先に言ってしまうと、実は某通販で中古品の「T50RP」(型番からはわかりにくいのですが、T50RP mk3nの先代となります)を注文したところ、何故か届いた品がこのT50RP mk3nでした。とりあえずFOSTEXのRP(Ragular Phase=全面駆動型)ヘッドフォンを安く使ってみたいという程度の動機で購入したのですが、結果的には現行モデルが手に入ってしまったという訳です。
箱には大きく「T50RP」と書かれていて、小さい文字で「T50RP mk3」、商品番号ラベルに「T50RP mk3n」(これが正しい型番)と書かれているので、担当者が混同したのかも知れません。
裏面から見ても「T50RP」という文字しか目に付きません。
これが外箱の底面に貼付されている商品番号ラベルで、ここには正しい型番である「T50RP mk3n」の文字があります。
箱の中身はこれで全てでした。一応ケーブルは3.5mmミニプラグのものと、6.3mm PHONEプラグのものと、計2本が添付されていました。
かなり細かい音が出るが、聴き辛さはあまりない
このT50RP mk3nの特徴は、前述のRP(Regular Phase)型で、かつ平面型のドライバーを採用していると言うことです。
通常平面ドライバーは製造コストが高く、各社の高級モデルにのみ採用されることが多いのですが、大手OEMメーカーであるFOSTEXならではの価格を実現しています。
音質評価は、先日AKG K702を聴いた環境と同じとしてみました。LINDEMANN USB-DAC 24/192Xの出力をemagic a6|2mに入力して、a6|2mのヘッドフォンアンプで駆動するという形です。
まずは「THE SEVENTH ONE / TOTO」を聴いてみました。重量盤LPから起こした24bit/96KHzのWAVです。
いきなり驚かされました。なんと、AKG K702ですら認識出来なかった、高域部分の僅かな濁りがはっきりと聞き取れるのです。少しベースやバスドラムの反応が鈍い部分はありますし、中域の密度はやや薄く感じる部分はあるのですが、それを差し引いても緻密さやクリアさはなかなか他で得がたいものがあります。
同じTOTOの重量盤LPで「TOTO XIV / TOTO」の「The Little Things」を聴くと、アコースティックギターのタッチがかなり明瞭に聞き取れる反面、胴鳴りの部分がややあっさりとする傾向はあります。この辺りはスタジオモニターらしく、付帯音をあまり目立たせずに楽器そのものの音を聴かせようとする性格が表れているのでしょう。
次に「CHICAGO XXXVI "NOW" / CHICAGO」を聴いてみると、ホーンの質感などもまずまず良好です。ただ、SENNHEISER HD650のような独特の質感を感じさせるようなものでは無く、あくまでも楽器の音をそのまま聴かせようとしています。この辺りで少し味気なさを感じる部分はありますが、本来モニター向けであることを考えればこれぐらいが正しいのかも知れません。
そのほか「Rock Symphonies / David Garrett」のヴァイオリンなども響きこそやや抑えめながら質感の高さを感じさせてくれるのですが、反面J-POP系などはよくありません。これは音楽との相性が悪いという訳ではなく、録音の質の低さが露骨に感じられてしまうためです。きちんと録音されたソースであれば特に苦手なものも無く、オールラウンドに対応出来る実力を持っているのですが、あまりに細かすぎる表現力がソースへの注文をうるさくしてしまっているといえます。
なお、この製品もAKG K702と同様ですが、能率が低くDAPなどでは殆ど対応出来ません。きちんとした駆動力のあるヘッドフォンアンプで使って初めて真価を発揮する製品といえます。
やや使いこなしは難しいかも知れませんが、質の良いソースと出来の良いヘッドフォンアンプがあれば、実売価格からは想像も付かないほど次元の高い音を聴かせてくれるヘッドフォンです。環境さえ整っていれば、1つ持っておいて損はありません。
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購入金額
7,182円
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購入日
2016年06月18日
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購入場所
ソフマップ
harmankardonさん
2016/06/18
それに,価格もお得感が大きいです.
jive9821さん
2016/06/18
T50RPの中古ならごく普通の値段かな、と思って注文したのですが、まさかT50RP mk3nが来るとは思いませんでした。コンディションは新品同様となっていただけあって、付属品も含めて殆ど劣化が無く、かなりお買い得だったと思います。
音質も予想以上の水準で、ごく普通に新品で買っても充分に割安感のある、良く出来た製品だと思います。