではありません。ATXサイズのケース+電源+マザーボードを揃えていくと、やっぱり同じくらいはかかります。
またメーカー製と比べても、メーカー製省スペースPCではできない、通常電力版CPUでフルスペック稼働できるあたりを考えれば、十分すぎるくらい戦えます。
VPNルータからシンクライアントまで、常時通電を難なくこなす万能PC
PCI Express拡張スロットが不要なら(VGAカードを入れない用途なら)どんなこともこなせる万能PCだと思います。私のようにSoftether VPNのための常時通電用途にも向いているでしょう。しかし、本機のポテンシャルは単なるルータだけの用途に留めておく必要はありません。組み立ても楽勝で、シンクライアントとしての性能も十二分。常時通電PCを作りたくなったら、本機はその要求に応えてくれると思います。
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購入金額
28,000円
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購入日
2016年01月02日
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購入場所
Sofmapリユース総合館
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