本の蟲。
実は結構読書家で、特に若い頃は乱読しました。
ジャンル的にはSF~ファンタジー~ミステリなどからコミックまでイロイロ。
3桁では収まらない蔵書の中からトピックをご紹介していきます。
「芋づる式洲崎綾Part2」。動画⇒Webラジオ⇒オーディオCDと興味が広がった女性声優洲崎綾(あやっぺ)つながり(...といってもこれは彼女が書いた本ではないが)。
Webラジオの天然系あけすけ女子トークとCDでの天使の声。そのギャップが面白くて、もう少し深掘りしたく、彼女の出世作「たまこまーけっと」とその完結編「たまこラブストーリー」を観た。
「たまこま」のほうは日常系アニメで、南の国の王子のお后候補になるなどのイベントはあったものの、主人公(たまこ)周りの人間関係はあまり進まず、ある意味サザエさん的展開だったが、「ラブストーリー」の方は劇的に進んだ。
表層をみるとほっこりする、少年と少女が幼なじみとの恋を叶え大人に成長する物語。でもこの物語にはもう一面、「青春の光と影」という側面がある。
もち蔵はたまこに告白し、たまこは自分の気持ちに気付きハッピーエンドとなるが、仲良し3人組の中でもたまこともっともくっついていたみどりは商店街を出て行くことが暗示される。たまこを支え、たまこに寄り添い、たまこを護ってきたみどり。友達以上のキモチ?でもたまこはもち蔵を選ぶ。素朴で鈍感なたまこはたぶん、みどりの複雑な気持ちには気づいていない...し、きっとこれからも気づかない。
映画「たまこラブストーリー」はもち蔵とたまこの恋の物語であるとともに、みどりにとってはすこしほろ苦いオトナへの階段。でもそのことは映画のストーリーを表層的になぞるだけだとなかなか気づけない。
もち蔵にヘンに突っかかるみどりに。
たまこから受けたもち蔵への気持ちの相談に目をそらすみどりに。
そしてもち蔵への告白をするシチュエーションに向けてたまこを押し出した時のみどりの寂しげな表情に。
あやっぺの歌うラストソングのバックに舞うたった一つのタンポポの綿毛に。
歌われるその言霊に♪あたりまえの毎日が/突然愛しく思うのは/羽ばたくとき/知らせてる/おそれない/自分らしくなるため♪
....そんな部分に隠されているから。
限られた時間で、時間の流れが一方的かつ定速の媒体で、どんな受け取り手がその物語を受け取るか分からない映画でそれを語るのは難しい。そういう併走する物語を紡ぐにはやはり、本。
「たまこラブストーリー」のノベライズが本作。ただ、単に映画の台詞にト書きをつけたような「脚本の小説化」というものではなく、前述の「光と影」を書こうと工夫を凝らしている作品。それはこの本の構成にも現れている。
第1話 南の国からプロローグ
第2話 ひと味ちがうぜ春のもち
第3話 たまこラブストーリー △ みどり編
第4話 たまこラブストーリー ○ たまこ編
第5話 あの娘と王家と予言の書?
第6話 たまこラブストーリー △ みどり編
第7話 たまこラブストーリー ○ たまこ編
第8話 始まるんだよキミの歌
第9話 Everybody Loves Somebody Sometime
おおむね話の筋は映画の通りに進むが、たまこの視点とみどりの視点とに完全に分けて書かれている。秀逸なのが、同じ事象をたまこ側からとみどり側のニ方面から二重化して描くのではなく、映画の筋によって語り部を替える形でみどりの内面とたまこの内面を描いていること。
...でも最後だけは違うんだよね(「始まるんだよキミの歌」)。映画の最終カットの部分の少し手前から、みどりのキモチが、行動がかぶってくる。どんなキモチでたまこを護ってきたか、どんなキモチでたまこをもち蔵の所に送り出したか、そしてたまこのお母さん、ひなこさんのこと....映画ではみどりの感情がどう流れていったかほとんど語られないけれど、そこが語られる。みどり視点で映画で見たときにそのキモチの流れが分かる。ここの部分の描写がとてもよかった。
そして、カバーに描かれているチョイちゃん。映画では前座?としてデラや王子と少し出てきただけだったけれど、この本では「南の国からプロローグ」⇒「あの娘と王家と予言の書?」⇒「Everybody Loves Somebody Sometime」と結構キッチリと語られる。本編でたまこの生活をかき回すだけかき回して?、でも本筋には大きな影響がなかったチョイちゃんたち。その後が気になっていた人にはきっと楽しめる。
原作本は読んだ後映画を観ると筋が分かっているので細かいところに気がついたり、時間の関係で削られたエピソードなどを脳内補完できるのでよく理解できたりするが、この本に関しては絶対に映画⇒本の順番で見るべき。映画では語られなかったみどりとチョイちゃんのことにページが割いてあり、映画を見終わった後の一抹の「物足りなさ感」がスッとなくなる。
そういう意味では「攻略本」みたいなモノで、先に読んじゃ映画の感動が薄れるかも。でも映画を観終わった後読むと、さらに映画が好きになり、もう一度映画を観たくなる...そんな感じのノベライズです。
小説:たまこラブストーリー ノベライズ
たまこの、そしてみどりの心の細かい動きが語られる
たまこの心の動きに関しては映画でもかなり映像に出ていたけれど、みどりのは(ストーリーをわかりやすくするために)映画では隠されている。そこがきちんと書かれているので、みどりがどんなキモチでたまこを見ていたのかそこが伝わり切なくなる。
「チョイらぶすと~り~」もいいよw
チョイちゃんどうなったのかは映画では全く語られないけれど、小説ではきちんと描ききっている。王子のお后を探す刻限を決めた予言の書の真の出所がまた...これは読んだ人だけのお楽しみ!
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購入金額
700円
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購入日
2015年12月11日
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購入場所
カルコス
れいんさん
2015/12/15
跡とか大切よね!!!
日焼けとか
cybercatさん
2015/12/15
そこかいっっっ!ww