レビューメディア「ジグソー」

使い方次第では丁度いい。リネームだけど結構いける。

AMDの300シリーズって、正直言うと余り人気がない。

新型コアを採用したFulyと比べて云々というより、300シリーズ全てがリネーム品であり、同価格帯のNVIDIA製品と比べてDX11でのパフォーマンスが(割と深刻なレベルで)劣るという状況では、不人気なのも当たり前っちゃ当たり前である。

 

特に深刻なのがミドルレンジの製品。

今回のお題であるR7-370は二万円台前半なのに対し、二万円をギリギリだが切ってくるGeForce 950のほうが、FireStrikeの結果で20%近くも速い。

しかも、消費電力量は5割近くも370が多い。そりゃ積極的にR7-370を選ぶ層はまずいない。

 

ただ、GPUの処理性能自体はアレなR7-370だが、VRAM容量だけは別だ。

950の上位製品であるGeForce960でも、一部の高額製品にのみ設定された4Gモデルが、R7-370なら5000円以上も安価に入手できる。

 

そういう訳で、私は今回「VRAMの容量4GB、FluidMotionVideoがフルスペックで使用可」という点のみに着目して、敢えてこのR7-370を掴むことにした。

 

購入したのは、SAPPHIREのNITROシリーズにあたる、”NITRO R7 370 4G DUAL-X”

正直、SAPPHIRE製品と私は相性が宜しくない(過去に二度故障している)のだが、それなりに名が通っている会社の製品であること、OCモデルで4G搭載なのに安価(セール中で20890円だった)だったこと、購入を予定していた4Gモデルが他に無かったことから、これにした。

 

完全に妥協に次ぐ妥協の結果の選定なのだが、動作音は静かで温度もさほど上がらない(アイドル中はほぼ完全にファンが回らない)し、まずまず期待通りの性能を発揮してくれたので、個人的には割と満足している。

 

製品のコネクタ配置はこんな感じ。

DVI-I、DVI-D、DP、HDMIが各1基づつと、ミドルレンジでよくみられるパターンだ。

なお、HDMIは1.4a規格なので、最近流行りの高解像度表示だとFPSがだだ下がりする。

高解像度表示をする場合は、DPでの接続を推奨。

 

GPU-Zの内容はこんな感じ。
コアの名称こそ変更されているが、基本的に前世代のミドルレンジ製品であったR7-265のクロックアップ&VRAM増強版である。

たまに勘違いでR9-270のリネームって思っている人もいるが、実際にはR9-270よりR7-370はSP数が200基以上少ないので、その処理性能はR9-270よりも10~15%近く劣っている。

 

270からの乗り換えで370を選ぶと、非常に泣ける結果になるので要注意。

 

ASICは割と当たりの部類。
たかだか10MHz程度のOCとはいえ、OCモデル向けにそこそこ良い選別品を使っているようだ。

更新: 2016/01/18
使用感

割と使える。そこそこのゲームなら、十分行ける。

まず、定番というか一応載せないとマズいだろうということで、3D-MARKの結果はこちら。

但し、取得した解像度が2560x1080という変則的な代物なので、参照程度に留めておいてほしい。

正直、これで二万円台ってのは現時点で積極的に購入すべき製品かと言われると、微妙。

最も、これで困るかと言われたら「ちっとも困ってない」ので、個人的には十分っちゃ十分である。

 

Sniper Elite 3 Benchmark Report (Mantle)
=============================
Created: 2016-01-18 at 19:37:25
Version 1.15a Build Version: 2014.12.09.001
=============================

Average FPS:    55.5
Minimum FPS:    20.6
Maximum FPS:    78.5

 

Number Of Frames:    4235
Average Frame:    18.012ms
Minimum Frame:    12.734ms
Maximum Frame:    48.510ms

 

こちらは、ここ最近遊んでたFPSのスナイパー・エリート3のベンチ結果。

最高画質でこれだけの数値が出るなら、正直困らないことが解るだろうか。

 

ここ最近、どっぷりハマって遊んでいる、RainbowSix Siegeのビデオ設定画面。

最高設定を突っ込んでも、VRAM使用量がきっちり収まる。

この状態でマルチプレイすると流石にFPSが30台なのでやらないが、一人プレイするならこれで十分に遊べるので、全く困らない。

 

そりゃ、BattleField4やFallout4の最高画質設定でガシガシ遊ぶとかだったら、完全に性能不足なのは明らかなのだが、その場合は設定を落とせば普通に遊べる程度の性能はあるので、そういう場合は少し妥協すれば済むだけの話。

 

ミドルレンジを選択した時点で、ある程度の妥協は付いて回るもの。

私の場合、GeForce950-2GだとRainbowSixがVRAM不足で遊べないし、960-4Gだと予算オーバーな上にFluidMotionVideoが使えないし、R9-380だと発熱と消費電力量が問題になるので、性能的に妥協出来ると判断したのがR7-370だったのだが、だいたい予想通りのところに落ちてくれた印象だ。

更新: 2016/01/18
総評

背伸びしない環境だと、割とハマる性能

正直言って、R7-370はGeForce950や960と比べて「価格性能比が悪い」ことは事実だ。

だが、使用目的と予算を考慮した場合、そこまで悪い選択肢だとは思わない。

 

ミドルレンジのビデオカードを選んだ時点で、ある程度の妥協が発生することは避けられないことであり、遊ぶタイトル次第ではあるが「よほどの重量級ゲームでもやらん限り、困らない」こと、最近は特価で買える機会が多いこと、VRAMが4Gとミドルクラスとしては多めなので過去タイトルのMOD大量導入などで遊ぶ場合にはコスパが割と良いこと、DX12タイトルではGeForce960を超える性能を発揮する場合もあることなど、それなりに見るべき点は多い。

 

また、FluidMotionVideoを使いたい場合、必然的にAMD-GPUが選択肢になるわけだが、同じミドルクラスのR7-360だと性能面で厳しいタイトルが多いのに対し、R7-370は4G版ならまだ意外と遊べるタイトルが多い。

 

少なくとも、「なにかやるのに困らんだけの性能」は、確かにあるのだ。

 

背伸びしないと割り切った場合、こいつはそれほど悪い選択肢じゃないのである。

無論、積極的に掴みに行くタイプの製品じゃないのも確かだが、ゲーム以外にもいろいろやりたい人にとっては、割とこいつの性能がハマり込むんじゃなかろうか。

 

 

  • 購入金額

    20,890円

  • 購入日

    2015年12月16日

  • 購入場所

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